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2020年1月15日水曜日

膝関節術後DVT予防 Osocimab

Osocimab: XIa因子に対するヒトモノクローナル抗体
・XI因子は内因系の重要な因子でありXI因子を阻害することで血栓症リスクを軽減する一方出血リスク増大リスクは低く保てるという報告がある.
・Osoximabは経静脈投与により, 投与後1-4hでピーク濃度となり
 半減期は30-44日間と長期間.
一度投与することで長期的なVTE予防効果が期待できる.

FOXTROT: 膝関節置換術を施行される患者を対象とし, Osoximabの投与量, 効果を評価したPhase 2 trial.
(JAMA. 2020;323(2):130-139.)
・患者は18歳以上で待機的の片側の膝関節置換術を予定されている群
・除外: 活動性出血, 出血高リスク, 3ヶ月以内の脳・脊髄・眼手術歴, コントロール不良な高血圧, 体重>135kg, Hb<10g/dL, APTT>ULN, CCr<60mL/min, 臨床機的に重要な肝疾患, DVT既往

上記患者群を, 最初は以下に割り付け
・術後にOsocimab 0.3mg/kg, 0.6mg/kg, 1.2mg/kg, 1.8mg/kg
 その後 術前日に0.3mg/kg, 1.8mg/kg投与群も追加
 投与は60分かけて経静脈投与施行
Control群はEnoxaparin 術前と術後6-8hで投与, 以後11, Apixaban 2.5mg12(術後12-24hで開始), 双方とも10日間継続とし, VTE発症リスクを比較した(Day 10-13にエコーを施行).

母集団

アウトカム
・OsocimabEnoxaparin, Apixabanと比較して静脈血栓症予防効果は非劣性.
術前のOsocimab 1.8mg/kg投与はEnoxaparinよりも予防効果は良好となる.


出血リスク

・出血全体のリスクはEnoxaparinよりもOsocimabの方が少ない可能性
Apixabanとは有意差はない

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1回投与で長期的なVTE予防効果が期待できる新しいXIa因子抗体.
LMWHよりも効果は良さそうで, 出血リスクも同等〜低い可能性がある.
流行りそうなんですけども, 半減期が長いってことは, 不具合が出た場合も長いということで, そこ心配.