昔からバセドウ病と破壊性甲状腺中毒症の鑑別にTotal T3/T4比 >20ということが言われているが, 最近はFree T3, T4を用いることがほとんどであり, この知識はあまり使用されない.
FT3/FT4比でバセドウ病と甲状腺炎の鑑別は可能なのか?
隈病院より48例のバセドウ病と34例の無痛性甲状腺炎症例, 伊藤病院より126例のバセドウ病, 92例の無痛性甲状腺炎症例より, FT3/FT4比を評価した国内からの報告
・疾患群のFT3/FT4比の分布.
カットオフと感度, 特異度. 単位はpg/mL, ng/dL
・FT3/FT4比のカットオフはおよそ3前後.
それよりも高値の場合はバセドウ病の可能性が高い.
基礎のFT4値別に評価した解析では,
・FT4値が高いほど, FT3/FT4比の差は顕著となる
海外の報告もいくつあるが, 海外ではpmol/Lが単位として使用されているため, 解釈に注意が必要.
・補足: FT3 1 pmol/L = 0.651 pg/mL, FT4 1 pmol/L = 0.0777 ng/dL
FT3/FT4(pmol/L / pmol/L) = 8.34 (pg/mL / ng/dL)
バセドウ病 23例, 破壊性甲状腺中毒症 32例の解析では
FT3/FT4比はそれぞれ0.395, 0.287
(Journal of Clinical and Diagnostic Research. 2017 Jul, Vol-11(7): OC12-OC14)
・pg/mL, ng/dLで換算すると, バセドウ病では3.3, 破壊性甲状腺中毒症では2.4
カットオフ ≥2.54で, 感度87%, 特異度62.5%
バセドウ病126例, 無痛性甲状腺炎36例, 亜急性甲状腺炎18例, 健常人63例でFT3/FT4比を評価
カットオフと感度, 特異度
国内で使用されている単位は上部に記載
・FT3/FT4 >3.40で感度87.3%, 特異度91.4%
---------------------------------------------
これらの報告から, バセドウ病の可能性を上げるFT3/FT4のカットオフは3前後. 2.5~3.4位と把握しておくと良い.
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2019年11月11日月曜日
2019年11月9日土曜日
関節リウマチの免疫学的寛解には意味があるのか?
近年、寛解を維持できたRAにおいて, DMARDを減量、または中止するRCTが発表されている.
報告では, 中止により半数以上は再燃するが, 反対に言えば2-3割はDMARD中止後も寛解維持できるわけで, その意義はそれなりにある.
中止や減量を考慮する基準としては、
臨床的寛解が1年以上維持できているとしているものが多いが,
臨床的寛解以上の基準として, 画像/血清学的所見の寛解(Imaging/Serological remission), 免疫学的寛解(Immunological remission)を考慮したらどうかというReviewもある
(Ann Rheum Dis 2016;75:1428–1437.)
この免疫学的寛解と寛解維持を評価したCohort.
(Ann Rheum Dis 2019;78:1497–1504.)
発症2年未満のRA患者をフォローした, Leiden Early Arthritis Clinic cohortの評価
初期にACPAまたはRF陽性で,
・寛解後全てのDMARDを1年以上中止し, そのまま寛解維持できた症例(平均フォロー期間4.8年)
・中止後1年以上経過して再燃した症例
・Controlとして寛解達成できず, DMARDを継続した群 において, 自己抗体の変化を評価した
母集団データ, 治療内容, 経過
・再燃群ではおよそDMARD中止後2-3年で再燃
アウトカム: 自己抗体の推移
・CCP2 IgG陰性化は其々13%, 8%, 6%で有意差なし(p=0.63)
・CCP2 IgM, RFの陰性化も有意差はない
----------------------------
ACPA陽性, RF陽性のRAにおいて, 抗体の陰性化(Seroconversion)はDMARD中止後の寛解維持を予測する因子にはならなかった.
治療は抗体をフォローする必要性も乏しいという結果
報告では, 中止により半数以上は再燃するが, 反対に言えば2-3割はDMARD中止後も寛解維持できるわけで, その意義はそれなりにある.
