・有名なのはトライエージ.
また近年Medical statやINSTANT-VIEW M-Iという検査も発売されている.
・Medical stat testは1個4500円, 25個で89000円(3560円)
トライエージは1個3520円. ほぼ同じ値段.
購入可能な検査キットと各中毒物質濃度のカットオフ
物質 |
トライエージ |
インスタント・ビュー |
メディカルスタット |
アンフェタミン(AMP) |
650 |
- |
1000 |
メタンフェタミン(mAMP) |
1000 |
500 |
1000 |
大麻(THC) |
50 |
50 |
50 |
コカイン(COC) |
300 |
300 |
300 |
ベンゾジアゼピン(BZO) |
300 |
300 |
300 |
バルビツール(BAR) |
300 |
200 |
300 |
三環系抗うつ薬(TCA) |
1000 |
1000 |
1000 |
フェンシクリジン(PCP) |
25 |
- |
25 |
オピオイド(OPI) |
300 |
- |
300 |
メタドン(MTD) |
- |
- |
300 |
急性薬物中毒疑いで尿検査を施行した45例で, トライエージ, インスタント・ビューを施行した結果
(日救急医会誌 . 2012; 23: 842-50)
・両者で診断能は良好.
・トライエージでは, TCAの感度が低い.
薬物中毒疑いで尿検査を施行した21例でトライエージとメディカルスタットを施行.
(日臨救医誌(JJSEM)2015;18:56-9)
・両者の一致率は91%と良好.
・両者はほぼ同等の診断能を有すると判断
検査の偽陽性, 偽陰性となるもの
・上記トライエージとインスタント・ビューを比較した試験において, 偽陽性, 偽陰性となった薬物は以下のとおり
・RSはガスクロマトグラフィーによる原因薬物の評価
(日救急医会誌 . 2012; 23: 842-50)
物質 |
トライエージ |
|
インスタント・ビュー |
|
|
偽陽性 |
偽陰性 |
偽陽性 |
偽陰性 |
アンフェタミン(AMP) |
ゾニサミド |
ー
|
ー
|
ー
|
メタンフェタミン(mAMP) |
ー
|
ー
|
ー
|
ー
|
大麻(THC) |
ー
|
ー
|
ー
|
ー
|
コカイン(COC) |
ー
|
ー
|
ー
|
ー
|
ベンゾジアゼピン(BZO) |
ゾルピデム, ビペリデン, ベンゾフェノン, |
ノルジアゼパム, ニトラゼパム, クエチアピン |
ゾルピデム ビペリデン ベンゾフェノン |
ー
|
バルビツール(BAR) |
フェニトイン |
ー
|
ー
|
フェノバルピタール |
三環系抗うつ薬(TCA) |
クロルプロマジン, シプロヘプタジン |
アモキサピン |
シプロヘプタジン ミルタザピン |
ー
|
フェンシクリジン(PCP) |
ジフェンヒドラミン |
ー
|
ー
|
ー
|
オピオイド(OPI) |
ー
|
ー
|
ー
|
ー
|
メタドン(MTD) |
ー
|
ー
|
ー
|
ー
|
また, これら以外に
・アンフェタミンやメタンフェタミンは感冒薬(エフェドリンなど)や麻黄で偽陽性となる.
・オピオイドはリン酸コデイン(感冒薬含む)で偽陽性
トライエージにおける薬物別, 濃度別の感度, 特異度
急性薬物中毒の定量解析とトライエージを行なった822例の比較
(日救急医会誌 . 2014; 25: 865-73)
・定量解析にて, 陰性, 治療濃度域以下, 濃度域内, 濃度域以上に分類しトライエージの陽性率を評価した
薬剤の治療域
それぞれの血中濃度とトライエージの判定
・BZOやTCAでは治療域以上でも陰性例は多い.
・また, BZOは定量解析で陰性でも, トライエージで陽性となる(偽陽性)も多い.
薬剤別の感度, 特異度
ベンゾジアゼピン
・ベンゾジアゼピンでは全体的な特異度は低い.
・感度は良好だが, Clotilazepam, Etizolam, Nitrazepamではやや低め
バルビツレート, 三環系抗うつ薬, アンフェタミン
・BARは比較的感度, 特異度は良好.
・TCAは特異度は良いが, 感度が低い.
特にAmoxapine, Desipramine, Imipramineでは感度は低く, これらの中毒症ではトライエージでは検出できない可能性が高い.