甲状腺はヨードを含むため, CT値は高い.
(J Comput Assist Tomogr 2016;40: 316–319)
ドイツからの報告では, (Rofo. 1986 Apr;144(4):417-21.)
・健常人の甲状腺CT値は75±6.2HUであり, 甲状腺腫大(+)群よりも高い(66±6.0HU)
・免疫性甲状腺機能亢進症では48.5±7.9HUと低くなるが, 非免疫性(主にヨード過剰摂取に伴うもの)では79.8±12.5HUとさほど変わらない結果.
・甲状腺のヨード含有量とCT値には相関性が認められる.
日本国内より, 甲状腺手術予定の18例における, 甲状腺組織のヨード濃度とCT値を比較.
(Journal of Computer Assisted Tomography 1991;15:287-290)
・18例より, 正常甲状腺組織 48部位で濃度, CT値を比較した.
・CT値 = 65 + 104 x ヨード濃度(mg/g)で計算可能(γ=0.96)
前述のグループからの追試
36例の患者において, 甲状腺組織像, ヨード濃度とCT値を評価した報告.
(Journal of Computer Assisted Tomography 2000;24:322-326)
・ヨード含有量とCT値には相関性を認める.
・組織では濾胞組織が多い(正常)ほど, ヨード含有量も多く, CT値も高い
濾胞が減少し, 間質組織が増生している場合はCT値が低下する.
TSHとCT値の関連:
頸部のCT画像を評価し, 且つTSHを評価した157例を後ろ向きに解析
(J Comput Assist Tomogr 2016;40: 316–319)
・THS <0.4µIU/mLは51例, 0.4-4.0µIU/mLは78例, >4.0µIU/mLは28例.
TSHとCT値
・TSHが正常範囲から逸脱している患者ではCT値も低下する.
年齢とCT値の変化
・高齢者ほど筋肉のCT値は低下するが, 甲状腺は有意差は認めない.
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CTで甲状腺、意識してみていますでしょうか?
頸部CT以外にも、胸部CTでも甲状腺が評価できることは多いです.
何かしらの理由で複数回 胸部CTを評価されている場合、どの時点で甲状腺機能低下症が出現したかを推測可能ですし, 甲状腺異常を疑う切っ掛けとなるかもしれませんね