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2014年5月24日土曜日

カテーテル感染症: 予防, 治療

カテーテル感染症: CVC, A line感染症 予防, 治療について
頻度, 診断についてはこちら

カテーテル感染の予防について
挿入時の予防
5つの注意で感染リスクは著しく低下する
5つのアプローチ
 挿入時の手洗い, Full barrier precautions, 
 Chlorhexidineによる消毒, 大腿Vをできるだけ避ける
 不必要なカテーテルは即時抜去
90 ICU施設において, 上記アプローチを導入前, 後でCBSIの発症頻度を比較
(BMJ 2010;340:c309)
Outcome; 頻度/1000catheter-days

Baseline
導入期
0-3mo
4-6mo
7-9mo
10-12mo
13-15mo
16-18mo
感染率
2.7[0.6-4.8]
1.6[0-4.4]
0[0-3.0]
0[0-2.7]
0[0-2.0]
0[0-2.1]
0[0-1.9]
0[0.24]
感染RR
Reference
0.81
[0.61-1.08]
0.68
[0.53-0.88]
0.62
[0.42-0.90]
0.52
[0.38-0.71]
0.48
[0.33-0.70]
0.48
[0.31-0.76]
0.38
[0.26-0.56]


19-21mo
22-24mo
25-27mo
28-30mo
31-33mo
34-36mo
感染率
0[0-1.4]
0[0-1.6]
0[0-2.1]
0[0-1.6]
0[0-1.1]
0[0-1.2]
感染RR
0.34
[0.23-0.50]
0.33
[0.23-0.48]
0.44
[0.34-0.57]
0.40
[0.30-0.53]
0.31
[0.21-0.45]
0.34
[0.24-0.48]
上記アプローチの教育, 導入前後で感染Riskは低下する.

挿入時の消毒について
ICUにてCVCを留置する374名のRCT. 10%イソジンにて消毒 vs 0.5% Chlorhexidineで消毒群に割り付け, カテーテル感染リスクを評価. (Clinical Infectious Diseases 2000;31:1001–7)
 最終的にはCVCを3日以上留置した242名でOutcomeを評価.
 結果は両者で感染リスクは同等. 刺入部の感染は0.5% Chlorhexidineで低い傾向がある程度.

538例の内頸, 鎖骨下CV挿入において, 以下の2群に割り付けカテーテル感染症のリスクを評価 (RCT) (Arch Intern Med 2007;167:2066-2072)
 5% povidone-iodine + 70% ethanol 
 0.25% chlorhexidine gluconate + 0.025% benzalkonium chloride + 4% benzylic alcoholの混合消毒液
上記消毒液はCV挿入時と, ドレッシング交換時に使用.
Outcome; Chlorhexidine baseの消毒液は, カテーテルのColonization率は低下させるが,(11.6% vs 22.2%, p=0.002), BSIは低下させない(1.7% vs 4.2%, p=0.09). 

カテ刺入部のケアに関してのMeta-analysisでは, (Ann Intern Med. 2002;136:792-801)
 カテ穿刺時, その後のケア時の消毒薬使用のRCTs.
 Chlorhexidine vs イソジンでは前者の方が感染リスク, Colonization riskが低い.
 Chlorhexidineは2%製剤, 0.5%のアルコールとの含有が使用.

ヘパリンの投与で感染を予防する
カテーテル周囲に形成する血栓内に細菌が感染することでCVC感染リスクとなる理論より, ヘパリンで血栓形成を阻害する事が感染予防となる可能性がある.
予防的ヘパリン投与: 
 血栓形成 RR 0.43(0.23-0.78)
 細菌感染 RR 0.18(0.06-0.60)
 (CVCにおいての細菌感染リスク) RR 0.26(0.07-1.03)

2500U 1mLのヘパリンで週3回Flush + 週1回の消毒、ガーゼ交換
 vs. 500U 5mLのヘパリンで1日に3回Flush + 週3回の消毒、ガーゼ交換
 → CVC感染は5% vs 15% (Chest 1998;113:165-71)

担癌患者におけるChemo様CVCに対するヘパリン
 Nontunneled catheter留置された204名のRCT
 カテ留置〜退院まで, UFH 100U/kg/d 持注 vs NS 50ml/d 持注 の2群で比較.
(J Clin Oncol 2005;23:7864-70)
Outcome; 
 CRBSIは, 6.8% vs 16.6% (2.5 vs 6.4/1000d) と, UFH持続注射群で有意に低い.
 また, 重度な出血は4名 vs 5名と同程度.

