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2021年7月28日水曜日

多中心性キャスルマン病の肺病変, IgG4-RDとの違い

参考: Multicentric Castleman Disease(MCD)

参考: IgG4関連疾患と多中心性キャスルマン病


中年男性. 肺の小結節, 一部Consolidation, 気管支拡張を認め, 

 血液IgGは多クローナルに上昇. CRP 3-4mg/dLと慢性的に上昇を認めるものの

 感染症検査はいずれも陰性. 特異的自己抗体も陰性.

 原因不明とのことで紹介となった.


 膠原病を示唆する他の臓器症状, 所見は認められず. IgG4は軽度上昇あるが, IgG4/IgG比は10%程度でそこまで有意な上昇とも言い難い. 

 サルコイドーシスとしてもBHLもなく, 決め手に欠ける状況(基本除外診断だし...). 

 CTを見直すと, 頸部, 縦隔, 腹腔Ao周囲, 鼠径に部分的には1cm強のリンパ節が目立つ印象. 脾腫も著明ではないが, 年齢にしては大きい印象.

 慢性炎症, 多クローン性IgG上昇, 全身性リンパ節の軽度の腫脹.

 これってMCDによる肺病変の可能性ってあるのだろうか? という疑問.

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MCDによる肺病変

(Radiology 1998;209:477-48)

・MCDの一部では肺病変を呈する.

 報告からは, リンパ球性間質性肺炎の報告が多いが, まとまった報告はあまりない.

・縦隔リンパ節や肺門部リンパ節の腫大は多く認められる所見

MCDで肺病変を認めた12例のCT所見:

・全例で境界不明瞭の小葉中心性陰影を認めた.


 他に壁の薄い嚢胞性病変が10例


 気管支血管束の肥厚が10例


 小葉間隔壁肥厚が9例

 頻度は落ちるが, 他に胸膜下結節, GGO, Consolidation, 気管支拡張が認められた.


画像の例.

(Radiology 1998;209:477-481)

HIV+ MCD患者における肺病変の画像例

(J Thorac Imaging 2007;22:207–211)

・様々なパターンの画像所見を呈しうる.
 小葉中心性陰影, 小葉間隔壁肥厚, GGO, Consolidation, 胸水, 気管支血管束肥厚など.
 孤発性の肺結節もあり.


しばしばiMCDとの鑑別で重要となるIgG4-RD.
このIgG4-RDでも肺病変を呈することがある;

2011-2015年に診断されたIgG4関連疾患 248例中
 胸腔内病変を認めたのは87例
(Medicine 94(50):e2150)
・平均年齢は54.19±13.80歳
・肺実質の結節病変が25.3%
 肺胞浸潤病変が20.7%
 GGOが9.2%
・他に気管病変, 胸膜病変
縦隔病変など様々ある.

IgG4-RDによる呼吸器病変の診断基準案
(Respiratory Investigation 2016;54:130-132)


PC-iMCD(形質細胞性MCD)による肺病変とIgG4-RDによる肺病変の比較
(J. Pers. Med. 2020, 10, 269; doi:10.3390/jpm10040269)
・臨床所見の比較では,
 
 PC-iMCDではより中年 vs IgG4-RDは高齢

 膵臓や唾液腺はIgG4-RDで多い
 
PLTの上昇やAlb低下はiMCD
 
IgG4は双方上昇するが, IgG4/IgG比は
IgG4-RDでより上昇する.

・病理所見では, Sheet-like plasmacytosisや好酸球浸潤が異なる
 Sheet-like plasmacytosisはiMCD,
 好酸球浸潤はIgG4-RDで多い.

同様にiMCDとIgG4-RDによる
肺病変症例の比較
(Histopathology 2017, 70, 1114–1124. DOI: 10.1111/his.13186)
・同様にIgG4-RDではより高齢.
・また, 検査では炎症反応や貧血, IgG4/IgG比に差がある
・病理所見ではIgG4-RDでより線維性変化や好酸球浸潤が多い.