ブログ内検索

2017年8月19日土曜日

シェーグレン症候群とMタンパク血症

Mタンパク血症といえばMGUSや多発性骨髄腫, 原発性マクログロブリン血症, 悪性リンパ腫で認められる所見であるが, シェーグレン症候群でもMタンパク血症を合併することは覚えておいた方が良い.

過去のデータからは, 原発性シェーグレン症候群の21%でMタンパク血症を認める
(Medicine 2005;84:90–97)

Primary Sjogren syndrome 200例とHCV関連 Sjogren syndrome 37例において, 免疫電気泳動施行
(Medicine 2005;84:90–97)

・Primary SSでは18%(35)M蛋白を検出.
 HCV SSでは43%(16)M蛋白を検出.
・Primary SSではIgGκ, λの頻度が高くHCV SSではIgMκの頻度が高い.
クリオグロブリンもM蛋白陽性例の18%, 81%で陽性となった.

M蛋白陽性例と陰性例の比較では最も差があるのが陽性例ではよりESRが亢進.


SS患者におけるMタンパクを評価した報告
(Journal of Autoimmunity 39 (2012) 43-48)

・2002年基準におけるpSSでは22%Mタンパク陽性
1993年基準では16%, HCV関連では52%で陽性.
免疫グロブリンのタイプはIgG, IgMが多い.
 特にHCV関連ではIgMが多い

Mタンパク陽性例と陰性例の比較

・Mタンパク陽性例では, 唾液腺腫脹, 血管炎合併, 神経障害合併ESR亢進, RF陽性, 補体低値クリオグロブリン血症死亡リスクが上昇する

-------------------------------
そのMGUSの背景にシェーグレン症候群はないだろうか?
抗核抗体陰性やSS-A,B陰性ではシェーグレンは否定できないし, 外分泌腺症状の評価は重要だけども結構しっかりできていないことも多い.