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2014年9月2日火曜日

副甲状腺機能亢進症

副甲状腺機能亢進症
The Oncologist 2007;12:644-53 Lancet 2009;374:145-58 N Engl J Med 2011;365:2389-97.

原発性副甲状腺機能亢進症 Primary Hyperparathyroidism (PHPT)
外来患者での高Ca血症で最多の原因
 内分泌疾患では3番目に多い疾患
 27-30/100 000pt-yrの罹患率で, 加齢より増加. 60-70歳台でピーク.
 男性 : 女性 = 1:4と女性に多い
 小児期の頭頸部放射線療法, リチウムの長期使用はリスクとなる.
 原因の80-89%を副甲状腺腫
 単独腺腫が75-85%を占める. 2か所で腺腫(+)が2-12%, 3か所の腺腫(+)は<1-2%, 4つ全てで腺腫を認めるのが <1-15%.
 悪性腫瘍は1%以下と非常に稀

 MEN I, MEN Iiaといった遺伝子変異も含まれる
 腺腫は甲状腺下極 > 上極であり, Sizeは1cm-3cm, Wt. 0.3-4, 5g
 4-16%で異所性の腺腫を認める(縦隔, 胸腺, 甲状腺, 下顎 etc.)

PHPTの症状としては, The Oncologist 2007;12:644-53
 再発性腎結石, 骨粗鬆症, 高血圧, 消化管潰瘍, 膵炎, 高Ca症状(意識障害, 倦怠感, 筋肉痛)など多彩.
 最も多いのは”無症候性”. 80%で診断時に症状が認めない (発症が高齢であることも無症候の原因となる)
 Nephrolithiasis 17-37%, Hypercalciuria 40%, Overt skeletal disease 1.4-14%, Asymptomatic 22-80% (Lancet 2009;374:145-58)
 高Ca血症については”電解質 Ca”スライドを参照のこと

Metastatic Pulmonary Calcification AJR 1994;162:799-802
高Ca, P血症にて生じる肺石灰化をMPCと呼ぶ.
 副甲状腺機能亢進症, 腎不全, T cell Leukemiaなど.
 肺結節, 結節石灰化, 小葉中心性の石灰沈着像をとることが多い.
 結節は3-10mmの辺縁不整な結節をとることが多い.
 GGOやConsolidationを認める例もあり.

小葉間隔壁の肥厚は通常認めず, 組織所見では肺胞隔壁, 細動脈, 細気管支のCa沈着が多い.


高Ca血症時の原因精査
 1; 治療可能な原因を評価
  薬剤, 腎不全合併 ⇒ 原因薬剤を中止, 再評価
 2; 副甲状腺は関連している?
  Intact PTHを評価
 3-a; PTH上昇 or 正常 ⇒ 副甲状腺機能亢進 or 腎性?
  24hr蓄尿中Ca量を評価
 ⇒ 低下していればFamilial Hypocalciuric hypercalcemia(<10mg/dL)
 ⇒ 正常, 高値ならば, Primary, Tertiary Hyperparathyroidism
 低下; < 100-200mg/d, Ca/Cr Clearance < 0.01
 正常, 高値; 250-300mg/d, Ca/Cr Clearance > 0.02
 副甲状腺機能亢進症の80%が腺腫によるもの

 3-b; PTH抑制 ⇒ 悪性腫瘍を評価
  症状, PTHrP, ALP ; Solid tumorを示唆
  Calcitriol上昇; リンパ腫, 肉芽腫性疾患
  多発性骨髄腫
 悪性腫瘍が否定的ならば, 他の内分泌疾患を評価
  Hyperthyroidism; TSH, fT4
  副腎不全; Cortisol
  末端肥大症; Insulin-like GF1, 下垂体MRIなど
 補足
  Secondary; Vit D欠乏, 肝疾患, 腎疾患, 腸疾患によりCa低下 ⇒ 反応性にPTHが増加
  Tertiary; Secondaryが持続することで副甲状腺腺腫を形成,
 また, PTH-R, Ca-SRの感受性低下を認め, 高PTH, 高Caを呈する.
 慢性腎障害患者で最も多く認められる形態.

