RAの初期として関節痛のみを認めることがあり, 臨床上関節炎を認めず, RAを考慮する関節痛がある病態をClinically suspect arthralgia(CSA)と呼ぶ.
CSA患者のうち44%がMRIで小関節炎所見を認め, 臨床所見や血液検査では炎症が検出できないという報告がある
・ただし, MRI所見の特異性を評価した報告はない(RA発症や関節炎のリスクとなるかどうか)
(Ann Rheum Dis 2016;75:1824–1830.)
CSA患者150例を6ヶ月間以上フォローしたProspective study
・CSAは1年未満の小関節の疼痛が認められ, RAに進行する可能性があると専門医が判断した症例で定義.
臨床的関節炎が認められる場合や, 他に関節痛の原因となるものが認められた場合は除外される.
・CSA患者はフォロー中DMARDやステロイドは使用しない.
・上記患者群において, MRI検査, 血清学的検査(ACPA, RF)を評価し, 臨床的関節炎進展リスクを評価.
CSAにおけるMRIの評価
・193例の健常人におけるMRI所見のデータから評価項目を作成.
・疼痛が強い側(左右同等ならば利き手側)のMCP2-5, 手関節, MTP1-5を評価する.
・MRI撮影の24時間以内はNSAIDの使用を禁止
・MRIは造影を用いて, RAMRIS(RA MRI scoring system)に準じて撮影
MCP, 手関節, MTPにおいて, 滑膜炎所見, 骨髄浮腫所見をOMERACT RAMRISに準じてスコア化.
・CMC-1(carpometacarpal) は除外.
・MRIにて関節炎所見ありは, 以下で定義.
1) 2名の臨床所見Blindの読影者が炎症ありと判断
2) スコアが同年齢の健常者の95%信頼区間を超える.
参考: OMERACT RAMRISによる評価
(Ann Rheum Dis 2005;64 (Suppl 1):i3–7.)
母集団のデータ
アウトカム
・150例中1例が痛風を発症したため除外.
149例を75週間[41-106]フォローし, 臨床的関節炎を発症したのは30例.
そのうち23例がRAと診断, 6例が分類不能関節炎, 1例が乾癬性関節炎
・発症までの期間は7週間で, 20週以内に87%が関節炎を発症.
発症のリスク因子:
・小+大関節痛, CRP高値, ACPA陽性, MRIで炎症所見ありは有意なリスク因子となる.
CSAにおけるACPA, MRIの症候性関節炎進展に対する感度, 特異度
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RAっぽいけど, 痛みだけ. という人はたまに目にします.
そのような患者群から症候性の関節炎, RAとなるのは30/150 (20%)
その大半が半年以内に進行する.
MRIとACPAは同等の関節炎進行予測因子.
しっかり予測するならば造影MRIもやるべきでしょうが, 半年〜1年程度フォローするのでもよいのでは? とかも思ってしまう.