しかしながら大体尿量や体重減少, 浮腫を指標として調節することが多い.
そんな中, ループ利尿薬投与後のスポット尿のNa濃度, Cr濃度から,
利尿薬によるNa排泄量を予測する計算式が提唱された.
Rapid and Highly Accurate Prediction of Poor Loop Diuretic Natriuretic Response in Patients With Heart Failure
(Circ Heart Fail. 2016;9:e002370. DOI: 10.1161/CIRCHEARTFAILURE.115.002370.)
ループ利尿薬の薬物動態と, 生体の反応, 生理学よりループ利尿薬投与後のNa排泄量を予測する計算式を作成
・その計算式を, 急性心不全症例50例で適応し, 実際のNa排泄量との相関性を評価した.
・尿中Na, Cr値は利尿薬投与後に採取した尿で評価.
・2.5時間は利尿薬が投与され, 効果が持続する時間が2.5h程度であるため
Bumetanideの半減期は1時間程度であり, その2倍.
・予測Na排泄量, 尿量は投与後6時間での排泄量.
・計算は以下のHPで施行可能.・2.5時間は利尿薬が投与され, 効果が持続する時間が2.5h程度であるため
Bumetanideの半減期は1時間程度であり, その2倍.
・予測Na排泄量, 尿量は投与後6時間での排泄量.
この計算式を50例の急性心不全症例においてValidationを施行.
・膀胱内を空にした後に利尿薬(bumetanide)経静脈投与を行い, 6時間蓄尿を行う.
・また, 1時間後, 2時間後にはスポット尿を採取し, 予測式計算に使用.
アウトカム: 実測のNa排泄量と予測計算式との相関性は良好
・1時間, 2時間でのスポット尿双方とも相関性は良い.
・看護師の勤務帯毎の水分バランスや, 24時間水分バランス, 体重変化よりも計算式の方が相関性は良い結果であった.
Na排泄量別, 尿量別の各指標の相関性
・利尿薬反応不良群(<50mEq)との相関性も計算式は良好.
利尿薬反応性不良は6時間のNa排泄量<50mEqで定義
・これは1日2回投与しても, 100mEq以下の排泄量となるため.
・Na摂取量は3g = 130mEqであり, この量ではNaが蓄積する.
Bumetanide投与後のスポット尿の評価時間別の計算式-実測量の相関性
・もっとも相関性が良いのは3~3.5時間あたり
よくループ利尿薬投与後の反応性は「薄い尿がでているのでいいね」「結構尿がでたのでいいね」とか言っているが, スポット尿のNa濃度をチェックしつつ, ループ利尿薬の投与量を調節する方法は良いかもしれない.
Bumetanideではなくフロセミドを使用する場合は2.5時間ではなく3時間程度とすべきかもしれないがフロセミドの場合, IVと経口投与で吸収率が大きく異なることが予測されるため, そのまま経口には移行できない.
厳密にループ利尿薬の投与量, 効果を評価し, 今後のマネージメントにつなげるならばBumetanideなど吸収率が良好なループ利尿薬を使用する方が良いかも.