非機能腺腫 166例と副腎腫瘍(-) 740例を対象とした後ろ向きCohort study(平均7.7年間フォロー, 3年以上).
(Ann Intern Med. 2016;165:533-542. )
・両者における, 高血圧, 2型糖尿病, 高脂血症, 心血管イベント, 慢性腎疾患リスクを両者で比較した.
・ホルモン産生腫瘍, 未評価例, 下垂体疾患例, ステロイド使用例, 悪性が疑われる症例は除外されている.
両者の基礎データ:
・非機能腺腫 244例とコントロール群 1237例
このうち3年以上フォローされている166例, 740例で比較.
アウトカム
*一部患者は評価開始時にすでに前糖尿病(+)であったため, 糖尿病全体は前糖尿病+2型糖尿病ではないことに注意
このうち3年以上フォローされている166例, 740例で比較.
アウトカム
|
NFAT |
Control |
RR |
高血圧 |
25.7% |
31.3% |
0.93[0.55-1.57] |
高脂血症 |
17.2% |
14.3% |
0.95[0.51-1.78] |
糖尿病全体* |
27.3% |
11.7% |
1.87[1.17-2.98] |
前糖尿病 |
20.9% |
5.8% |
3.19[1.83-5.59] |
2型糖尿病 |
11.1% |
6.8% |
0.99[0.49-1.98] |
CKD |
9.9% |
8.7% |
1.00[0.53-1.89] |
心血管イベント |
9.4% |
8.7% |
0.72[0.37-1.39] |
・非機能性腺腫(NFAT)では糖尿病リスクの上昇する.
初期にDM(-)群のフォロー
A: 1mg DEX抑制試験と24h尿中遊離コルチゾールでSubclinical hypercortisolismを除外したNFAT
B: 1mg DEX抑制試験でSubclinical hypercortisolismを除外したNFAT(≤50nmol/L)
C: 24h尿中遊離コルチゾールでSubclinical hypercortisolismを除外したNFAT(<138nmol)
D: NFAT, subclinical hypercortisolism, Control群におけるDM発症率
・Subclinical hypercortisolismではなくても, NFATはDM発症(前糖尿病)のリスクとなり得る.
・Subclinical hypercortisolismはさらにDM発症リスクが高い.
実は非機能性腺腫は耐糖能を低下させるホルモンを分泌している ”機能性”なのかもしれない.