鑑別疾患と検査: 高Ca血症, PTH正常~増加を来す疾患
 最も大事なのはFamilial Hypocalciuric Hypercalcemiaとの鑑別
 FHH; Ca-SR障害 ⇒ Ca腎排泄障害 ⇒ 高Ca血症, PTH正常範
  24hr蓄尿 Ca <100mg/L,
Ca-Cr Clearance ratio <0.01 (Sn85%, Sp88%)
  20%でPTHが高値となり, PTH高値はBMD低下のRisk.
  加齢とともにPTHは高値を取りやすい(特に>30yr)
(UpToDate 17.1)

 原発性副甲状腺亢進症でも10%がPTHが正常範囲をとる
 FHHの15-20%がPTH軽度上昇するため, PTHのみの判断は困難.(異常高値ならば別)
 PTHT患者のThiazide内服により高Ca増悪例もあり
  FeedbackによりiPTHが一見正常に見えることもあり.
  Thiazide中止後の血清Ca, PTH, 尿中Caフォローも重要となる.
  通常数日で血清Ca↓, PTH↑, 尿中P排泄↑, 尿中Ca排泄↑となる (Postgrad Med J 1981;57:80-3)

Ca-Cr Clearance; [U-Ca/P-Ca] x [P-Cr/U-Cr] 
 PHPTではCa-Cr Clearance > 0.02となるとされるが, 軽症のPHPTを含むと 1/3が<0.01, 1/3が<0.02となり, PHPTに特異的な計算式とは言えない. ⇒ Ca-Cr ClearanceはFHHにSensitiveな検査と認識すべき (Specificではない)  (J Clin Endocrinol Metab 2002;87:5353-61) ⇒ 特に, Vit D欠乏を合併したPHPTではCa-Cr Clearanceは低値に.
 同様に, 尿Ca >=250, 300mg/dとなるのはPHPTの40%程度 (UpToDate 17.1)

後天性のCa-SRに対する自己免疫機序の報告もあり
 特異的免疫染色による証明
 組織上, 副甲状腺へのリンパ球の浸潤
 IgG 4が高値をとり, IgG 4 Syndromeに関与している可能性も (NEJM 2004:351:362-9)

特徴 FBHH PHPT
年齢(yr) <40yr >50yr
性別 男性=女性 女性が多い
症状 Caに依存しない Caに依存
補正Ca(mmol/L) 2.55-3.5 2.55-4.5
Intact PTH(pmol/L) 正常範囲内(0.9-11.0) 上昇(2.5-84.5)
Mg(mmol/L) 上昇傾向(0.78-1.18) 低下傾向(0.34-1.03)
1,25(OH)2D(pmol/L) 正常範囲内(54-134) 上昇(62-212)
U-Ca/Cre <0.01[0.001-0.018] >0.015[0.001-0.060]
Lancet 2009;374:145-58

先天性のHyperparathyroidism N Engl J Med 2011;365:2389-97.
30歳以下での発症, 高Caの家族歴, 他の神経内分泌腫脹, 皮膚所見がある場合, 家族性副甲状腺機能亢進症を疑う.
 必要があれば第一親等の血清Ca値も測定する.

検査値による原因の推定
Primary hyperparathyoid vs Other Journal of Bone and Mineral Research 1991;6:S51-9

 PHPTでは血清Caは≤12.5mg/dLが殆ど.
 >14mg/dLとなることは稀
 ×; 転移性癌, ▲; 悪性腫瘍由来, 液性高Ca血症, □; Thyrotoxicosis


PHPTでは血清Clは高値である傾向

Discriminant Score: PHPT vs Otherの鑑別に有用.
0.22Hct + 0.76Cl -1.5Caex -1.9P-77.4
 Caexは血清Ca値と, 正常上限値の差(mg/dL)

 PHPTではScore>0.
 利尿薬使用により陰性に傾く.


PHPTの検査
画像検査はPHPTの診断自体には何の影響も無し
 術前評価としての意味合いがある
 造影CT, MRI, シンチ(Tc-MIBI)
 シンチグラフィの感度は60-85%と様々. 甲状腺腫で偽陽性となる
 頚部エコーは簡便で低侵襲だが, 感度は22-80%
Bone Mineral Density
 無症候性でもBMDは低下している.
 治療前後の評価, 骨折のRisk評価のためにBMD評価は重要

 年齢, PTH値はBMD低下の独立因子.
 又, 軽度のCCrの低下によりBMDも低下するため, 注意 
(J Clin Endocrinol Metab 2006;91:3011-6)

