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2014年9月5日金曜日

覚醒剤中毒

覚醒剤中毒 Emergency Medicine Australasia (2008) 20, 391–402

覚醒剤
 アンフェタミン, メタンフェタミンなど合成覚醒剤が主流.
 アジアでは “シャブ” “スピード” “S” “アイス”と呼ばれる.
 覚醒剤の使用はオセアニアやオーストラリアで多い.
 全世界の使用者の2.5%がオセアニアにおり, 3.0%がオーストラリアに居る計算. 全国平均は0.2%
 オーストラリアでは一生の内, 男性の7.7%, 女性の4.9%が使用する.
 ニュージーランドでは9%が使用する計算.
 急性中毒症状による救急受診は全体の1.2%(オーストラリア)

覚醒剤は主にAmphetamine, methamphetamine, 3,4-methylenedioxymethamphetamineがある.
 アンフェタミン
PD
methamphetamineよりも交感神経賦活作用が強い
PK
VD3-5L/kg, タンパク結合率20%, 代謝; 肝臓30%, 腎排泄 10-13hr.
投与経路
粉末, 錠剤の内服, 煙の吸入, 静脈内投与
 メタンフェタミン
PD
CNS作用, 心血管系作用が最も強い.
PK
VD3-7L/kg, 肝代謝, 腎排泄は40-50%程度. 半減期8-12hr
投与経路
粉末, 錠剤, 結晶, 液体の経口, 吸入, 静脈内投与
 3,4-methylenedioxymethamphetamine
PD
交感神経賦活作用は際弱. セロトニン作用を持つ
PK
肝代謝35%, CYP2D6で代謝. 腎排泄が65%. 半減期7-9hr
投与経路
錠剤が最も一般的.

覚醒剤の急性中毒症状
CNSの興奮作用, 交感神経賦活作用を示す.
心血管系
; 頻脈, 高血圧. 晩期では低血圧となることも.
 大動脈解離, MI, 不整脈, 心筋症の原因となり得る.
中枢神経; 興奮, パラノイア, 上機嫌, 幻覚, 易刺激性, 頭蓋内出血, アテトーゼ舞踏様運動, 食思不振, 高体温, 昏睡, 痙攣.
他の交感神経系; 散瞳, 発汗, 振戦, 多呼吸
; 非心原性肺水腫, ARDS
消化管; 肝炎, 嘔気, 嘔吐, 下痢, 腸管虚血
代謝; 低Na血症(SIADH), アシドーシス
その他; 筋硬直, 横紋筋融解

慢性中毒では,
 行動, 精神障害, 拡張型心筋症, 弁膜症, 肺高血圧症, 血管炎を併発.

急性覚醒剤中毒の鑑別診断

急性中毒への対応
活性炭は経口摂取後1hr以内のみ有効.
 静注や吸入には無効. また誤嚥のリスクもあり, 覚せい剤中毒にはあまり有効とは言えない対応法.
 Amphetamineは弱塩基性であり, 尿の酸性化は排泄促進に有効だが, 横紋筋融解を惹起する可能性あり, これも非推奨.
 拮抗薬は無いため, 症状に応じた対応が必要となる.
 主に興奮症状, 高体温, 心血管系への対応が重要.

興奮, 焦燥感への対応 (積極的に治療すべき)
第一選択はベンゾジアゼピン.
 Diazepam 2.5-5mg IV, 3-5min毎に繰り返す.
 Midazolam 5-10mg 筋注(IVルートが無い場合)
 Clonazepam 0.5-1.0mg IV (リボトリール
®, ランドセン®)

興奮が幻覚によるものならば,
 ベンゾジアゼピン + Droperidol* 2-5mg IVにて治療を.
 (*ドロレプタン25mg 注射液
®)

痙攣への対応は通常と同じ. 低Na性の除外は重要.
 意識障害への対応; 低血糖, 低Na性のチェック, また, 頭蓋内出血除外のCT検査. ABCの確保.

低Na血症; SIADH由来であり, 脱水が無ければ大量補液は控える. 必要に応じて補正.

高体温への対応 (積極的に治療すべき)
 ベンゾジアゼピン, クーリングが基本.
 他にはNeuromuscular blockade, 5HT2 antagonist; Cyproheptadine* 12mg 経口, 経管投与.(* ペリアクチン 4mg錠
®)

横紋筋融解への対応; 補液による尿量確保が基本となる. 
 尿アルカリ化はAmphetamineの半減期を延長させる.

心血管系イベントへの対応
高血圧ではβ阻害薬は避けるべき.
 これもベンゾジアゼピンにて対応する.
 また, 血管拡張薬の使用を考慮.(Glyceryl trinitrate, Nitroprusside)
 α阻害薬も選択肢に入る.(Prazosin, Phenotolamine)

不整脈でも中期~長期作用型のβ阻害薬は避けるべき.
 洞性頻脈では経過観察 or ベンゾにて対応.
 SVTではAdenosine, verapamil, flecainide, 除細動など通常と同じ.
 心室不整脈では通常の対応を行うべき.

β阻害薬を使用すると, その分α作用が増強し, コントロール不良の高血圧となる可能性があり, 基本的に覚醒剤中毒ではβ阻害薬は使用しない.
 降圧は関係のないニトロ系か, α阻害薬が適応となる


2 件のコメント:

  1. はじめまして、某精神科病院で後期研修をしており、いつも参考にさせていただいています。
    よろしければこの記事で紹介されているtableの引用元を教えていただけないでしょうか。

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  2. このコメントは投稿者によって削除されました。

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