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2017年8月25日金曜日

キノロンは頭蓋内圧亢進のリスクとなる

特発性頭蓋内圧亢進症(IIH). Pseudotumor cerebriとも呼ばれ, 若年女性, 肥満患者がリスクとなる.
頭蓋内圧亢進により視神経乳頭浮腫や視野障害, 頭痛, 耳鳴など呈する

(Lancet Neurol 2016; 15: 78–91)
・一過性の視野障害は60秒以内に生じ, 姿勢により増悪する
・耳鳴りも拍動性となるのがポイント
・髄液鼻漏の報告もあり

このIIHに薬剤の関連性が指摘されており,
・テトラサイクリン, シプロフロキサシン, レボフロキサシン, シクロスポリン, リチウム, Nalidixic acid, Nitrofurantoin, 経口避妊薬, Lovonorgestrel, ダナゾール, タモキシフェンによるIIHの報告例がある.
(Am J Ophthalmol 2011;152:163-169)

FQも特発性頭蓋内圧亢進の原因となり得る.
(Neurology® 2017;89:792–795)
・15-60歳の良性頭蓋内圧亢進症(BIS)と診断され, 診断後15-30日以内に頭部画像評価, 腰椎穿刺を施行した患者群を抽出.
それに対するControl(1例につき10)群を抽出し比較したCase-control study.
 Controlは同時期に受診・フォローされた性別年齢を合わせた患者群.

6110723例の患者を評価し, 頭蓋内圧亢進症患者は339対応するControl3390例を評価した.

両群の比較

年齢, 性別, 肥満など頭蓋内圧亢進リスク因子で調節した抗菌薬(FQ, テトラサイクリン)の頭蓋内圧亢進症リスク

・15日以内, 30日以内のFQ使用は有意なリスク因子.
 同様にテトラサイクリン使用歴もリスク因子となる

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そもそもまれな疾患で, 副作用としてもまれでしょうが,
FQはよく使用される抗菌薬であることからも頭の片隅には入れておきたいところ