(Clinical Infectious Diseases® 2021;73(3):393–403)
TEPvENDO: フランスの8箇所の施設において, 2015-2016年に診療したIEを強く疑う患者群を対象とした前向きStudy.
・各施設には循環器内科, 心臓外科, 感染症科, 細菌学を含むIEチームを有する.
・IEを疑われ, 導入された後7日以内にPET/CTを撮影.
IEはPV(人工弁), NV(自己弁)を問わない
・IEの判断は3回行われ,
① PET/CT評価前: modified Duke基準
② PET/CT評価後: m-ESC2015 IE基準(弁膜の取り込みがあればMajor Duke基準を満たし, 塞栓や動脈瘤があればMinor Duke基準を満たしたと判断する. )
③ 6ヶ月後に最終的にIEであったかどうかを判定: Final classification
・PET/CTのIE診断, 治療方針決定への寄与を評価した.
診断の推移: PV患者70例, NV患者70例
診断タイミング | Definite | Possible | Excluded |
① PET/CT前 | PV 34例 | PV 33例 | PV 3例 |
② PET/CT後 | PV 46例 | PV 22例 | PV 2例 |
③ 最終(6M後) | PV 47例 | PV 17例 | PV 6例 |
・PET/CTは導入から2[1-3.25]日後に施行された.
抗菌薬投与開始後からは7[4-10]日後
PET前の評価
弁周囲, 弁膜への集積はPV患者で47例(67.2%), NV患者で17(24.3%)
・エコー所見との関連:
エコーで疣贅 | PETで弁周囲集積 | |
PV | 28例 | 18例(64.2%) |
NV | 43例 | 13例(30.2%) |
・エコーが判断に寄与しなかったPV 29例, NV 24例では,
PETがIE診断に寄与したのが22/29, 4/24であった.
心臓外の集積所見は69例(49.3%)で認められた. 中枢病変は12例(脳膿瘍, 脳虚血など)
・経門脈からの感染がPET/CTで判明したのが33例であり,
PET/CT評価前にわかっていない症例がPV 8, NVで4例であった
PET/CTのIE診断に対する影響
・PET/CTは43例(30.7%[23-39])の患者に, 少なくとも1つ以上のDuke基準を追加した.
Majorが23例(PV 20, NV 3), Minorが21例(PV 7, NV 14)
・この追加により21例(15%)でDuke-Li分類の変更が行われた (PV患者で17[24.3%], NV患者で4[5.7%])
Up grade: 18例(PV 15, NV 3) Down grade: 3例(PV 2, NV 1)
・6ヶ月後の最終診断との比較では,
Up gradeの16/18が適切(PV 13/15, NV 3/3)
Down gradeの1/3が適切(PV)と判断.
治療方針に対する影響
・37/140(26.4%[19.1-35.5])でPET/CT後に治療が変更
PVで15例, NVで22例
・抗菌薬の変更が22例(投与期間, 種類)
外科治療の変更が7例(中止〜進行)
・歯槽周囲の取り込みや心臓外の取り込みが変更に起因
・PET/CTでBenefitを受けたのは40%[32-48]であり,
初期のエコーが診断に寄与せず,
臨床的にIEの可能性が高いと判断された患者ほど Benefitを受けやすい結果
・PVかNVかは関係なし