PHPTの手術適応 
手術適応Guideline The Oncologist 2007;12:644-53
 年齢<50yr
 Follow-up外来に定期受診が困難な患者
 Bone density; T score <-2.5SD
 血清Ca値が>ULN + 1.0mg/dL
 尿中Ca値 >400mg/24hr
 腎機能が30%以上低下している患者

別の論文では以下の条件としている (Ann Intern Med 1991;114:593-7)
 血中Ca濃度 >=12mg/dL @ Any time
 Hyperparathyroid crisis(致死的な高Caの既往)
 著明な高Ca尿症(>400mg/d)
 腎石症
 腎障害(GFR <60ml/min)
 嚢胞性線維性骨炎
 骨皮質密度の低下
骨量の低下(年齢調節-2SD未満, Z score <2)
 神経筋症状(近位筋委縮, 筋力低下, 反射亢進, 歩行障害)
 年齢 <50yr

無症候性でも治療の必要性はあるのか?
 約8割のPHPTが無症候性だが, 治療が必要なのか?
121名のPHPT(83%が無症候性)を10年間フォロー
 経過中に50%が副甲状腺切除術を施行.
 切除術を施行した群では, 有意にBMDの改善を認める.
 また尿路結石の再発などは認めなかった.
 切除術未施行群では, 27%で病状の進行あり. NEJM 1999;341:1249-55
 腺腫切除により骨折Riskも低下(HR 0.68[0.47-0.98]) Arch Surg 2006;141:885-91

無症候性でも, 切除術にてBMDの改善は見込める.
未治療でも大半は病状の進行認めないが, 
1/4~1/3で病状進行を認めるため, 注意が必要 ⇒ 無症候性でも治療のBenefitはあると考えられる

無症候性のPHPT患者のフォロー, 治療 N Engl J Med 2011;365:2389-97.
高Ca血症, 腎機能低下例, BMD低下例, 若年齢では手術が推奨.
フォローする手もあるが, 腎機能低下例はやはり手術がbetter

手術治療以外の選択肢
骨粗鬆症に対するBisphosphonate (J Clin Endocrinol Metab 2004;89:3319-25)
 無症候性でBMD低下しているPHPT患者.
 手術適応が無い or 手術を拒否した44名のRCT.
 Alendronate 10mg/d vs Placeboに割り付け, 1yr継続.
 その後Placebo群はAlendronateに変更し, さらに1yr継続(Control 24mo)
Outcome; 
 
腰椎, 大腿骨頸部のBMDはALN投与にて有意に改善.
 1年で+1-5%, 2年で+3.5-7%と, 長期間ほど改善効果は高い.
 ただし, 橈骨遠位端では改善効果は乏しい. 改善する傾向がある.

BMDが低下していないが, 血清Caが上限値よりも1mg/dL以上高い患者の治療
 Cinacalcetが推奨; 70-100%で血清Ca正常化を見込める.
 重症例でも28-68%で正常化を期待できる.
 Cinacalcet; 副甲状腺Ca受容体作動薬. PTH分泌低下作用あり.
 国内では
レグパラ錠25-75mgが使用可能.
 二次性副甲状腺機能低下症への適応が認められている.
 Cinacalcet 30mg once or bidより開始し, 血清Ca正常化まで増量. 大体60mg/d ~ 120mg/dでコントロール可能.
 正常化すれば2-3m毎にCaチェック.
 少なくとも5.5yrフォローしたStudyでは, フォロー期間中のBMD低下は認められなかった.
N Engl J Med 2011;365:2389-97.

二次性副甲状腺機能亢進症 Secondary HPT
低Ca血症に起因する副甲状腺機能亢進症
原因となる病態は,
Gastrointesinal Vit D関連 腎臓 その他
食事摂取不足 日光暴露低下 慢性腎障害 腎臓
 Food intolerance(Milk,Lactose)  北部での日焼け  Hyperphosphataemia  利尿
 Dietary restriction  文化的要素(衣服)  1α-hydroxylase欠乏  Na利尿亢進
 Phytate(フェチン酸) 摂取低下  PTH排泄低下, 耐性  特発性高Ca尿症
吸収不良  完全菜食主義 細胞, 組織由来 軟部組織
 Coeliac disease , 胆道系疾患  骨成長に伴うもの  横紋筋融解
 膵疾患  吸収低下 遺伝子要素  急性膵炎
 IBD  25-hydroxylase欠乏 Pseudohypoparathyroid  Sepsis
 Cystic fibrosis 抗てんかん薬  PTH-R G-prot異常  熱傷
 Gastric bypass surgery  Vit D代謝障害 Hungry bone syndrome

