(N Engl J Med 2016;375:1524-31.)
PESIT trial: 初発の失神で入院した患者で, Wellsスコアで低リスク群 且つ D-dimer陰性例を除外した症例において, 肺血管CT造影, 換気血流シンチを施行.
・失神の定義は一過性の意識障害, 急速発症で持続時間は<1分, その後改善する経過. てんかんや脳卒中, 外傷は除外される.
初回失神でERを受診し, 入院となった症例を対象.
・入院理由は
転倒による外傷,
重度の併存症,
失神の原因が不明,
Evaluation fo Guidelines in Syncope Study scoreで心原性失神の可能性が高い.
・失神既往がある場合, 妊婦, 抗凝固薬使用例は除外
これら症例において, Simplified Well score, D-dimerを評価し, ≤4pt且つD-dimer陰性例はPEを除外. それ以外で肺血管CTもしくは換気血流シンチを施行した.
アウトカム
2012-2014年に失神でERを受診したのは2584例.
・このうち1867例は入院とならなかった(72.3%)
・入院となった717例中, 157例(21.9%)は抗凝固中, 失神の既往がある患者が35例, 同意をえらえなかったのが4例.
・残りの560例が評価の対象.
560例中, Simplified Well’s score ≤4pt 且つ d-dimer陰性が330例. 残り230例でPEを評価したところ, 97例で肺塞栓を診断した.
かなり荒く計算すると,
・全体で考えると失神で受診した患者の3.8%が肺塞栓.
・入院した失神患者で考えると13.7%が肺塞栓.
・初回失神で入院し, 抗凝固中患者を除外した560例で考えると17.3%が肺塞栓.
・さらに低リスク群を除外した230例で考えると42.2%が肺塞栓.
入院した初回失神患者群における, 肺塞栓(+)例と(-)の比較
・肺塞栓のリスクを上げる因子として, VTEの既往歴, 失神の原因が不明, 呼吸数>20, HR>100, sBP<110 = Vitalサインの異常がある群, DVTの臨床所見がある, 担癌患者が挙げられる.
これら要素がある場合は要注意と言えよう.