(Am J Clin Pathol 2004;122:141-152)
局所的なリンパ節腫大, 圧痛, 発熱, 盗汗を伴う基本的には良性, Self-limitedな病態
不明熱の原因としてもしばしば認められる
原因は様々な説がある: Viral Infection , Autoimmune説
血清学的抗体検査, PCR陽性など認められ, 感染症が関与している可能性が示唆される
Yersinia enterocolitica, Toxoplasma, EBV, HHV-6,8, HTLV-1, HBV, HPV B19, HSV, CMV, VZVなど
Yersinia enterocolitica, Toxoplasma, EBV, HHV-6,8, HTLV-1, HBV, HPV B19, HSV, CMV, VZVなど
“Self-limited SLE-like condition induced by viral Infection” (Am J Pathol 1982;107:292-99)
しかしながら, ANA, RFなど自己抗体は陽性とはならない
しかしながら, ANA, RFなど自己抗体は陽性とはならない
日本, アジアでの罹患率が高い
< 40Yでの罹患が多いが, 報告例では19M-75Y
台湾の61例の報告では平均21歳であった (Otolaryngol Head Neck Surg 2003;128:650-3)
F:M = 4:1で女性に多いが, 男女に差がないとする報告も多い
(Otolaryngol Head Neck Surg 2003;128:650-3) (Am J Surg Pathol 1995;19:798-809)
遺伝素因も関与している可能性
HLA class IIの関与が示唆; DPA1*01, DPB1*0202がKFD患者で多く認められている
Asia人で多い遺伝子であり, フランス(0.4%), イタリア(0.8%), 韓国(9.9%), 日本(4.5%)
臨床症状
急性~亜急性の経過; 2-3wk
症状 |
頻度 |
頚部リンパ節腫脹 |
56-98% |
後頚部リンパ節, 圧痛(+) |
88.5% |
片側性 |
88.5% |
直径0.5-4cm |
93.4% |
疼痛(+)のリンパ節腫脹 |
59% |
全身性リンパ節腫脹 |
1-22% |
縦隔, 腹腔, 後腹膜腔リンパ節は稀
30-50%でFever, URI症状を認める
体重減少, 嘔吐, 嘔気, 咽頭痛, 盗汗の頻度は低い
節外症状(+)の症例では全身症状が強い傾向にある
節外症状について (J Am Acad Dermatol 2008;59:130-6)
稀であるが, 皮膚病変, 骨髄病変, 肝障害が報告されている
皮膚病変; 顔面が最も多い
皮疹は様々で, 非特異的
粘膜疹は症例報告レベルであり
|
% |
|
% |
Rash |
27% |
掻痒感 |
10% |
紅斑性 Macule or Patch |
23% |
脱毛 |
8% |
紅斑性 Papule or Plaque |
17% |
日光過敏 |
4% |
紅斑性 Macule and Papule |
14% |
結膜充血 |
3% |
頬部紅斑 |
11% |
落屑 |
3% |
口腔内潰瘍 |
10% |
|
|
初発症状として, 全身性のリンパ節腫脹+肝脾腫もアリ
SLEとの合併がしばしば報告されているが,
KFDとSLEでは臨床病理学的に異なっていると証明(Pathol Int 2003;53:221-226)
SLEの初期をKFDと誤診している可能性がある(その逆も然り)
SLEだけでなく, 抗リン脂質抗体症候群, 多発筋炎, Systemic juvenile idiopathic Arthritis, 両側性ぶどう膜炎, Cutaneous necrotizing vasculitis, Pulmonary Hemorrhageとの合併報告もある.