中止や減量を考慮する基準としては、
臨床的寛解が1年以上維持できているとしているものが多いが,
臨床的寛解以上の基準として, 画像/血清学的所見の寛解(Imaging/Serological remission), 免疫学的寛解(Immunological remission)を考慮したらどうかというReviewもある
(Ann Rheum Dis 2016;75:1428–1437.)
この免疫学的寛解と寛解維持を評価したCohort.
(Ann Rheum Dis 2019;78:1497–1504.)
発症2年未満のRA患者をフォローした, Leiden Early Arthritis Clinic cohortの評価
初期にACPAまたはRF陽性で,
・寛解後全てのDMARDを1年以上中止し, そのまま寛解維持できた症例(平均フォロー期間4.8年)
・中止後1年以上経過して再燃した症例
・Controlとして寛解達成できず, DMARDを継続した群 において, 自己抗体の変化を評価した
母集団データ, 治療内容, 経過
・再燃群ではおよそDMARD中止後2-3年で再燃
アウトカム: 自己抗体の推移
・CCP2 IgG陰性化は其々13%, 8%, 6%で有意差なし(p=0.63)
・CCP2 IgM, RFの陰性化も有意差はない
----------------------------
ACPA陽性, RF陽性のRAにおいて, 抗体の陰性化(Seroconversion)はDMARD中止後の寛解維持を予測する因子にはならなかった.
治療は抗体をフォローする必要性も乏しいという結果
ベーチェット病と悪性腫瘍(特に血液腫瘍, MDS)
症例: 70歳台女性
難治性の口腔内潰瘍, CRP高値, 発熱, 体重減少・・・
半年ほど〜頬粘膜, 咽頭にアフタ, 潰瘍性病変が出現.
またCRPも徐々に上昇し, 体重減少も認められた. 他の症状はない.
口腔内病変の生検では好中球・リンパ球の浸潤のみで特異的な所見なし.
自己抗体も有意なものは認めず.
一時的なPSL使用により病変は改善, CPRも低下するが, 終了後に再増悪する経過.
腹部CTで回腸末端に壁肥厚, 周囲脂肪組織の軽度混濁あり, 回腸末端炎もあり.
血液検査では, 極軽度の正球性貧血.
またこの半年の経過でWBC 10000万越え〜今回2-3万まで上昇.
分画には初期は特記すべき所見はなかったが, 最近 単球が10-20%まで上昇あり. 数値でいうと1000~2000/µLまで増加している. 末梢血のBlastや幼若骨髄球の出現はない.
-----------
これは, MDS・CMMLに伴うBDの可能性が高そうだ, ということでお勉強です.
MDSでは自己免疫疾患が合併することがある.
2019年11月に発表されたMedicineより, BDと悪性腫瘍の関連性を評価したSystematic review
(Medicine 2019;98:44(e17735))
・特に関連性が強いのは血液腫瘍: RR 2.58[1.61-3.55]. リンパ腫や白血病はさらに高リスク
甲状腺腫瘍: RR 1.25[1.04-1.47]
・ただしStudy間でのHeterogeneityが認められる
難治性の口腔内潰瘍, CRP高値, 発熱, 体重減少・・・
半年ほど〜頬粘膜, 咽頭にアフタ, 潰瘍性病変が出現.
またCRPも徐々に上昇し, 体重減少も認められた. 他の症状はない.
口腔内病変の生検では好中球・リンパ球の浸潤のみで特異的な所見なし.
自己抗体も有意なものは認めず.
一時的なPSL使用により病変は改善, CPRも低下するが, 終了後に再増悪する経過.
腹部CTで回腸末端に壁肥厚, 周囲脂肪組織の軽度混濁あり, 回腸末端炎もあり.
血液検査では, 極軽度の正球性貧血.
またこの半年の経過でWBC 10000万越え〜今回2-3万まで上昇.
分画には初期は特記すべき所見はなかったが, 最近 単球が10-20%まで上昇あり. 数値でいうと1000~2000/µLまで増加している. 末梢血のBlastや幼若骨髄球の出現はない.
