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2014年5月3日土曜日

リンパ節腫大①: 原因

リンパ節腫大①: 原因 ②: 検査
(Iran J Med Sci Supplement March 2014; Vol 39 No 2: 158-170)

人体には約600箇所のリンパ節がある.
 脾臓, アデノイド, パイエル板はリンパ組織の1つ.
 これらリンパ組織は細胞外液からの抗原を除去する役割を有する
末梢リンパ節は皮下組織に分布するリンパ節.
 通常<1cmが主で, 腫大すると触診で分かるようになる.
 鼠径部は<1.5cmを正常とし, 滑車上リンパ節は<0.5cmを正常とするという意見もあり, 部位で正常範囲は異なる.
 また, 小児(2-10歳)で最もリンパ節は大きい
 基本的に2cmを超える場合は異常の可能性が高く, 悪性腫瘍や肉芽腫性疾患を考慮すべき.

リンパ節腫大と悪性腫瘍 (Am Fam Physician 2002;66:2103-10)
原因不明のリンパ節腫脹の1.1%が悪性腫瘍の転移
 加齢に伴い頻度も上昇し, 628名のBiopsyでは, <30yrでは79%が良性, 31-50yrでは59%が良性, >50では39%のみが良性との結果.(J Surg Oncol 1980;14:53-60)

精査必要と判断されたリンパ節腫脹543例の内,
 悪性腫瘍によるものは17.5%(リンパ増殖性疾患11.4%, 転移6.1%)
 31%が良性疾患, 26%が非悪性腫瘍性の他疾患. (British Journal of Cancer 2003;88:354-61)
判断
%
悪性疾患由来
17.5%(95)
良性疾患
3.9%(21)
良性反応性腫脹
30.9%(168)
非悪性腫瘍性の原因
25.6%(139)
リンパ節触知するが正常範囲
13.8%(75)
リンパ節腫脹無しと判断
8.3%(45)

部位別の良性, 悪性の頻度は
リンパ節腫脹部位
全体(550)
悪性疾患(95)
頭頸部
46.2%
13.8%
鎖骨上
6.4%
34.3%
腋窩
9.6%
15.1%
鼠径
7.5%
17.1%
2か所以上
15.8%
34.5%
節外性
14.5%
3.8%
鎖骨上リンパ節は悪性疾患の頻度が高い. また, 複数箇所腫大している場合も悪性のリスクが高い.

悪性疾患の可能性を上げる因子は,
 加齢, 男性, 鎖骨上リンパ節, 複数箇所のリンパ節腫大.
Factors
RR
年齢
1.05[1.04-1.07]
男性
2.72[1.63-4.56]
鎖骨上リンパ節
3.72[1.52-9.12]
2か所以上のリンパ節
6.41[2.82-14.58]
節外部位
0.24[0.07-0.83]

生検したリンパ節のうち, 悪性疾患の頻度. (Mayo Clin Proc. 2000;75:723-732)
 生検部位は何処でも良性は大体5-7割
 <30歳では悪性は21%と少ないが,  高齢者では増加し, 特に>50歳では半分以上が悪性.

Sizeが>2cmでは悪性疾患の可能性が高く, 逆に<1cmではほとんど良性
局所のみの腫脹も感染症によるリンパ節腫脹を示唆するが, 鎖骨上, 腋窩, 内側上顆リンパ節の腫脹は悪性疾患の可能性が高い.
全身性のリンパ節腫大で, 肝脾腫を伴う場合や, CBC異常, B症状を伴う例では, 他の全身性疾患でもあり得るため, 鑑別に注意が必要. (The Oncologist 2004;9:406-16)

Hodgkin’s LymphomaのB症状(体重減少, 盗汗, 発熱)はStage Iで8%, IVで68%でしか認められない.
2wk以内の腫大, 1yr以上持続していても, サイズが変化しないものは, 悪性腫瘍のリンパ節転移である可能性は非常に低い. (例外; Low-grade Hodgkin’s, Non-Hodgkin’s, CML)

