治療はLMWH + 抗凝固で開始し, 抗凝固は90日以上継続する.
国内ではLMWHは使用できないため, 無理やり合わせるならば, まずヘパリン使用しながらNOACにして, それを継続する形となるが...
どのような症例が外来治療可能か評価するためにはHestia criteriaとPE severity indexがある.
Hestia criteria: 外来治療可能なPEを判断する指標.
オランダにおける前向きStudy (Journal of Thrombosis and Haemostasis, 9: 1500–1507)
急性肺塞栓症患者において, 事前に設定したCriteria(Hestia criteria)を満たさない患者を外来で治療した(LWHM+抗凝固療法).
・外来治療群では, 診断後 24h以内に外来治療へ移行する.
Hestia criteria: 以下を全て満たさない場合に外来治療可能と判断する.
血行動態不安定* |
感染や悪性腫瘍など24h以上の入院が必要となる理由がある |
血栓溶解, 血栓除去術が必要 |
CCr <30mL/min |
活動性出血, 出血リスクが高い** |
重度の肝障害がある |
SpO2>90%維持するために24h以上酸素投与が必要 |
妊婦 |
抗凝固療法中にPEを診断 |
HITの既往がある |
24h以上, 鎮痛剤の経静脈投与が必要 |
|
*sBP<100mmHgでHR>100bpm, ICU管理が必要. **14日以内の消化管出血, 4wk以内の脳卒中, 2wk以内の手術歴, 出血素因, 血小板<7.5万/µL, コントロール不良な高血圧(sBP>180, dBP>110)
Hestia criteriaを満たさない急性PE 297例を外来で治療
・3ヶ月でVTE再発したのは2.0%(PE 1.7%, DVT 0.3%)
・Major 出血リスクは0.67%, 全死亡リスクは1.0%
Hestia criteriaのValidation: オーストリアにおけるopen-label, noninferiority RCT.
(Am J Respir Crit Care Med Vol 194, Iss 8, pp 998–1006, Oct 15, 2016)
・Hestia criteriaを満たす成人急性肺塞栓患者 550例を対象とし, そのまま外来治療とする群 vs NT-proBNPを評価し, 外来治療を決める群に割つけ, 30日予後を比較.
・NT-proBNP群では, >500ng/Lでは入院加療とし, ≤500ng/Lでは外来治療とする.
母集団
両群におけるNT-proBNP値
・Hestia criteriaのみ群では23例がNT-proBNP>500 → 外来治療
・NT-proBNP併用群では34例がNP-proBNP>500 → 入院治療
・これら両群でPrimary endopointは無し(PE再発, Major出血由来死亡, 心肺蘇生, ICU管理, 血栓溶解療法, 血栓除去術)
・全体で見ても, 両群で差はない結果.
PE severity index risk classで外来管理を決める.
スイス, フランス, ベルギー, USAにおけるopen-label, non-inferiority RCT
・成人例の急性肺塞栓患者で, PESI I-IIを満たす344例を外来治療群(24h以内に退院) vs 入院治療群に割つけ, 90日予後を比較.
・治療はLWMH+抗凝固療法で開始し, 抗凝固療法は90日以上継続.
Original PESI |
pt |
年齢 |
年齢pt |
男性 |
+10 |
悪性腫瘍 |
+30 |
心不全 |
+10 |
慢性肺疾患 |
+10 |
HR>=110 |
+20 |
sBP<100mmHg |
+30 |
RR>=30 |
+20 |
BT<36 |
+20 |
意識障害 |
+60 |
Sat<90% |
+20 |
Class I =<65, Class II 66-85; Low risk
Class III 86-105, IV 106-125, V >125; High
Class III 86-105, IV 106-125, V >125; High
母集団データ
アウトカム
・VTEの再発例は外来治療群で1例のみ.
・全死亡例は両群で1例ずつ.
・低リスク群では外来治療も選択肢の1つとなる
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海外では保険の関係もあり, なるべくできるならば外来で, という考えが主流となる.
国内では保険制度や, 病院の。。。などもあり, まあ入院前提となるのであろう.
でも中には, 絶対入院したくないーーという人もいると思うので,
その場合に押さえておくと良いかもしれないですね.