ちょうど良いReviewがでましたので要点をまとめ:
Ann Rheum Dis. 2020 Dec;79(12):1532-1543.
Infectious complications of rheumatoid arthritis and psoriatic arthritis during targeted and biological therapies: a viewpoint in 2020
・重大な感染症に罹患した場合, TNF阻害薬は一時的に中止すべき. 感染症が治癒し, 安定すれば再開を考慮する
・TNF阻害薬開始前に潜在性結核の評価を行う. また活動性結核を除外し, リスク因子も評価すべき. 潜在性結核と判断された場合, 抗結核薬による治療を行う.
・TNF阻害薬はHBVの排除や再活性化に影響する. TNF阻害薬開始前にHBs抗原, HBc抗体による評価を行うべきである
・TNF阻害薬使用者において, 細菌感染や真菌感染症予防はルーチンに行う必要はない. 年齢に応じたワクチン(肺炎球菌), インフルエンザ, 他のワクチンは推奨される.
一部の生ワクチン(VZV, MMR)はTNF阻害薬使用患者への投与は避けるべきかもしれない.
TNF阻害薬以外の生物学的製剤における感染症リスク
TNF阻害薬以外の生物学的製剤による感染症: 要点
・IL-6阻害薬もTNF阻害薬と同程度, 感染症全体のリスクを上昇させる. また, CRPを抑制することで感染症に気づきにくくさせる可能性がある.
・IL-6阻害薬における潜在性結核における再活性化のリスクはTNF阻害薬よりも低い可能性が高いが, それでも使用前に評価, 抗結核薬の使用は推奨される.
・IL-17阻害薬は投与量依存性に皮膚粘膜カンジダ症(口腔や陰部)リスクを上昇させる. 軽症~中等症がほとんど.
・JAK阻害薬は帯状疱疹(多分節, 播種性含む)のリスクを上昇させる. 特に65歳以上, ステロイド併用者ではリスクは高い. アシクロビル/バラシクロビルによる予防投与はリスクが高い患者群で考慮する
・RTX投与による低γグロブリン血症では, 莢膜を有する細菌感染のリスクを上昇させる可能性がある. 年齢に応じた肺炎球菌, H. Influenza B, インフルエンザに対するワクチン接種を行うべきである
・RTXはHBVの再活性化リスクとなりえる. 使用前にHBVのスクリーニングを行うべきである. HBsAg陽性例では, RTX終了後12-18ヶ月間は予防投与を行うべき. また予防投与終了後12ヶ月間はHBVの再活性化のフォローを行う(HBV-RNA). HBsAg陰性, HBc抗体陽性例でも予防投与を行う.
生物学的製剤使用者におけるワクチンの推奨
生ワクチン接種時における免疫抑制治療のWaiting period