-----------
これは, MDS・CMMLに伴うBDの可能性が高そうだ, ということでお勉強です.
MDSでは自己免疫疾患が合併することがある.
MDSには自己免疫性疾患が合併することがある
特にTrisomy 8とベーチェット病(BD)の関連は一部界隈にとってはよく知られている.
MDS+BD症例22例のLiterature review
(J Clin Rheumatol 2008;14: 169–174)
・18例は日本からの報告
・BDは不全型が大半を占める
MDS+BD症例とMDSのみの症例の比較
・BD合併例では+8が多い.
・MDSのタイプは様々. CMMLも報告あり
BD+MDS症例とBD症例の比較
・BD+MDSでは眼病変, 皮膚病変の頻度が少ない
日本国内よりMDS-associated BD 54例を解析した報告
(Clin Exp Rheumatol 2005; 24 (Suppl. 42): S115-S119.)
・発症年齢とMDS-BD発症の期間
・BDが先行する例が多い
BD発症年齢と症状
----------------------------
ここで一つ疑問. MDS以外の悪性腫瘍とBDの関係はどうだろうか?
悪性腫瘍関連BDと診断された112例のLiterature reviewより
(Clin Exp Rheumatol 2005; 23 (Suppl. 38): S35-S41.)
・固形腫瘍が54例. 51例がBDが先行し, BD~腫瘍診断まで9.5年間[2M-43年].
固形腫瘍の原発は,
膀胱癌(7), 乳癌(5), 甲状腺(4), 胃(4),
子宮(3), 肝臓(3), 肺(3), 大腸(3),
膵臓(2), 卵巣(2), 基底細胞癌(2), カポジ肉腫(2), 腎(2), 悪性組織球腫(2), 褐色細胞腫(2)など
・血液腫瘍が60例. 39例がBDが先行し, BD~腫瘍診断まで6.1年[3M-41年]
白血病(24), MDS(18), リンパ腫(13),
多発性骨髄腫(2), ホジキン病(2), Lymphosarcoma(1)
悪性腫瘍に関連したBD 中国人症例41例の解析
(Int J Rheum Dis. 2014 May;17(4):459-65. )
・651例のBD症例のうち, 41例で悪性腫瘍を診断.
・41例の原発とLiterature reviewによる167例の原発巣
・この報告でも血液腫瘍が多く, MDS, 白血病, リンパ腫が三大原因
BD+悪性腫瘍例とBD症例の比較(左)
固形腫瘍例と血液腫瘍例の比較(右)
・BD+悪性腫瘍例では消化管病変が多く, 女性が多い
・血液腫瘍関連では腫瘍診断時にActiveなBDであることが多い
BD診断〜悪性腫瘍診断までも血液腫瘍で短い.
2019年11月に発表されたMedicineより, BDと悪性腫瘍の関連性を評価したSystematic review
(Medicine 2019;98:44(e17735))
・特に関連性が強いのは血液腫瘍: RR 2.58[1.61-3.55]. リンパ腫や白血病はさらに高リスク
甲状腺腫瘍: RR 1.25[1.04-1.47]
・ただしStudy間でのHeterogeneityが認められる
--------------------------
Trisomy 8陽性のMDSで腸管病変が合併した報告は京都GIMカンファでも2回ほど出ています.
今症例でも半年前に病変が出現してから, 徐々にWBC上昇なども増悪経口にあり, 血液腫瘍とActiveなBD(不全型BD)に関連性があるとする最後の論文にも合致.
BDや謎な口腔内病変の鑑別に血液疾患を加えるのは大事かもしれません.
