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2020年11月26日木曜日

抗GBM抗体とANCAのDouble positive

 抗GBM抗体は基底膜に対する自己抗体で, 主に糸球体基底膜と肺胞基底膜に作用し, 糸球体腎炎や肺胞出血をきたす病態.

この抗GBM抗体症候群の10-40%でANCAも陽性となることが知られている.(反対にANCA関連血管炎では抗GBM抗体が陽性となるのは5-14%)(Clin Rheumatol (2013) 32:1317–1322).

この双方が陽性となる病態をDouble positiveと呼ぶ.

Nが大きい報告からは,

ANCA陽性例954例のうち, GBM抗体陽性が5%.

 GBM抗体陽性例121例のうち, ANCA陽性は32%

 DP82%MPO-ANCA (Kidney International, Vol. 66 (2004), pp. 1535–1540 )

ヨーロッパ北部の4箇所のNephrology centers2000-2013年に診断したAAV, GBM症候群646例の解析では,

 Single positive AAV568,

 GBM症候群(単独)41,

 Double positive37.(GBM抗体陽性例の47%, AAVのうち6.1%) , DPではMPO-ANCAが7割. (Kidney International (2017) 92, 693–702)


この2つめの論文では3者の比較もあり.

経過はAAVDPは亜急性経過で, GBM抗体単独群は急性

・肺病変や腎障害の程度はDP, GBM症候群で多い/高度

・年齢分布: GBM抗体単独群は若年でも多いがDPAAVは主に高齢者.


腎予後の比較

・生命予後は3者で差はないものの腎予後はDP, GBM抗体症候群で有意に悪い.

・初期から透析が必要な例が半数近い

・抗GBM抗体症候群は再発は少ない疾患であるが, DP群はAAVと同様の再発リスクがある.


腎病理の比較

DPと抗GBM抗体症候群の比較では, 双方とも免疫蛍光法でLinear IgGの沈着が認められる.

尿細管萎縮がDPで多い.


半月形成糸球体腎炎症例においてMPO-ANCA陽性例 46, DP 10, GBM抗体症候群 13例の腎病理を比較した報告(American Journal of Kidney Diseases, Vol 46, No 2 (August), 2005: pp 253-262 )


・DP双方の所見を有する

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DPは腎予後は抗GBM症候群なみに悪くて、しかも再発はAAV並みにあると、

嫌なトコ取りな感じ