ブログ内検索

2016年11月14日月曜日

コンタミを減らず採尿法は?

尿培養を提出する際は, 陰部をよく拭いて, 滅菌された容器で中間尿を採取する
・これをMSCCを呼ぶ(Midstream urine collected with cleansing)
・しかしながらしばしば説明に時間がかかったり, 適切に行えないことも多い.

排尿時痛を認め, UTIが疑われる成人女性242例を以下の3群に割り付け
(Arch Intern Med. 2000;160:2537-2540)

会陰清拭, 大陰唇を広げる
中間尿採取指導
 腟内へのタンポン挿入
1群
なし
なし
なし
2群
あり
あり
なし
3群
あり
あり
あり
・尿培養におけるコンタミ率を比較した.
・コンタミは複数菌の検出で定義. 理由は特に尿路系の基礎疾患のない成人女性(17-50歳)を対象としており, 複数菌が検出される可能性は低いと考えられるため.
 また, 皮膚や膣内に常在している細菌が<104/mL認める場合もコンタミと定義

検出された菌
清拭あり vs なしでのコンタミ率
・清拭の有無に関わらず, コンタミ率は変わらない結果.
・腟内タンポン挿入でもコンタミリスクは変化なし.

Meta-analysisでは, (Clin Microbiol Rev. 2016 Jan;29(1):105-47.)
・女性における, 中間尿培養において, 清拭の有無でコンタミリスクは有意差なし

・MSCC vs 早朝尿では前者の方がコンタミリスクは低い(A女性, B男性)

女性のMSCC, 中間尿培養とカテーテル採尿における培養の比較
・感度, 特異度はほぼ同じ

男性のMSCC vs カテーテル採尿, 骨盤穿刺吸引による培養の比較(下)
・Studyによりばらつきがある.

小児における比較
・小児ではMSCCの方がコンタミリスクは低い

清拭時にPaper soapを使用した報告では,
15-45歳で尿培養検査を行われる600例を対象とし,以下の3群に割り付け, コンタミリスクを比較.
(J Lab Physicians. 2013 Jan-Jun; 5(1): 17–20.)
(I) Paper soapを使用して清拭し, 中間尿を採取する群
(II) 水道水を利用して清拭し, 中間尿を採取する群
(III) 清拭なしで中間尿を採取する群
・尿培養は以下のように判断;
 18-24hで培養陰性 >> 培養陰性(<103CFU/mL)
 陰部や皮膚常在菌のみの場合 >> コンタミ
 3種類以上の細菌が陽性 >> コンタミ
 UTIの起因菌となる細菌が陽性 >> 尿培養陽性

各群の結果

・コンタミ率はPaper soap使用群で最もリスクが低い結果.
・性別に関係なくPaper soapでよりリスクは低い.

ただし, Soapや消毒薬を使用する場合, それらが検体に混入すると培養の偽陰性リスクとなる可能性も指摘されており, 注意は必要と考えられる.