透析目的のCVCのロックにヘパリン使用 vs Citrate使用で比較したMeta-analysisでは, ヘパリンとCitrateロックで感染リスクは同等との結果であった. (Am J Kidney Dis. 2014;63(3):479-490)

挿入後の感染予防:
保護
ガーゼ保護も, 透過性の皮膜材も感染Riskは同等
 Metaでは透過性皮膜材の方がカテーテルColonizationが増加.
 CRBSI Riskは有意差ないものの, 増加傾向にある.
ガーゼ保護で2日毎に交換するのは, 透過性皮膜で5日毎に交換するのとColonization率が同等.
 上記日数毎に交換することが推奨されている.
 しかしながら, もっと長期間そのままでもよいとの意見もあり.

CVCの定期的交換には全く意味が無い
 Meta-analysisにおいて, CVCの3日毎, 7日毎交換をしても, カテ感染率, Colonization率に変化は認めない.
(Crit Care Med 2010;38:S363-72)

抗生剤ロック
Vancomycin-Containing Lock: RR 0.34 (0.12-0.98) NNT 6.7
Vancomycin-Containing Flush: RR 0.82 (0.58-1.17)
Vancomycin-Containingは25mcg/ml溶液
 1バイアル(500mg)を20LのヘパリンNSに溶解
 副作用は成人では殆ど無いが、乳児(特に未熟児では低血糖がある)
 Vanco耐性菌の報告はStudy内では無い (CID 2006;43:474-484)

抗生剤ロック, 抗生剤外用薬による感染予防 (透析ラインを対象) 
(Ann Intern Med 2008;148:596-605)
カテ感染
血流感染RR
血流感染
(S aureus)

刺入部感染
死亡RR
外用薬全体
0.22[0.12-0.40]
0.14[0.06-0.30]
0.17[0.08-0.38]
0.22[0.07-0.74]
ムピロシン軟膏
0.19[0.08-0.45]








抗生剤ロック全体
0.32[0.22-0.47]
0.62[0.32-1.19]
0.82[0.47-1.43]
0.55[0.24-1.28]
ゲンタマイシン
0.09[0.02-0.38]



Taurolidine
0.02[0.00-104.97]



ミノマイシン
0.09[0.01-0.72]



CEZ + ゲンタマイシン
0.14[0.02-1.15]



セフォタキシム
0.42[0.28-0.65]



VCM+ゲンタマイシン
0.13[0.03-0.58]



外用抗生剤や抗生剤ロックは感染のリスクを軽減し得る.
外用抗生剤
 菌血症 0.10 vs 0.45 case/100 CD*
 S. aureus 0.08 vs 0.58 case/100 CD
初発の血流感染に限った場合
 外用薬; RR 0.29(0.17-0.49)
 ロック; RR 0.20(0.13-0.30) *CD; Catheter Days

バクトロバン鼻腔用軟膏® (ムピロシン2%軟膏)について評価したRCTは2つ.
CVCガーゼ交換時(3回/wk)のムピロシン軟膏塗布 vs イソジン消毒
 ● S.aureus菌血症 0.71 vs 8.92/1000pt-days
 CNS感染の予防効果もあり
 ただし, 耐性菌についてはAssessmentされていない
 (Non cuffed, Non tunnelled Catheter)(N=136, 平均22.5日間フォロー)
 (J Am Soc Nephrol 1998;9:1085-92)

 ● 菌血症 1.6 vs 10.5/1000 Catheter-day (S.aureus感染症の減少が主, Not CNS)
 Infection-free Survival; 108日 vs 55日 
 期間中にムピロシン耐性菌の報告は認めず (Cuffed, Tunnelled)(N=50)
 (Nephrol Dial Transplant 2002;17:1802-7)

ムピロシン軟膏を5年間Routine使用した場合, ムピロシン耐性CNSの出現率が42%となったという報告 (5か月の使用中止により21%まで減少)
(J Hosp Infect 1995;31:189-93)
多剤混合塗布薬の使用により, 75%でCandidaのColonizeを認めた
(JAMA 1989;261:878,Abstruct)

Murpirocin軟膏の鼻腔内使用(MRSA根絶目的)のMetaでは, 16-90D使用において, 耐性菌の出現は1%のみ(CID 2009;48:922-30)
耐性菌の報告も増加してきているため,  今後耐性菌が増加することが予測される.(Retrospectiveでは12%) (CID 2010;50:210-7)

現時点ではRoutine使用は勧められない (NEJM 2003;348:1123-33)

