自書でも触れているが,
・一過性の誘因のPE, DVTの場合再発リスクは3.3%[2.8-3.9]/年 (Arch Intern Med 2010;170:1710)
・持続性の誘因, たとえば悪性腫瘍によるものの場合, 再発リスクは28.6%/10年
・明らかな誘因が判明しない場合, 再発リスクは7.4%[6.5-8.2]/1年 (Arch Intern Med 2010;170:1710)
であり, 基本的に持続性の誘因がある場合や, 明らかな誘因が判明しない場合はなるべく長期間の抗凝固療法の方が好ましく, 出血リスクとの天秤で適応を決めることが推奨されている.
そんななか, ChestよりEINSTEIN-Extensionが発表されたため紹介
(CHEST 2016; 150(5):1059-1068)
EINSTEIN-Extension: 症候性のDVT, PE患者で, 抗凝固療法を6-12ヶ月使用した1197例を対象とし, Rivaroxaban vs Placebo群に割り付け比較したDB-RCT.
・CrCl <30, 他に抗凝固療法の適応がある患者, 肝障害, 心内膜炎, 急性出血, 出血リスクが高く抗凝固ができない患者, コントロール不良な高血圧(sBP>180, dBP>110), 妊婦, 授乳婦, 妊娠希望は除外
・PE, DVTはprovoked, unprovoked双方が含まれる.
母集団:
アウトカム:
・PE, DVT再発リスクは継続群で有意に低下. NNTは15.
一方で出血リスクは上昇するが, NNHは147程度
・基本的にPE, DVTでは継続した方が良い
サブ解析
・Unprovoked, provoked双方で再発リスクは低下する.
・高齢ほど予防効果は高いが, 出血リスクも高い.
・心疾患がある場合はリバロキサバン継続の利点は乏しい.
・PE, DVTの既往の有無でも差はない
・心疾患がある場合はリバロキサバン継続の利点は乏しい.
・PE, DVTの既往の有無でも差はない
基本的にDVT, PEでは抗凝固は可能な限り長期間行う方が良いということ.
カテーテルなどの異物や一過性の体動困難で生じたDVT, PEについてはその限りではない(治療期間が6ヶ月以上という点からすでにそのような症例は除外されている可能性が高い)