2019年11月6日水曜日
インフルワクチン: 皮下注, 筋注, 高用量, 通常用量の比較 from 日本
インフルエンザワクチンは添付文章上は皮下注射であるものの,
筋注をした方が効果は変わらず, 局所の副反応が少ない
参考: インフルワクチンは皮下注より筋注で
日本国内より, 4価のインフルエンザワクチンを
・高用量 筋注
・高用量 皮下注
・通常用量 皮下注 群で比較したPhase I/II trialが出ていましたので紹介します
筋注をした方が効果は変わらず, 局所の副反応が少ない
参考: インフルワクチンは皮下注より筋注で
日本国内より, 4価のインフルエンザワクチンを
・高用量 筋注
・高用量 皮下注
・通常用量 皮下注 群で比較したPhase I/II trialが出ていましたので紹介します
Hum Vaccin Immunother. 2019 Oct 21. doi: 10.1080/21645515.2019.1677437. [Epub ahead of print]
Immunogenicity and safety of high-dose quadrivalent influenza vaccine in Japanese adults ≥65 years of age: a randomized controlled clinical trial.
≥65歳の日本人を対象としたDB-RCT.
・4価高用量ワクチン筋注群 vs 皮下注射群 vs 4価通常用量ワクチン皮下注射群に割り付け, 1ヶ月後の赤血球凝集阻止(HI)抗体価を評価
・IIV4-HDでは1株あたり60µgのHAが含有
IIV4-SDでは1株あたり15µg含有(通常のワクチン)
アウトカム: ワクチン後の赤血球凝集阻止抗体価
・SD群よりもHD群でより抗体価上昇は良好
・皮下注射, 筋注で差はない
副反応の頻度
・投与部の疼痛は3者で差はないが,
投与部の発赤や腫脹, 硬結はHD群では筋注の方が少ない.
SD皮下注射とHD筋注群はほぼ同じか, 若干HD筋注群で少ない傾向
-----------------------
・筋注でも効果は特に変わらない.
・筋注では皮下注よりも局所の反応は少ない傾向がある.
・4倍量の高用量ワクチンはより抗体産生効果が良好
今年も私自身+子供は筋注しました.
やっぱり腫れは少なくなったと思います.
DOACの周術期プロトコール
(JAMA Intern Med. 2019;179(11):1469-1478. )
DOACの周術期プロトコール
・DOACの半減期10-14h, ピークまでの時間1-3hを加味して決めている
・低リスク手技では半減期x3, 高リスク手技では半減期x5程度
PAUSE: 中国におけるprospective cohort. 成人例のAfで待機的手術を予定されている3007例でこのプロトコールを適応し, 30日以内の出血, 血栓症リスクを評価
・RCTにしようとしたが, Control群のプロトコール設定に適切なものがなく, Prospective cohortとなった経緯.
・除外項目:
アピキサバン使用患者でCrCl <25mL/min
ダビガトラン, リバロキサバン使用者でCrCl <30mL/min
認知機能障害, 精神疾患患者
同意が得られない患者, 他のStudyに参加している患者
30日以内に2つ以上の手技を予定されている患者
・高リスクの手術:
脊髄麻酔, 硬膜外麻酔, 中枢神経の手術, 胸部, 心臓, 腫瘍血管, 腹部・骨盤, 整形外科手術, 頭頸部腫瘍, 顔面・腹部・四肢の再建
・低リスクの手術: 内視鏡, ペースメーカー・ICD留置, アブレーション, 冠動脈造影, 歯牙手術, 皮膚生検, 白内障手術
母集団
アウトカム: 30日以内の出血, 血栓症リスク
・Major bleedingは1-2%程度
低リスク群で1%前後
高リスク群で~3%程度
・血栓症リスクは0.5%前後となる
双方とも実用に耐える数値であると結論付けている
DOACの周術期プロトコール
・DOACの半減期10-14h, ピークまでの時間1-3hを加味して決めている
・低リスク手技では半減期x3, 高リスク手技では半減期x5程度
PAUSE: 中国におけるprospective cohort. 成人例のAfで待機的手術を予定されている3007例でこのプロトコールを適応し, 30日以内の出血, 血栓症リスクを評価
・RCTにしようとしたが, Control群のプロトコール設定に適切なものがなく, Prospective cohortとなった経緯.