Chlorhexidine-impregnated dressing (クロルヘキシジンを含んだパッチ. 刺入部をカバーする) (J of Antimicrobial chemotherapy 2006;58:281-7(Meta-analysis))
カテーテル, 周囲のColonization Riskを軽減する
 14.8% vs 26.9%; OR 0.47[0.34-0.65]
 菌血症, CNS感染症Riskは有意差ないが, 減少させる傾向; OR 0.61[0.30-1.26]
Epidural catheterにおいても, 同様の効果を示す

周辺皮膚障害は5.6%で認められる
 OR 8.17[1.19-56.14]
 全身症状としての副作用は認められていない

CVC, 動脈ラインを>48hr留置する患者に対する Chlorhexidine gluconate-impregnated sponge(CHGIS)の有無, Catheter交換時期(7d vs 3d)の2x2で評価したRCT.
(Assessor-blind, N= 1636, 6d[4-10]フォロー, ITT) (JAMA 2009;301:1231-41)
Outcome (頻度は /1000Catheter-days)
Outcome
Control
CHGIS
HR
3d
7d
HR
Catheter colonization(>=103CFUs/mL)
15.8
6.3
0.36[0.28-0.46]
10.4
11.0
0.99[0.77-1.28]
Catheter-related BSI
1.3
0.4
0.24[0.09-0.65]
0.7
0.9
1.26[0.47-3.34]
Major catheter-related Infection
1.4
0.6
0.39[0.16-0.93]
0.9
1.1
1.16[0.50-2.69]
CHGISによる皮膚炎は10.4/1000pt, 5.3/1000catheterの頻度
全身性の副作用の報告, 耐性菌出現の報告は無し

2%Chlorhexidineによる清拭は感染リスクを減らす

多施設のICUにおいて,
 Phase 1; pre-intervention; 普通の清拭
 Phase 2; active intervention; 2%Chlorhexidineでの清拭*
 Phase 3; post-intervention; Chlorhexidineでの清拭を継続**
*2%Chlorhexidineで浸された布6枚を使用し, 体幹清拭. 顔面は無し
** 清拭は継続するが, 監督は無い状態で継続.
各Phaseでのカテーテル感染症の頻度:
 Phase 1; 6.4/1000cvc-d
 Phase 2; 2.6/1000cvc-d
 Phase 3: 2.9/1000cvc-d 
 RR 0.54[0.33-0.90]. カテ感染の頻度は有意に減少. 効果は持続する.
(The American Journal of Medicine (2012) 125, 505-511)

Chlorhexidineによる清拭と院内感染症リスクを, Multicenter, cluster-randomized, nonblinded trialで評価 (N Engl J Med 2013;368:533-42.)
 ICUと骨髄移植ユニット 9施設において, 6ヶ月間の2% Chlorhexidineによる清拭 vs 通常の清拭に割り付け, その後逆にしてさらに6ヶ月継続.
 多剤耐性菌の出現頻度, 院内感染症の頻度を比較.
 N=7727名, アウトカム

Chlorhexidine
Control
P
CVC使用()
13425
13049
0.85
MRSAの頻度(%)
13.8%
12.8%
0.14
VREの頻度(%)
16.3%
15.1%
0.24
多剤耐性菌感染
5.10/1000pt-y
6.60/1000pt-y
0.03
VRE感染
3.21/1000pt-y
4.28/1000pt-y
0.05
MRSA感染
1.89
2.32
0.29
BSI
4.78
6.6
0.007
CVC-BSI
1.55
3.3
0.004
血流感染症の頻度はChlorhexidine群で有意に低下する

補足: MRSAとChlorhexidine耐性について
Sequence type 239
⇒ 通称 TWはMultidrug efflux pumpをCodeするPlasmid-borne qacA/B genesを有する
TW; Methicillin, EM, CPFX, GM, Neomycin, Tetracyline, Trimethoprimに耐性を示すMRSAのType. 通常ST 8/239を指す.
Anticeptics(Chlorhexidine)に対するMBCが通常の2-4倍必要. (Minimum bactericidal concentrations)
qacA/BはUKのMRSAの10-20%, ヨーロッパで63%, ブラジルで80%, 台湾のMRSAの55%で認めている.
Chlorhexidineによる除菌を行っても,TWに関しては効果認めない.
むしろ, Chlorhexidineにて, TWのColonization率が増加する可能性がある
(CID 2010;50:210-7)

CVC感染予防: その他
CVC入れ替えは感染リスクの軽減には繋がらない
ガイドワイヤーを介した入れ替えは感染Risk上昇させる可能性
Colonization RR 1.26[0.87-1.84]
Exit-site Infection RR 1.52[0.34-6.73]
CVC Infection RR 1.72[0.89-3.33]
新しい部位への再挿入では合併症Riskの上昇が危惧される
(Critical Care Medicine 1997;25:1417-24)

カテーテル感染の対応について
CVCによる菌血症; CVCは抜去すべき?
 この分野では明確なEvidenceが得られていない.
 S. aureus菌血症とカンジダ菌血症(真菌)の場合は抜去した方が予後が良いことは報告されている. (Clinical Infectious Diseases 2011;53(9):e129–e132)
 >> 血液培養よりGPC, 酵母が出た場合は直ぐに抜去がbetter.

