The American Journal of Medicine (2016) 129, 1082-1092 より
デンマークにおいて, 140例の自己免疫性甲状腺機能低下症患者と年齢, 地域を合わせた560例のControl群において,自覚症状を評価し比較.
・症状は<50歳, 50-59歳, ≥60歳の3群で比較した.
・自覚症状は質問表を用いて, 甲状腺機能低下症が診断される12ヶ月以内に認めた症状をチェックする.
・症状は論文報告より, 関連性がある13症状を評価
頸部症状(腫大, 嚥下困難, 前頸部痛),
呼吸器症状(Wheezing, 呼吸苦),
心臓症状(動悸),
消化管症状(便秘),
皮膚症状(Hair loss, 皮膚過敏, 乾燥),
精神症状(Restlessness, 気分障害),
倦怠感 の13項目.
また, 最近のめまい, ふらつきの有無も評価.
アウトカム: 症状の数は, 高齢者ほど少ない.
・70歳以上では, コントロール群と症状の数は変わらない.
・<50歳では, 症状が多ければ積極的に疑うが, ≥60歳では症状が多くても甲状腺機能低下症の可能性を上げるわけではない.
症状別の評価
(A: <50歳, B: ≥60歳. ● 甲状腺機能低下症, ○ Control群)
≥60歳でControl群と比較して有意差を認める項目は,
・疲労感
・呼吸苦
・Wheezing の3項目
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「甲状腺機能低下症」でよく見られる症状は若年〜中年発症例では目立つが, 高齢者の甲状腺機能低下症では典型的な症状とはならない.
高齢者の甲状腺機能低下症で有意に多いのは疲労感や呼吸苦、Wheezeである結果.
たしかに, 高齢者では症状がイマイチはっきりせず, 不定愁訴のスクリーニングとして評価して引っかかったことや, かなり疑って外すことも少なからず経験します.
にしてもWheezeかぁ、、これはあまり引っ掛けたことはないですけど.