・除外項目:
アピキサバン使用患者でCrCl <25mL/min
ダビガトラン, リバロキサバン使用者でCrCl <30mL/min
認知機能障害, 精神疾患患者
同意が得られない患者, 他のStudyに参加している患者
30日以内に2つ以上の手技を予定されている患者
・高リスクの手術:
脊髄麻酔, 硬膜外麻酔, 中枢神経の手術, 胸部, 心臓, 腫瘍血管, 腹部・骨盤, 整形外科手術, 頭頸部腫瘍, 顔面・腹部・四肢の再建
・低リスクの手術: 内視鏡, ペースメーカー・ICD留置, アブレーション, 冠動脈造影, 歯牙手術, 皮膚生検, 白内障手術
母集団
アウトカム: 30日以内の出血, 血栓症リスク
・Major bleedingは1-2%程度
低リスク群で1%前後
高リスク群で~3%程度
・血栓症リスクは0.5%前後となる
双方とも実用に耐える数値であると結論付けている
----------------------
待機的手術, 処置の際のDOAC中止, 再開時期を評価した報告.
2016年のReviewより, 其々のDOACの周術期のガイダンスを参考までに
(The American Journal of Medicine (2016) 129, S47-S53)
これと比べると, ずいぶんシンプルなプロトコール. 覚えやすくて助かります.
2019年11月5日火曜日
糞線虫に対するイベルメクチンの投与回数
イベルメクチンは基本的に200µg/kgを4回投与する.
2週間あけて2日間投与する方法
この方法と, 1回のみ200µg/kgを使用する方法を比較したPhase 3 trial
(Lancet Infect Dis 2019; 19: 1181–90)
ヨーロッパにおけるOpen-label phase 3 trial.
309例の糞線虫症患者を対象とし, 1回投与群 vs 4回投与群に割付け, 比較したRCT.
・患者は5歳以上, 体重15kg以上で, 糞線虫の流行地域以外に在住している.
・糞便よりS stercoralisが検出され, 血清学検査も陽性.
糞便より未検出の場合は血清学検査で強陽性
・除外: 妊婦·授乳婦, 中枢神経疾患, 播種性糞線虫症, 免疫不全,前年にイベルメクチン使用歴あり.
200µg/kgを4回投与群 vs 1回投与群に割付け, 12ヶ月後の排除率を比較
母集団
Studyは12ヶ月時点でのInterim analysisにて終了.
・4回投与群が1回投与よりも勝るという可能性は1%未満となったため
アウトカム
・12ヶ月時点でのS stercoralisの除去率
培養, PCR陰性, 血清学検査陰性化, またはIFATで2 titer低下, ELISAで2倍以上の低下を認めることで定義
・両群で効果は有意差なし
好酸球の推移
除去成功に関わる因子
・より除菌率が良好となる因子は, 皮疹(-), 好酸球増多(+)
・Nが少ないが, アジア人では除菌率が悪い可能性がある
副作用の比較
--------------------------
播種性糞線虫症でなければ, 治療は1回投与でも効果は良好である.
しかしながらアジア人における排除率が他の人種と比較して悪く, 日本で適応するにはアジア人での評価は気にしたい.
2週間あけて2日間投与する方法
この方法と, 1回のみ200µg/kgを使用する方法を比較したPhase 3 trial
(Lancet Infect Dis 2019; 19: 1181–90)
ヨーロッパにおけるOpen-label phase 3 trial.
309例の糞線虫症患者を対象とし, 1回投与群 vs 4回投与群に割付け, 比較したRCT.
・患者は5歳以上, 体重15kg以上で, 糞線虫の流行地域以外に在住している.
・糞便よりS stercoralisが検出され, 血清学検査も陽性.
糞便より未検出の場合は血清学検査で強陽性
・除外: 妊婦·授乳婦, 中枢神経疾患, 播種性糞線虫症, 免疫不全,前年にイベルメクチン使用歴あり.
200µg/kgを4回投与群 vs 1回投与群に割付け, 12ヶ月後の排除率を比較
母集団
Studyは12ヶ月時点でのInterim analysisにて終了.
