(British Journal of Surgery 2012; 99: 532–539)
・複雑性; 穿孔, 膿瘍形成(+)例.
・抗生剤あり vs 抗生剤無しの群に割り付け, 両者で経過を比較.
抗生剤は2nd, 3rd cephem + MTZもしくはカルバペネム, PIPC/TAZ,
内服ではCPFX+MTZが選択. 7日間投与.
母集団
Outcome;
・入院中の穿孔, 膿瘍形成合併率は両者有意差無し.
・フォロー中の手術適応例の増加も有意差は認めない.
・また, 腹痛や発熱, 圧痛の経過も両者で有意差無し.
・1年後の腹痛や排便習慣の変化, CF所見も両者で変わらない.
DIABOLO trial: CTで診断された左側の非複雑性軽症憩室炎 526例を対象とし, 抗生剤非投与群 vs 投与群に割付け比較したRCT.
(BJS 2017; 104: 52–61)
・非複雑性軽症はHinchey 1a,bで定義(結腸周囲の炎症〜膿瘍形成<5cm)
・繰り返す憩室炎や, 免疫不全, 重症例, 外科的処置必要例などは除外.
・抗生剤投与群ではAMPC/CLAを使用.
アウトカム:
・改善率は両者で有意差を認めない.
6ヶ月際入院リスクや合併症リスクも有意差なし
再発リスクも有意差がない結果であった.
・改善までの期間や腹痛の経過も両者で同等.
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・軽症の左側憩室炎では抗生剤Freeで経過をフォローする選択肢もアリか.
後者DIABOLO studyでは<5cmの膿瘍(1b)も対象となっているが, 実際の母集団では90-94%が1a群(結腸周囲の炎症所見)であり, 膿瘍形成がある場合は注意が必要と考えられる.
・また, 前者のStudyでは憩室炎既往がある患者が36-45%あり, 後者のDIABOLOでは除外項目となっている憩室炎既往については気にしすぎる必要はないか.
まあ、膿瘍形成のない左側憩室炎では経過観察も手、という認識で覚えておく.