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2019年8月23日金曜日

薬剤の甲状腺機能異常への関連

(N Engl J Med 2019;381:749-61.)より薬剤の甲状腺機能への関連のReview

甲状腺機能に対する影響の機序と原因薬剤のまとめ
視床下部-下垂体レベルでの障害:
·レチノイドベキサロテン(タルグレチン)40-70%TSH抑制を呈する. 中止で数週間かけて改善.
·ミトタンも中枢性甲状腺機能低下症となる
免疫チェックポイント阻害薬では下垂体機能不全, 破壊性甲状腺炎
·他, ステロイド, ドパミンアゴニスト, ソマトスタチンアナログ, メトフォルミンで報告があるが, どれも軽度であり, Subclinical域であることが多い.

補足: メトフォルミンとTSHを評価したMeta
・7つのDatabase, N=206例における評価ではメトフォルミン開始後, 有意にTSHは低下する. ただし顕著ではない
A: L-T4使用中患者(甲状腺機能低下症),
B: 未使用(Subclinical患者)
(J Clin Endocrinol Metab 99: E143–E148, 2014)

甲状腺ホルモン産生, 分泌の障害
·過剰なヨウ素の摂取では甲状腺ホルモン産生が低下(Wolff-Chaikoff効果). 造影剤やアミオダロン, 消毒用ヨウ素の使用, 海藻
·リチウムは甲状腺ホルモンの分泌を抑制する

甲状腺自己免疫の賦活化
·免疫チェックポイント阻害薬. CTLA-4阻害薬使用例の5-10%, PD-1阻害薬使用例の10-20%で甲状腺に対する自己抗体が認められる. 無痛性甲状腺炎を呈することが多い.
·IL-2INF-α
·Alemtuzumab(Cell-surface antigen CD52に対するヒト化モノクローナル抗体). MSで使用されるが, 使用例の41.1%で甲状腺異常(うち71.6%がバセドウ病)

甲状腺への直接的な障害
·アミオダロン
·tyrosine kinase, multikinase阻害薬. 報告が多いのは腎細胞癌や消化管間質性腫瘍に対するSunitinib, 使用患者の14-25%で甲状腺異常を認める.

甲状腺ホルモン結合グロブリンに影響する薬剤
·結合グロブリンが増加する薬剤
 経口エストロゲン, Selective estrogen-Receptor modulators
 メサゾン, ヘロイン
 ミトタン, フルオロウラシル
·結合グロブリンが減少する薬剤
 アンドロゲン, 糖質コルチコイド, ナイアシン
·結合グロブリンから甲状腺ホルモン遊離を促進させる薬剤
 フェニトイン, カルバマゼピン, Salsalate(NSAID), 高用量フロセミド, ヘパリン
·問題となりやすいのは, チラーヂン使用中の患者におけるエストロゲン使用で, チラーヂンの必要量が増加することがある.

甲状腺ホルモン作用, 代謝, 排泄の影響
·T4からT3への変換を阻害する薬剤
 アミオダロン, デキサメサゾン(他のステロイドも), 高用量プロプラノロール, 胆道造影剤(ipodate, iopanoic acid), プロピオウラシル
·グルクロン酸抱合を誘発する薬剤では, レボチロキシンの必要量が増加する可能性がある.
 フェノバルビタール, フェニトイン, カルバマゼピン, リファンピン
·Tyrosine kinase阻害薬では, 甲状腺ホルモンの代謝に影響する可能性がある. Sorafenibではレボチロキシンの不活化を促進させる可能性が示唆.
·胆汁酸抑制薬(コレスチラミン, コレスチポール,コレセベラム)は甲状腺ホルモンの腸管循環を阻害し, 濃度を低下させる.

甲状腺ホルモンの吸収を阻害
·レボチロキシンは内服後2-4h60-80%が吸収される. 小腸で吸収される前に, 酸性環境で錠剤分解されることが必要.
 PPIの常用は吸収阻害の一因となる
·腸管の吸収を阻害するものに硫化鉄(ferrous sulfate), 炭酸Ca, 水酸化アルミニウムスクラルファート, 胆汁酸抑制薬, ラロキシフェン
 これら薬剤を使用している場合は, レボチロキシン内服後4h以上空けるか, レボチロキシンを寝前内服に移動させるかする
·牛乳やコーヒーも阻害するため, 空腹時の内服を推奨.

補足: 甲状腺機能検査に影響を与える薬剤
・使用頻度から, 注意が必要なものとしてはアミオダロン, カルバマゼピンやフェニトイン

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