COVID-19は小児では軽症であり, 予後は良いが, 感染後の川崎病の報告が増加している. = Kawa-COVID-19
Kawa-COVID-19 16例の報告.
(Ann Rheum Dis 2020;79:999–1006.)
・発症年齢は10歳[4.7-12.5]
・消化管症状や心疾患の合併が多い
Kawa-COVID-19と一般的な川崎病との比較
・Kawa-COVID-19では一般的な川崎病よりも年齢が高く,
血小板やリンパ球は低値
・さらに心筋炎や心外膜炎を合併する頻度が高い
・IVIGへの治療抵抗性も認められる
(2020/7/22追記)
(JAMA. 2020;324(3):259-269. doi:10.1001/jama.2020.10369 )
SARS-CoV-2感染症に関連するInflammatory Multisystem Syndromeという概念: PIMS-TS
・このPIMS-TSにKawa-COVID-19も含まれる.
・PIMS-TSの基準
PIMS-TSを満たす58例の報告
・年齢中央値は9歳[5.7-14]
・川崎病と判断されるのは13例, 基準を満たすのは7例.
・SARS-CoV-2の感染が証明されたのは45例
・臨床症状は腹痛や下痢といった消化管症状, 皮疹, Shockが半数で認められる.
・治療はステロイド, IVIGが多く行われる.
・最終的に冠動脈瘤を認めるのが8例(14%)
PIMS-TSと他の小児のInflammatory Multisystem Syndrome(川崎病, KD shock disease, Toxic shock syndrome)を比較
・年齢はPIMS-TSで最も高い. 10歳前後が中央値となる
・血液検査ではPIMS-TSではリンパ球が低値となりやすい
・またフェリチンの上昇が認められる
・TropやD-dimerも高値となる
(さらに2020/7/23追記)
NEJMより(N Engl J Med. 2020 Jun 29;NEJMoa2021680. doi: 10.1056/NEJMoa2021680.)
COVID-19に関連する小児のMultisystem Inflammatory Syndromeを評価したSurveillance
・以下の6項目を満たす患者を抽出した
21歳以下,
入院が必要な病態,
24h以上の発熱
Labで炎症所見がある,
多臓器の炎症所見,
SARS-CoV2の感染が認められる(PCR, 抗体, 暴露歴)
・上記を満たす患者は186名
年齢中央値は8.3歳[3.3-12.5]
・臓器障害は消化管が92%, 心臓が80%, 血液76%
皮膚粘膜が74%, 呼吸が70%
冠動脈瘤は8%で認められた.
・川崎病様の病態は40%で認められた:
5日以上の発熱と川崎病の特徴 ≥4/5項目を満たすか,
2-3/5項目 + Lab, 心エコーで川崎病を示唆する所見を認める
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COVID-19感染に関連して, 小児で多臓器にわたる炎症性障害が生じる. Kawa-COVID-19もその一部症と考えられる.
一般的な川崎病や, TSSと比較して年齢は高く, 10歳前後が中央値となる.
また, 心筋障害のリスクも高いと考えられる.