 Corticosteroid treatment Vit D依存性, 耐性Rickets Bisphosphonate

 加齢  Hypophosphataemia Lactation



前立腺癌Meta


腎不全と副甲状腺機能亢進症
 腎不全 Stage 2より1,25-dihydroxyvitamin Dの低下が始まる
 GFR <60mL/min/1.73m2で血清Pの上昇, PTH分泌亢進が開始
 GFR <50mL/min/1.73m2で低Ca血症を認める
 腎不全の進行と共に, PTHの半減期も延長. 蓄積を来す ⇒ 骨塩量低下へ.
Stage Description GFR(mL/min/1.73m2)
Stage 1 腎障害 + GFR正常~亢進 >=90
Stage 2 腎障害 + GFR低下 60-89
Stage 3 中等度GFR低下 30-59
Stage 4 重度GFR低下 15-29
Stage 5 腎不全 <15 or 透析
 GFR<60mL/minよりPTH増加を認めるため, PHPT患者では, GFR<60mL/minは手術適応項目の1つとなる
 ただし, 294名のPHPT患者の解析ではStage 1-3ではPTHの値は有意差なく, Stage 4より増加し始めるとの結果もあり. (J Clin Endocrinol Metab 2009;94:4458-61)

慢性腎不全患者の各パラメータTarget Range
Intact PTH 150-300ng/L
補正Ca 8.4-9.5mg/dL
IP 3.5-5.5mg/dL
Ca x IP <55mg2/dL2
透析患者の二次性HPTへのCinacalcet N Engl J Med 2012;367:2482-94.
EVOLVE trial; 透析患者のSecondary Hyperparathyroidism患者
 (PTH 693pg/mL[363-1694]) 3883名のDB-RCT.
Cinacalcet 30mg/dより開始. Ca, PTHを診つつ4wk毎に増量 ~180mg/dまで.
 vs Placebo群に割り付け, 心血管イベントリスクを比較.
両群ともリン結合剤, VitD製剤は使用.
アウトカム;

 心血管イベント, 死亡リスクは両群とも有意差無し.
 特にCinacalcetに心血管イベント抑制効果は認められないという結論

三次性副甲状腺機能亢進症 Tertiary HPT
Am J Med Sci 2009;337(4):300–301
Secondary hyperparathyroidismが持続する事で副甲状腺腺腫を形成. → 高Ca血症となる病態.
 慢性腎不全患者の高Ca血症では最も多い病態.
 通常は副甲状腺切除術が必要となるが, しばしば腎不全患者では手術が困難なこともある.
 慢性腎不全 + 上記による高Ca血症では, Vit Dの中止, Ca製剤の中止, P吸着剤の使用, Cinacalcet(レグパラ®); PTH分泌抑制剤 が使用されるが, それでも困難な場合はBisphosphonateも効果的である可能性がある.

Cinacalcet不応のTertiary Hyperparathyroidismの5例の解析 Therapeutic Apheresis and Dialysis 2011;15(Supplement 1):33–37
 全患者で副甲状腺腺腫の最大径が>1cm. 平均18.7mm[14.9-24.1]
 また, Cinacalcet開始後もALP, PTH値が上昇を認めていた. >> 上記の場合は外科的切除を優先すべきかもしれない.

Tertiary Parathyroidismの副甲状腺切除術は部分切除が良い
 THPTで切除施行された14例のRetrospective cohort The American Surgeon 2012;78:600-606
 TotalとSubtotal双方ともCa値, PTH値の低下は認められているが, Totalの方がより低下が早く, 低Ca, 高PTHリスクは高くなる.
 臨床的には双方で有意差が無いが, 上記観点から部分切除の方がBetterとなる.

末期腎不全患者へのBisphosphonate投与量 Am J Med Sci 2009;337(4):300–301
Zoledronic acid(ゾメタ®):
 ClCr <30, ESRD患者では推奨されていないが, 投与する場合は <3mgとすることが推奨される.
ClCr >60 4mg
ClCr 50-60 3.5mg
ClCr 40-49 3.3mg
ClCr 30-39 3.0mg
Pamidronate(アレディア®):
 ESRD患者への使用は推奨されていない.
 投与量も不明だが, 30mgを4時間で投与する事が勧められる.

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