KSは基本的に長身, 女性化乳房, 不妊, 精巣萎縮が有名ですが,
診断されないケースもあり, 他の症候を合併することもあります
ということでチェックです
Klinefelter症候群は男性の不妊において最も多い遺伝子疾患
(Lancet 2004; 364: 273–83)
・一般人口の0.1-0.2%, 不妊男性の3.1%で認められるとされる.
・長身, 手足が長い体格で
精巣萎縮, 女性化乳房, 低ゴナドトロピン, FSH正常~高値を認める
・遺伝子異常の80%が47, XXYであり,
残りの20%は48,XXXY; 48,XXYY; 49XXXXY; 46, XY/47, XXYモザイクがある.
基本的にX染色体の過剰が原因となる
Klinefelter症候群は未診断例が多い
・出生前診断が10%,
小児期や成人で診断される例が26%(低ゴナドトロピン, 女性化乳房, 不妊での精査)
残り64%は診断されていない.
KS: 低ゴナドトロピン以外の症候
KSでは低ゴナドトロピン, 不妊以外に,
・代謝内分泌疾患(インスリン抵抗性, 脂質代謝異常, 肥満)
・血栓傾向(上記を含めて心血管障害リスク)
・悪性腫瘍
・自己免疫性疾患 のリスクが上昇することが分かっている
(Metabolism Clinical and Experimental 86 (2018) 135–144)
悪性腫瘍全体は一般男性と比較してリスク上昇は認めないが
・乳癌リスクは19-30倍に,
・性線外胚細胞性腫瘍リスクは30-40倍 (非セミノーマ型)
・血液腫瘍: 白血病(SIR 3.62)や非ホジキンリンパ腫(SIR 3.02)
・前立腺癌のリスクは反対に低下する(SIR 0.24)
自己免疫性疾患では, SLE, RA, JIA, PsA, PM/DM, SSc, MCTDなど
男性例のpSS 136例において, 47,XXYを評価した報告では, 47,XXYは4例で認められた(2.9%).
・Control群では1/1254であり, 有意にpSSで多い.
・また, RA 384例の評価では47,XXYは認めず, SLE患者 308例では8例で陽性(2.6%)
・pSSとSLE患者における47,XXY陽性率は同等.
(Clinical Immunology 168 (2016) 25–29)
男性例のSLE 213例において遺伝子検査を施行した報告ではKSと診断されたのは5例(2.3%)
(ARTHRITIS & RHEUMATISM Vol. 58, No. 8, August 2008, pp 2511–2517)
男性例のSLE 276例の評価では, KS患者は7例(2.5%)
・47,XXYが4例, 46,XY/47,XXYが2例, 46,XX/47,XXYが1例.
・KS患者におけるSLEでは, 漿膜炎や神経障害, AIHA, 血小板減少, 抗RNP抗体, 抗Sm抗体陽性例は認められず, 全体的に軽症例が多い.(一般的に男性例のSLEは女性例よりも重症が多い中で)
(Acta Pædiatrica 2011 100, pp. 819–823)