ブログ内検索

2017年7月30日日曜日

腎周囲の毛羽立ちに意味はあるか?

腎周囲の毛羽立ちがあるので(ないので)腎盂腎炎だと思います(ではないと思います)という会話は”残念”ながら周りでそれなりに聞く頻度が高い.

国内より, 急性腎盂腎炎 89例と, 腎生検を行う患者319例のCT所見を後ろ向きに評価し, 腎周囲脂肪織混濁(毛羽立ち所見)の腎盂腎炎への有用性を評価した報告.
(International Journal of General Medicine 2017:10 137–144 )
・全患者での評価では, 腎周囲の毛羽立ち所見は感度72%[61-81], 特異度 71%[66-76]で急性腎盂腎炎を示唆する所見.
 LR 2.5[2.0-3.1]と結構微妙な所見.

また高齢者, 男性, 腎機能低下があると偽陽性が上昇
・これら要素, 背景をpropensity score matched analysisで評価すると
 感度 72%[61-81], 特異度 58%[48-69]となる

韓国において, 女性の急性腎盂腎炎 125例のCT所見を評価
(Korean J Urol 2014;55:482-486)
・平均年齢は42.8±13.5と若い.
・CT所見で最も多いのは腎周囲脂肪織混濁の55%

所見の有無別の差: 腎周囲脂肪織混濁はより炎症反応が高く, 膿尿も高度な患者で多い

----------------------------------
FBで知った論文です.
個人的にはアテしていません. やはり経過, CVA叩打痛, そして尿検査で十分で, 尿路閉塞や膿瘍を評価するにはエコーで十分.

むしろ毛羽立ちの偽陽性で色々議論が飛んでいるのを見ているとイライラします.
敗血症で全身血管透過性が亢進している場合や, AKIでは結構偽陽性となります.
その場合は両側性となるので, 両側性のこの所見をみたらまずそっちを疑います.
そもそも両側性の腎盂腎炎って非常に稀ですから