Labデータ: (Am J Clin Pathol 2004;122:141-152)
Lab dataは正常であることが多い
貧血, 軽度ESR亢進を認める場合もある
Leukocytosisは2-5%のみ, Mild Leukopeniaは25-58%で認める
25-31%で末梢血 異型リンパ球(+) (前駆 Viral Infectionが示唆される)
Leukocytopeniaの原因としては, CFU-Cの低下が挙げられる
⇒貧血, PLT低下, WBC低下を認めるが, 骨髄所見は正常
⇒貧血, PLT低下, WBC低下を認めるが, 骨髄所見は正常
LDH, ALT, ASTは軽度上昇をしめすこともある
KFDの診断
基本的にはリンパ節生検にて診断
CT, MRI, USでのリンパ節評価は非特異的
Fine-Needle Aspiration CytologyのAccuracyは56.3%
⇒ FNACでダメなら生検を考慮する必要がある
⇒ FNACでダメなら生検を考慮する必要がある
組織所見
広範囲の被膜下壊死, 核の崩壊象
壊死組織周囲の形質細胞, 組織球浸潤
壊死周囲血管の血栓形成
反応性リンパ小胞は50-60%で認められる
小胞過形成は10%
小胞過形成は10%
皮疹生検でも同様の細胞浸潤を認める
皮膚生検結果 (J Am Acad Dermatol 2008;59:130-6)
組織所見 |
% |
詳細 |
% |
組織球浸潤 |
68% |
皮膚; Ly(+) 皮膚; Ly, 形質細胞(+) 皮膚; Ly, 好酸球(+) 皮膚; Ly, 形質, 好酸球(+) |
56% 21% 3% 3% |
皮下; Ly(+) 皮下; Ly, 形質細胞(+) |
6% 3% |
||
表皮変化 |
46% |
Keratinocyte壊死 萎縮 小胞閉塞 Hyperkeratosis 小胞孔の拡張, 表皮内小胞, 角質内微小膿瘍, 不全角化, 海綿状変化 |
48% 13% 9% 9% 各4% 各4% |
その他の組織所見と頻度 |
|||
非好中球性核崩壊 |
42% |
リンパ球浸潤 |
20% |
基底部空胞上変性 |
38% |
有糸核分裂像 |
10% |
乳頭浮腫 |
28% |
Nonspecific |
10% |
免疫組織染色では,
T cell優位であり, B cellは極少数. CD8+ >> CD4+
組織球ではCD68の発現が目立つ. MPO(myeloperoxidase)も増加
KFDの臨床経過
治療は無く, 対症療法のみ
Self-limitedな病態. 1-4M持続する
再発率は3-4%, 一部では8-9年経過し再発した例もある
予後は良好であるが, 死亡例が3例報告
全身性リンパ節腫大+心不全合併 (拡張型心筋症)
KFD 244例の解析 (Clin Rheumatol (2007) 26: 50–54)
1991-2005年に報告されたCase reportの解析
330例報告され, 男女比は1:2. 平均年齢25歳[1-64], 70%が<30yr.
症状頻度(N=224)
症状 | % | 所見 | % |
発熱 | 35% | リンパ節腫脹 | 100% |
倦怠感 | 7% | 紅斑 | 10% |
関節痛 | 7% | 関節炎 | 5% |
皮疹 | 5% | 肝腫大 | 3% |
体重減少 | 5% | 脾腫大 | 2% |
食欲低下 | 3% | Xerophthalmia | 2% |
発汗 | 3% | 口腔内アフタ | 1% |
筋肉痛 | 2% |
リンパ節腫大は
頸部リンパ節が79%,
頸部, 腋窩双方が8%,
腋窩リンパ節のみが5%,
全身性が5%
腸間膜, 鼠径, 皮膚は稀.
頸部リンパ節が79%,
頸部, 腋窩双方が8%,
腋窩リンパ節のみが5%,
全身性が5%
腸間膜, 鼠径, 皮膚は稀.
検査所見
検査 | |||
WBC低下 | 18% | LDH上昇 | 6% |
ESR亢進 | 16% | Viral serology陽性 | 5.3% |
貧血 | 9% | PLT低下 | 4% |
AST, ALT上昇 | 8% | その他serological異常 | 3% |
ANA陽性 | 7% | WBC上昇 | 2% |
合併症
検査 | |||
SLE | 13% | 血球貪食症候群 | 3% |
非感染性炎症疾患 | 10% | リンパ腫 | 3% |
Viral infection | 7% | TB | 2% |
FUO | 5% | その他 | 5% |
神経障害合併 | 5% | 全体 | 51% |
予後
自然寛解が64%, ステロイドを使用した例が16% (1mg/kg mPSL)
死亡率は2.1%