113名のCVC由来S aureus菌血症患者のCohort. (Am J Kidney Dis 2007;50:289-295)
 全例が透析患者のルート感染.
 CEZ or VCMの全身投与 + 抗生剤ロックにて3wk治療.
 ALT; VCM(5mg/mL)1ml + UFH(10000U/mL)1ml
 もしくはCEZ(10mg/mL) 1ml + UFH 1mlを使用しロック.
 治療失敗は67名(59%). 菌血症再発が27名, 発熱持続が40名.
 失敗例中, 心内膜炎が5例, 骨髄炎1例, 敗血症性ショック1例, 血栓感染1例, 胸壁膿瘍1例 を合併.

ではGNRだったらどうすべき? 
 CVCによるGram-negative bacteriaの菌血症患者46名のprospective cohort study. 
 Abx locking therapy(ALT) + Abx全身投与で全例治療.(CV抜去なし)
 ALT; CPFX or Amikacin 2000mg/L + UFH 20U/mL溶液の混合.
(CPFXに耐性の場合はAmikacinを使用)
 透析の場合はそれ以外の時にALTを使用,
  TPNの場合はALT開始後72hrは行わず, その後12hrのTPN, 12hrのALTを繰返す
  それ以外ではALTを継続し, 72hr毎に再度Lock, その後3-7d毎にLockを行う.
 Abxの全身投与は, 感染CV以外のlineを使用.
 CPFX, Aztreonam, Ceftazidimeの何れかを10-14d投与.
Outcome;
 菌血症の内訳は, 緑膿菌11例, E coli 6例, Enterobacter 5例, Klebsiella pneumoniae 4例, Acinetobacter baumannii 3例, Proteus spp 3例, Others 4例. 複数菌感染が10例.
治癒率は95%. 再発した例も, 再度抜去無しで治療し, 治癒している.
(Clinical Infectious Diseases 2011;53(9):e129–e132)

つまりGPC, 真菌ならば抜去が基本となるが, GNRによるカテ感染ならば抜去せずに抗生剤全身投与+抗生剤ロックで治療し得る可能性が高い.

ちなみに,
CV抜去時の培養でS aureus陽性ならばその後のS aureus菌血症リスクとなる.
CVC抜去時のカテ先培養でS aureus陽性となった77名中, 9名(12%)が抜去後4日以内にS aureus菌血症を発症. (Retrospective Study) (Clin Microbiol Infect 2006; 12: 933–936)
 抜去2日前〜抜去1日後の血液培養は陰性.
 抜去後2日以内のAbx投与の有無がその後の菌血症予防に有効かも
 (投与していない割合は菌血症群で78% vs 16%) OR18.14[3.32-99.16].

同様にCVCのカテ先培養陽性例において, 24%(12/49)が抜去後24hr以内にS aureus菌血症を発症.
 24hr以内の抗生剤投与は菌血症リスクを83%減少させる
(Retrospective cohort; Clinical Infectious Diseases 2008;46:114–8)

6箇所の市中病院の症例データをReview. (Medicine 2011;90: 284-288)
 カテ先培養 S aureus陽性と抜去後の菌血症を評価.
 (カテ抜去前7日〜後24hrまでの血液培養陽性例は除外)
 カテ先培養陽性, 血液培養陰性の192例を解析.
 18例(9.4%)でSABを発症. 抜去〜発症までの平均期間は10.7d[2-65].
抜去後のSABリスク;
 24hr以内の抗生剤投与(-)はSABリスク因子(OR5.4[2.0-15.1])
 抜去部の局所感染所見もリスク(OR3.34[1.19-9.34])
 ステロイド投与 (OR 2.9[1.3-6.6])

カテ先培養よりS aureusが生えた場合, 約10%前後が抜去数日後にS aureus菌血症を来すかも.
その場合は予防投与が推奨されるかもしれないが, 前向きstudyが無い & そもそも直ぐに培養結果がでないことから, 臨床への適応は難しいかもしれない.

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