GFR<20-30ml/minでリン排泄は不十分となり, 血清リンの上昇が認められる.
血清リンの上昇は死亡リスク因子(HR1.20)となるため, そのような患者ではリン制限(<900mg/d)を行う必要がある(Am J Kidney Dis. 2015 Aug;66(2):258-65.).
それでも低下が乏しい場合にリン吸着剤を使用する.
吸着剤には,
・Ca含有製剤: 沈降炭酸Ca(カルタン®)
・ランタン: 炭酸ランタン(ホスレノール®)
・セベラマー(フォスブロック®など)
・ビキサロマー(キックリン®)
・鉄製剤: スクロオキシ水酸化鉄(ピートルチュアブル) がある
(参考: ホスピタリスとのための内科診療フローチャート)
これらリン吸着剤を比較したNetwork Meta-analysis
(Am J Kidney Dis. 68(5):691-702. a 2016)
77 trials, N=12562, 透析患者 11009例において, リン吸着剤 vs 他剤, プラセボを比較
死亡リスク
・Ca含有製剤と比較して, セベラマーは有意な死亡リスク軽減効果が認められる.
しかしながら, それぞれの薬剤 vs プラセボの比較では, 有意差は認められない.
・したがって, セベラマー vs Ca含有吸着剤において, 死亡リスク軽減効果が認められたことが, Ca含有吸着剤が死亡リスクを上げているのか, セベラマーが死亡リスクを下げているのかはわからない.
それぞれの薬剤と症状のリスク
それぞれの症状において, Best(最も少ない), Worst(最も多い) ”可能性”がどの程度あるかを評価したグラフ.
これより判断すると,
・セベラマーは便秘リスクが最も高い
・ランタンは悪心リスクが高い
・Ca含有製剤は高Caリスクが高い
・鉄含有製剤は比較的副作用が少なくP値補正効果も良好(ただし透析患者のみ保険適用)
・ビキサロマーは便秘, 悪心リスク
・コレスチランは悪心が強い.