(Neurology. 2020 Jul 7;95(1):e70-e78.)
皮膚筋炎様の皮膚障害, 筋炎, 関節炎, ILD症例で抗MDA5抗体が陽性, 且つ他に考えられる原因が認めない患者群において, 臨床的なPhenotypeを評価.
また, 抗MDA5抗体陰性例とも比較.
・上記を満たす抗MDA5抗体陽性例 121例
・主に女性例が多く, 年齢は49歳[34-58].
・DM様皮疹は71.2%, ILD 76.5%, 関節炎69%と高頻度であり, 筋炎は1/3のみであった.
・また2名で心筋炎を合併し, 重度の心不全が認められた.
このうち83例よりPhenotypeに分類することが可能であった.
Phenotypeは3つに分類
Cluster 1: 18.1% 重度の肺障害が主(RP-ILD cluster)
・全例でILDを合併し, このうち1例を除きRP-ILDであった(93.3%)
・86.7%がICU管理となり, 早期死亡率は80%と高い
・Mechanic’s handを73.3%が認められる.
・主に女性例(73.3%)
Cluster 2: 55.4% 皮膚, 関節症状が主(Rheumatoid cluster)
・皮膚所見の頻度が他と比較して低い(82.6%)
・また, 手指壊死(4.35%), Raynaud現象(10.9%)の頻度も低い
・関節炎や関節痛を認める頻度が高い(82.6%)
・筋炎症状やRP-ILDは少ない.
・主に女性例(82.6%)
Cluster 3: 26.5% 血管障害が主(Vasculopathic cluster)
・古典的なDM様皮疹に加えて, 皮膚血管障害が主となる
(Raynaud現象 81.8%, 皮膚潰瘍 77.3%, 手指壊死 31.8%, Calcinosis 22.7%)
・筋炎所見も多い(近位筋筋力低下 68.2%, CK上昇 63.6%)
RP-ILDも22.7%とありえる
主に男性例(72.7%)
各Clusterの予後
・最も予後不良なのはCluster 1. 次いでCluster 2
最も予後が良いのはCluster 3となる.
・(B) 完結な予後予測モデル
抗MDA5抗体陽性例と陰性例の比較
・MDA5陽性例では, 人種はAfricanが多い
・所見では, DM様皮疹, Mechanic’s hand, 皮膚潰瘍, Calcinosisが多く,筋炎所見は少ない.
・関節症状はMDA5陽性例の方が多いが双方とも半数前後は認めている.
・ILDはMDA5陽性例で多く, 予後も悪い
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こういう報告はその疾患の全体像, イメージを掴むのに助かります.
ILDで出会いたくないトップクラスのMDA5抗体ですが,
Phenotypeは大きく, RP-ILD, 関節症状メイン, 男性例の血管/筋症状 に分けられる
こういうパターンをみたら, MDA5も想起するという考えもできます.