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2019年11月3日日曜日

結核性胸膜炎に対する, 胸水T-SPOT

結核性胸膜炎はしばしば診断に難渋することがある.
結核の可能性評価としてよく行われるのは結核菌INF-γ測定(T-SPOTやQFT)だが, 
それも感度や特異度については不十分.

胸水でこれらINF-γ測定を行う報告もあるが, 有用性は微妙.

2015年のMetaでは, (J Clin Microbiol. 2015 Aug;53(8):2451-9. )
結核性胸膜炎診断における,
 末梢血T-SPOTは感度83%[75-90], 特異度71%[59-80]
 胸水T-SPOTは感度85%[72-92], 特異度78%[64-88]
 
 末梢血QFTは感度74%[66-81], 特異度72%[65-78]
 胸水QFTは感度60%[40-77], 特異度83%[66-92]

と, 末梢血と差は少ない.
また, 実際行おうとすると, 胸水中の単核球量が少なく,
また検査会社側も方法がわからず, 断られることがほとんど.


その辺の方法も詳しく説明してある前向きStudyが出ていたため, 紹介
(Front. Cell. Infect. Microbiol. 9:10. doi: 10.3389/fcimb.2019.00010 )

中国の2施設において, 胸水T-SPOTの結核性胸膜炎に対する有用性を評価した前向きCohort
・2017-2018年に結核性胸膜炎を疑われた其々218, 210例を対象.
末梢血T-SPOT, 胸水T-SPOT, 他検査と最終診断における結核性胸膜炎の感度, 特異度を評価した.
結核性胸膜炎の診断は,
 Confirmed: 喀痰やBAL, 胸水, 胸膜培養から結核が陽性.
 Probable: 培養陰性なものの, 組織所見, 細胞診, 検査から結核と判断
  抗結核薬の投与により改善を認める
 他の診断(肺癌やリンパ腫, 膿胸など)がされた患者は非結核症例とし, 対象群として評価
 それ以外はSuspected plTBに分類し, 除外.

末梢血T-SPOTの評価
・T-SPOTは末梢血単核球を2.5x105抽出し評価.
陽性コントロール, 陰性コントロール, ESAT-6, CFP-10と反応させスポット数を評価
・ESAT-6, CFP-10陽性スポット数-陰性スポット数≥6で陽性, ≤5で陰性.
陽性コントロールでスポット数<20, または陰性コントロールのスポット数>10では判定不能不能と判断される

胸水T-SPOTの評価
・胸水50mlを採取し, 遠心分離を行い, 上澄液を破棄する.
沈澱物をRPMI 1640培地(細胞培養に使用する培地) 4mlに再懸濁する.
上記液より, Ficoll-Hypaque density centrifugationで胸水単核球を分離
2回の細胞洗浄を経て, 胸水単核球(1x105)T-SPOTを行う
・評価は末梢血と同様だが, 陽性のカットオフはスポット数>10, また, 判定不能は陽性コントロールのスポット数<20のみ.

母集団のデータ

アウトカム
MAX SFCs: ESAT-6もしくはCPF-10のスポット数(陰性コントロールとの差)で大きいほうを採用.
SFC: Spot forming cells, PB:末梢血, PF:胸水

・末梢血T-SPOTで特異度をあげようとすると, カットオフは15以上必要
・胸水T-SPOTのスポット数は末梢血よりもかなり多く, カットオフ≥76とすると, 末梢血T-SPOTよりも結核性胸膜炎に対する感度, 特異度は良好.

他の検査, 胸水T-SPOTの感度, 特異度

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胸水T-SPOTは結核性胸膜炎の評価に有用であるが, 検査方法, 準備には注意が必要.
市中病院では大体外注であるため, 対応できない可能性も高い.
奥の手として覚えおきたい. 機会があればこの方法でやってくれるか確かめてみたい.