リンパ節腫脹の部位別の鑑別疾患 (Mayo Clin Proc. 2000;75:723-732)

頸部リンパ節について: 頸部リンパ節は6領域に分類される
(Arch Otolaryngol Head Neck Surg 2002;128:751-758)

IA領域; Submental.
 口腔底, 舌の前方, 下顎前方, 歯茎, 下唇からの流れを受ける
IB領域; Submandibular
 口腔内, 鼻腔前方, 顔の軟部組織, 顎下腺からの流れを受ける
IIA,B領域; Upper jugular 
 口腔内, 鼻腔内, 鼻咽頭, 口咽頭, 下咽頭, 喉頭, 耳下腺からの流入を受ける
III領域; Middle jugular
 口腔内, 鼻咽頭, 口咽頭, 下咽頭, 喉頭からの流入を受ける
IV領域; Lower jugular
 下咽頭, 甲状腺,
頸部食道, 喉頭からの流入を受ける
V領域;Posterior triangle group
 鼻咽頭, 口咽頭, 後頸部の軟部組織からの流入を受ける
VI領域; Anterior compartment
 甲状腺, 声門, 声門下, 梨状陥凹, 頸部食道からの流入を受ける

上肢のリンパ節について (Am Fam Physician 2002;66:2103-10)
滑車上リンパ節(Epitrochlear node) (Journal of Ultrasound (2010) 13, 168-174)
上腕骨滑車から4-5cm上方に位置し, 主に第3-5指, 手からのリンパ流を受ける.
通常 1-2個である事が多く, 4個は稀. 0.5cm以上で腫大と判断する.
 指先のメラノーマや感染症, 梅毒で腫脹する他, 指先, 手の局所の問題が無い場合にここが腫脹すると全身性のリンパ節腫大を示唆する.(HL,NHL, サルコイド等)
 報告例では, 猫引っ掻き病, Leprosy, Leishmaniasis, TB, メラノーマ, サルコイド, RA, リンパ腫, 木村病で滑車上リンパ節の腫大が報告されている (J Infect Dev Ctries 2011; 5(11):820-824.)

下肢のリンパ節について (Am Fam Physician 2002;66:2103-10)
鼠径リンパ節は2カ所に分かれるのがポイント.
Horizontal node groupは腹腔内, 骨盤腔内, 陰部からのリンパ流を受け, Vertical node groupは下肢からのリンパ流を受ける.

全身性のリンパ節腫大で考えるべき疾患 "CHICAGO"
C → Cancers: 血液腫瘍, リンパ腫, 転移(乳癌, 肺癌, 腎癌 等)
H → Hypersensitivity syndrome: 血清病, 薬剤
I → Infection: ウイルス(EBV, CMV, HIV), 細菌(TB), 真菌, Protozoan, リケッチア, Helminthes
C → Connective Tissue disorders: SLE, RA, 皮膚筋炎
A → Atypical lymphoproliferative disorders: Casleman病, Wegener病
G → Granulomatous: Histoplasmosis, Mycobacterial infections, Cryptococcus, Berylliosis, 猫引っ掻き病, Silicosis
O → Others
(Iran J Med Sci Supplement March 2014; Vol 39 No 2: 158-170)

リンパ節腫大を来す薬剤
 アロプリノール, アテノロール, カプトプリル, カルバマゼピン, 金製剤, ヒドララジン, ペニシリン, フェニトイン, Primidone, Pyrimethamine, Quinidine, ST合剤, Sulindac

稀だがリンパ節腫大を来す原因(SHAK)
 Sarcoidosis
 Silicosis/berylliosis
 Storage disease(Gaucher病, Niemann-pick, Fabry, Tangier病)
 Hyperthyrodism
 Histiocytosis X
 Hypertriglyceridemia
 Angiofollicular lymph node hyperplasia; Castleman’s disease
 Angioimmunoblastic lymphadenopathy
 Kawasaki syndrome
 Kikuchi’s lymphadenitis
 Kimura’s disease

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