・4回投与群が1回投与よりも勝るという可能性は1%未満となったため
アウトカム
・12ヶ月時点でのS stercoralisの除去率
培養, PCR陰性, 血清学検査陰性化, またはIFATで2 titer低下, ELISAで2倍以上の低下を認めることで定義
・両群で効果は有意差なし
好酸球の推移
除去成功に関わる因子
・より除菌率が良好となる因子は, 皮疹(-), 好酸球増多(+)
・Nが少ないが, アジア人では除菌率が悪い可能性がある
副作用の比較
--------------------------
播種性糞線虫症でなければ, 治療は1回投与でも効果は良好である.
しかしながらアジア人における排除率が他の人種と比較して悪く, 日本で適応するにはアジア人での評価は気にしたい.
2019年11月3日日曜日
結核性胸膜炎に対する, 胸水T-SPOT
結核性胸膜炎はしばしば診断に難渋することがある.
結核の可能性評価としてよく行われるのは結核菌INF-γ測定(T-SPOTやQFT)だが,
それも感度や特異度については不十分.
胸水でこれらINF-γ測定を行う報告もあるが, 有用性は微妙.
2015年のMetaでは, (J Clin Microbiol. 2015 Aug;53(8):2451-9. )
結核性胸膜炎診断における,
末梢血T-SPOTは感度83%[75-90], 特異度71%[59-80]
胸水T-SPOTは感度85%[72-92], 特異度78%[64-88]
末梢血QFTは感度74%[66-81], 特異度72%[65-78]
胸水QFTは感度60%[40-77], 特異度83%[66-92]
と, 末梢血と差は少ない.
また, 実際行おうとすると, 胸水中の単核球量が少なく,
また検査会社側も方法がわからず, 断られることがほとんど.
その辺の方法も詳しく説明してある前向きStudyが出ていたため, 紹介
(Front. Cell. Infect. Microbiol. 9:10. doi: 10.3389/fcimb.2019.00010 )
中国の2施設において, 胸水T-SPOTの結核性胸膜炎に対する有用性を評価した前向きCohort
・2017-2018年に結核性胸膜炎を疑われた其々218例, 210例を対象.
・末梢血T-SPOT, 胸水T-SPOT, 他検査と最終診断における結核性胸膜炎の感度, 特異度を評価した.
・結核性胸膜炎の診断は,
Confirmed: 喀痰やBAL, 胸水, 胸膜培養から結核が陽性.
Probable: 培養陰性なものの, 組織所見, 細胞診, 検査から結核と判断
抗結核薬の投与により改善を認める
他の診断(肺癌やリンパ腫, 膿胸など)がされた患者は非結核症例とし, 対象群として評価
それ以外はSuspected plTBに分類し, 除外.
末梢血T-SPOTの評価
・T-SPOTは末梢血単核球を2.5x105抽出し評価.
・陽性コントロール, 陰性コントロール, ESAT-6, CFP-10と反応させ, スポット数を評価.
・ESAT-6, CFP-10陽性スポット数-陰性スポット数≥6で陽性, ≤5で陰性.
・陽性コントロールでスポット数<20, または陰性コントロールのスポット数>10では判定不能不能と判断される
胸水T-SPOTの評価
・胸水50mlを採取し, 遠心分離を行い, 上澄液を破棄する.
・沈澱物をRPMI 1640培地(細胞培養に使用する培地) 4mlに再懸濁する.
・上記液より, Ficoll-Hypaque density centrifugationで胸水単核球を分離
・2回の細胞洗浄を経て, 胸水単核球(1x105)でT-SPOTを行う
・評価は末梢血と同様だが, 陽性のカットオフはスポット数>10, また, 判定不能は陽性コントロールのスポット数<20のみ.
母集団のデータ
アウトカム
MAX SFCs: ESAT-6もしくはCPF-10のスポット数(陰性コントロールとの差)で大きいほうを採用.
SFC: Spot forming cells, PB:末梢血, PF:胸水
・末梢血T-SPOTで特異度をあげようとすると, カットオフは15以上必要
・胸水T-SPOTのスポット数は末梢血よりもかなり多く, カットオフ≥76とすると, 末梢血T-SPOTよりも結核性胸膜炎に対する感度, 特異度は良好.
