抗GBM抗体は基底膜に対する自己抗体で, 主に糸球体基底膜と肺胞基底膜に作用し, 糸球体腎炎や肺胞出血をきたす病態.
この抗GBM抗体症候群の10-40%でANCAも陽性となることが知られている.(反対にANCA関連血管炎では抗GBM抗体が陽性となるのは5-14%)(Clin Rheumatol (2013) 32:1317–1322).
この双方が陽性となる病態をDouble positiveと呼ぶ.
Nが大きい報告からは,
・ANCA陽性例954例のうち, 抗GBM抗体陽性が5%.
抗GBM抗体陽性例121例のうち, ANCA陽性は32%
DPの82%がMPO-ANCA (Kidney International, Vol. 66 (2004), pp. 1535–1540 )
・ヨーロッパ北部の4箇所のNephrology centersで2000-2013年に診断したAAV, 抗GBM症候群646例の解析では,
Single positive AAVが568例,
抗GBM症候群(単独)が41例,
Double positiveが37例.(抗GBM抗体陽性例の47%, AAVのうち6.1%) , DPではMPO-ANCAが7割. (Kidney International (2017) 92, 693–702)
この2つめの論文では3者の比較もあり.
・経過はAAVとDPは亜急性経過で, 抗GBM抗体単独群は急性
・肺病変や腎障害の程度はDP, 抗GBM症候群で多い/高度
・年齢分布: 抗GBM抗体単独群は若年でも多いが, DPやAAVは主に高齢者.
腎予後の比較
・生命予後は3者で差はないものの, 腎予後はDP, 抗GBM抗体症候群で有意に悪い.
・初期から透析が必要な例が半数近い
・抗GBM抗体症候群は再発は少ない疾患であるが, DP群はAAVと同様の再発リスクがある.
腎病理の比較
DPと抗GBM抗体症候群の比較では, 双方とも免疫蛍光法でLinear IgGの沈着が認められる.
尿細管萎縮がDPで多い.
半月形成糸球体腎炎症例において, MPO-ANCA陽性例 46例, DP 10例, 抗GBM抗体症候群 13例の腎病理を比較した報告(American Journal of Kidney Diseases, Vol 46, No 2 (August), 2005: pp 253-262 )
・DPは双方の所見を有する
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DPは腎予後は抗GBM症候群なみに悪くて、しかも再発はAAV並みにあると、
嫌なトコ取りな感じ