現在までの報告から予測すると, 菌血症の際の菌濃度は≤0.01-1 CFU/mL程度であり, 60mLの採血で理論上感度は97-99%となると予測できる.
・したがって, 血液培養1本あたり8-10mLの採血が必要であるが, 十分量採血できているのは20-97%程度との報告がある.
・多くは2-5mL程度のことが多い.
・検査室によっては, 採血量が不十分な場合はその旨をレポートに記載しているところもある.(機械にて判断し, 採血者へレポートするものもある)
(Clinical Infectious Diseases® 2020;70(2):269–70)
血液培養のセット数と感度
n
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1セット
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2セット
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3セット
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4セット
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非心内膜炎患者†
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763
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80.6%
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95.8%
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99.1%
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100%
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心内膜炎患者†
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40
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92.5%
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97.5%
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97.5%
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100%
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血流感染患者‡
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629
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73.1%
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89.7%
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98.2%
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99.8%
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原因菌と陽性が判明する血液培養セット数
(J Clin Microbiol 2007;45:3546-48)
・S aureus菌血症は陽性率が高く, 1-2セットで十分のことが多い.
・他の菌は1セットのみでは感度は6-8割程度.
2セットで9割. 3セットまで採取すると感度はほぼ100%近くなる
・最近の報告でも, 741例の菌血症のうち, 初回の血液培養で陽性となったのは83.4%, 残りの16.6%は2-4回の培養で陽性となった.
(Clin Microbiol Infect 2015; 21: 332–336)
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Clin Infect Disで血液培養における採血量のShort reviewがあったので復習
Clin Infect Dis. 2020 Jan 2;70(2):269-270. doi: 10.1093/cid/ciz203.
Using Data to Optimize Blood Bottle Fill Volumes and Pathogen Detection: Making Blood Cultures Great Again.
基本2セットですが, どうしても細菌を同定したい場合(化膿性骨髄炎・脊椎炎など長期間の抗菌薬が必要となるような場合で外科的検体採取が困難, など)では, 治療開始前に3セット以上採取することがあります.