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2021年7月16日金曜日

脱毛症 Alopecia

脱毛症 Alopecia

Alopecia areata: 円形脱毛症


Alopecia ophiasis: 蛇行状脱毛症


Alopecia totalis: 頭蓋脱毛症


Alopecia universalis: 全身性脱毛症


Alopecia areata(AA)は比較的頻度の高い, 炎症性, 非瘢痕性の脱毛性疾患.

・T細胞が関連した免疫反応で, 毛胞や爪がターゲットとなる

(Int J Dermatol. 2018 Dec;57(12):1464-1470.)

・一般人口の2%で認められる.

・AAのSubtypeに, Alopecia totalis(AT), ohiasis(AO), universalis(AS)といったものがある.

 
AA: 円形の脱毛症 2.13%[1.83-2.46]


 AT: 頭蓋全体の脱毛症 0.08%[0.04-0.13]


 AO: 蛇行状に脱毛したもの 0.001%[0.001-0.057]


 AU: 全身性の脱毛症 0.03%[0.01-0.06]

・頻度は人種でも異なる.

 人種では, South American(8.7%), African(7.1%)で多く, 次いでNorth American(2.5%), Asian(1.5%), 最も少ないのはEuropean(0.6%). [頻度はAAの頻度]

・自己免疫疾患患者では特に頻度は高い

 自己免疫性疾患(-)群ではAA 1.8%[1.5-2.2%], AT 0.07%[0.03-0.12], AU 0.03%[0.01-0.06]

 
SLE患者では7.4%[2.3-15.3]


 白斑症では2.8%[1.9-3.9]


 乾癬では3.3%[0.9-7.2]

(J Am Acad Dermatol. 2020 Mar;82(3):675-682.)


AA, AT, AU症例 1641例のReview

(Skin Appendage Disord. 2021 Jan;7(1):8-12.)

・AAが84.8%, ATが4.9%, AUが10.2%


 男性は46.6%, 


 平均年齢はAA 29.9±14.5歳, AT 29.5±16.2歳, AU 32.8±14.5歳

・それぞれの年齢分布: 大体同じような分布となる

・発症に季節性はとくにない


スペインにおけるAT/AU 132例のReview

(J Eur Acad Dermatol Venereol. 2017 Mar;31(3):550-556.)

・AUが80例, ATが39例.

・AAの家族歴は12%で陽性

・AAからAT/AUへ進行する期間の中央値は1年間[0-32]

 
91%が4年以内に進行を認めた.

・自己免疫性疾患の合併は23%(31例)
 

 甲状腺疾患が20%(26)と最も多く, 次いで白斑症(4例), I型糖尿病(3例),
 乾癬が4例.


 他の合併症はアトピー性皮膚炎(20%)

他の症例Reviewから,

(J Eur Acad Dermatol Venereol. 2017 Mar;31(3):550-556.)

・AAの家族歴陽性例は6.6-24.4%

・爪の異常所見は7.3-29.4%で認められる.

・自己免疫疾患の合併は12.9-38.4%
甲状腺疾患は0-25.1%
アトピー性皮膚炎は5.2-49.2%


Alopeciaと悪性腫瘍の関連はあるのか?

(Sci Rep. 2018 Jun 27;8(1):9748. doi: 10.1038/s41598-018-28142-1.)

・2007-2014年に診断, 治療を行なったAlopecia 668604例と年齢, 性別を合わせたControl群において, 悪性腫瘍リスクを比較.

・AAが608190例, 平均年齢は40.16±12.74歳, 男性50.78%


 AT/AUが60414例, 平均年齢は41.29±13.86歳, 男性52.46%


 平均フォロー期間は4.92±2.32年

悪性腫瘍リスクは, AA群でHR 1.04[1.02-1.07], AT/AU群でHR 1.07[1.01-1.1]と軽度上昇


 各論では, 甲状腺癌がAA群 HR 1.17[1.12-1.21], AT/AU群 HR 1.33[1.21-1.47]


 前立腺癌がAA群 HR 1.26[1.14-1.39], 膀胱癌がAA群 HR 1.22[1.06-1.40]と上昇.


・目立って上昇するわけではないが,
 一部の悪性腫瘍のリスクになる可能性がある.
 デルマドロームとしてはあまり考える必要はないのかもしれない

AT, AUの予後
・AAと診断された患者の7%がATやAUに進展する.
・AT/AUの予後はAAよりも悪いとされ, 
Meta-analysisでは自然寛解するのはAT/AUの8.5%のみ.
 さらにAUはATよりも寛解達成は少ない
(J Eur Acad Dermatol Venereol. 2020 Apr;34(4):709-715.)


Alopeciaの治療

2000-2016年に報告されたAT, AUの治療のReview
(Int J Dermatol. 2017 Aug;56(8):801-810.)
・免疫抑制薬の外用: DPCP(diphenylcyclopropenone)
 ステロイド: mPSL IV/PO, ベタメサゾン
 免疫抑制療法: アザチオプリン, MTX, CyA,
 光線力学的治療
 TNFα阻害薬, JAK阻害薬などが治療として用いられる

どれも一定の効果は期待できるものの,
どれが最も優れているか,
第一選択とすべきかは不明確

JAK阻害薬はAlopeciaの治療として有用な可能性がある.



74例のAT/AU症例を後ろ向きに解析
(Acta Derm Venereol. 2019 Jan 1;99(1):41-46.)
・この内18例がTofacitinib内服, 26例がPSL+CyA, 30例がDiphenylcyclopropenone(DPCP)外用による治療が行われた.
・治療開始6ヶ月におけるSeverity of Alopecia Tool score 50%以上の改善率は
 
Tofa群で44.4%, PSL+CyA群で37.5%, DPCP群で11.1%と
Tofa, PSL+CyA経口群で脱毛の改善は良好.


JAK阻害薬外用による治療:

16例のAU症例を対象としたDB-RCT.

(Int J Dermatol. 2018 Dec;57(12):1464-1470.)
外用JAKi群として, 2% tofacitinib外用 vs 1% ruxolitinib外用

 Control群として, 0.05% Clobetasol dipropionate外用(ステロイド) vs Placebo外用群の
4本のチューブを渡し, それぞれ Blindされた状態で
左右眉, 左右頭部の4箇所に固定して塗布.

 その後の毛髪の生え具合を比較した.

・アウトカム
 
 2% tofacitinib外用部位では6/16
 
 1% Ruxolitinib外用部位では5/16
 
 Clobetasol dipropionate外用では10/16
 
 Placeboでは0/16で毛髪が部分的に改善.

改善の例. 
全部位が改善を認めた症例もあり.
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