(Lancet 2016; 387: 1999–2007)
・ジクロフェナク 75mgをIM投与群
モルヒネ 0.1mg/kg IV群
アセトアミノフェン 1g IV群に割り付け, 疼痛を比較.
・疼痛改善は投与30分後に50%以上の改善で有意とする
患者は疼痛スケール 4/10以上の腎疝痛を認めた患者群を対象
・患者群において, CTで尿路結石が認められたのは82%であった
解析はITT解析と, CTで結石(+)の1316例を対象としたPer-protrcol解析.
アウトカム(ITT解析):
・疼痛改善は有意にNSAID IM群で良好.
・NSAIDではモルヒネと比較してより早期に疼痛が改善する
・モルヒネは効果が遅い傾向がある.
Per-protocol解析でも同じような結果
別の小規模Studyではアセトアミノフェンとモルヒネの効果は同等との結果
Renal colic(+)でEDを受診した患者165名を Acetaminophen 1000mg IV, Morphine 0.1mg/kg, Placeboに割り付け30min後の疼痛レベルを評価 (RCT, DB, 追跡88%) (Ann Emerg Med 2009;54:568-74)
Outcome
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Acetaminophen
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Morphine
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Placebo
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VAS
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Baseline
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73[55-87]
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78[64-98]
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73[53-87]
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(0-100)
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15min
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21.5[9-38]
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40[20-68]
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57[29-57]
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30min
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19[5-42]
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23[4-59]
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33[15-66]
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ΔVAS
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Base-15min
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44.5[23-66]
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30[7-51]
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11[-3~29]
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Base-30min
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41.5[24-63]
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43[7-73]
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24[5-45]
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・15min時点ではΔVASはAcetaminophenのほうが良好(13[0.1-25])
・30min時点では両者に有意差なし(2[-13~16)
・1つ以上の副作用を認めたのはMorphineで33%, Acetaminphenで24%, Placeboで16%.
多いのは悪心嘔吐, 非特異的症状であった.
また, アセトアミノフェン、ジクロフェナク、鍼灸で比較したRCTでは
結石による腎疝痛患者 121例を対象としたRCT.
(American Journal of Emergency Medicine 33 (2015) 749–753 )
・IV アセトアミノフェン(1000mg)群
鍼灸群
IM ジクロフェナク(75mg)群に割り付け, 疼痛改善を評価.
・疼痛はVAS, VRS(verbal rating scale)で評価した. 10分, 30分, 60分, 120分で評価
・疼痛改善が最も早いのが鍼灸群とNSAID群
・アセトアミノフェンの鎮痛効果は良好だが効果がやや遅い印象
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以上まとめると,
腎疝痛に対して最も効果が早く, 良好なのはNSAID.
次いでアセトアミノフェンやモルヒネということになる.
これらの効果はNSAIDよりもやや遅い傾向がある.
腎疝痛に対して、まずモルヒネをERで使用することはなく, 普通はまずNSAID坐薬というのが現実的.
それで効果がない場合、弱オピオイドを併用するのが多いマネージメントと考えられるが, その前にアセトアミノフェンをかぶせるというのも良い選択肢と言えよう.