他の検査, 胸水T-SPOTの感度, 特異度
-----------------------------
胸水T-SPOTは結核性胸膜炎の評価に有用であるが, 検査方法, 準備には注意が必要.
市中病院では大体外注であるため, 対応できない可能性も高い.
奥の手として覚えおきたい. 機会があればこの方法でやってくれるか確かめてみたい.
結核の可能性評価としてよく行われるのは結核菌INF-γ測定(T-SPOTやQFT)だが,
それも感度や特異度については不十分.
胸水でこれらINF-γ測定を行う報告もあるが, 有用性は微妙.
2015年のMetaでは, (J Clin Microbiol. 2015 Aug;53(8):2451-9. )
結核性胸膜炎診断における,
末梢血T-SPOTは感度83%[75-90], 特異度71%[59-80]
胸水T-SPOTは感度85%[72-92], 特異度78%[64-88]
末梢血QFTは感度74%[66-81], 特異度72%[65-78]
胸水QFTは感度60%[40-77], 特異度83%[66-92]
と, 末梢血と差は少ない.
また, 実際行おうとすると, 胸水中の単核球量が少なく,
また検査会社側も方法がわからず, 断られることがほとんど.
その辺の方法も詳しく説明してある前向きStudyが出ていたため, 紹介
(Front. Cell. Infect. Microbiol. 9:10. doi: 10.3389/fcimb.2019.00010 )
中国の2施設において, 胸水T-SPOTの結核性胸膜炎に対する有用性を評価した前向きCohort
・2017-2018年に結核性胸膜炎を疑われた其々218例, 210例を対象.
・末梢血T-SPOT, 胸水T-SPOT, 他検査と最終診断における結核性胸膜炎の感度, 特異度を評価した.
・結核性胸膜炎の診断は,
Confirmed: 喀痰やBAL, 胸水, 胸膜培養から結核が陽性.
Probable: 培養陰性なものの, 組織所見, 細胞診, 検査から結核と判断
抗結核薬の投与により改善を認める
他の診断(肺癌やリンパ腫, 膿胸など)がされた患者は非結核症例とし, 対象群として評価
それ以外はSuspected plTBに分類し, 除外.
末梢血T-SPOTの評価
・T-SPOTは末梢血単核球を2.5x105抽出し評価.
・陽性コントロール, 陰性コントロール, ESAT-6, CFP-10と反応させ, スポット数を評価.
・ESAT-6, CFP-10陽性スポット数-陰性スポット数≥6で陽性, ≤5で陰性.
・陽性コントロールでスポット数<20, または陰性コントロールのスポット数>10では判定不能不能と判断される
胸水T-SPOTの評価
・胸水50mlを採取し, 遠心分離を行い, 上澄液を破棄する.
・沈澱物をRPMI 1640培地(細胞培養に使用する培地) 4mlに再懸濁する.
・上記液より, Ficoll-Hypaque density centrifugationで胸水単核球を分離
・2回の細胞洗浄を経て, 胸水単核球(1x105)でT-SPOTを行う
・評価は末梢血と同様だが, 陽性のカットオフはスポット数>10, また, 判定不能は陽性コントロールのスポット数<20のみ.
母集団のデータ
アウトカム
MAX SFCs: ESAT-6もしくはCPF-10のスポット数(陰性コントロールとの差)で大きいほうを採用.
SFC: Spot forming cells, PB:末梢血, PF:胸水
・末梢血T-SPOTで特異度をあげようとすると, カットオフは15以上必要
・胸水T-SPOTのスポット数は末梢血よりもかなり多く, カットオフ≥76とすると, 末梢血T-SPOTよりも結核性胸膜炎に対する感度, 特異度は良好.
他の検査, 胸水T-SPOTの感度, 特異度
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胸水T-SPOTは結核性胸膜炎の評価に有用であるが, 検査方法, 準備には注意が必要.
市中病院では大体外注であるため, 対応できない可能性も高い.
奥の手として覚えおきたい. 機会があればこの方法でやってくれるか確かめてみたい.
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