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2017年9月8日金曜日

COPD カテゴリーAでもLAMAを考慮すべき?

COPDは呼吸機能検査によるGOLD分類と, 急性増悪頻度, 自覚症状からA-Dのカテゴリーに分類される.

それぞれのカテゴリーでの治療推奨
Group
1st choice
2nd choice
追加治療
A
短期作用型 抗コリン吸入
もしくは
短期作用型 β2刺激薬吸入
長期作用型 抗コリン吸入
もしくは
長期作用型 β2刺激薬吸入
もしくは
短期作用 抗コリン + β2
テオフィリン
B
長期作用型 抗コリン吸入
もしくは
長期作用型 β2刺激薬吸入
長期作用型 抗コリン吸入

長期作用型 β2刺激薬吸入
短期作用型 抗コリン吸入
もしくは/
短期作用型 β2刺激薬吸入
C
ICS+長期作用型β2
もしくは
長期作用型抗コリン薬
長期作用型 抗コリン吸入

長期作用型 β2刺激薬吸入
PDE-4阻害薬
短期作用型 抗コリン吸入
もしくは/
短期作用型 β2刺激薬吸入
テオフィリン
D
ICS+長期作用型β2
もしくは
長期作用型抗コリン薬
ICS+長期作用型抗コリン
ICS+
長期作用型β2+抗コリン
ICS+
長期作用型β2+PDE-4阻害薬
長期作用型抗コリン+長期作用型β2
長期作用型抗コリン+PDE-4阻害薬
カルボシステイン
短期作用型 抗コリン吸入
もしくは/
短期作用型 β2刺激薬吸入
テオフィリン

これでは, カテゴリーAではSABA, SAMAの吸入が第一選択となる.

中国において, Community screeningGOLD 1-2を満たす(FEV1/FVC <0.7, FEV1 50-80%)患者群を対象としRCT.
(N Engl J Med 2017;377:923-35.)
・患者は40-85歳でGOLD stage 1-2(気管支拡張薬吸入後20分での評価), 且つ呼吸器症状があり, COPDリスク因子(喫煙, 大気汚染, バイオマス)を有する群を対象.
過去4wk以内の急性増悪症例やLarge-airwayの疾患, 喘息, 重症全身疾患症例は除外.

上記を満たす患者群をTiotropium 18µg吸入群 vs Placebo群に割付け24ヶ月継続.
・呼吸機能検査所見を比較.

母集団データ


・CAT<107割強, mMRC<29割弱.
カテゴリーではAが多く, 本来LAMAの適応とはなりにくい群を対象としていると言える.

アウトカム

・FEV1, 急性増悪頻度は有意にTiotropium吸入群で改善する結果

CAT<10の群でも有意なFEV1維持効果がある

急性増悪の頻度, 入院リスク
・急性増悪予防効果は年間 NNT 435
・入院期間も年間 半日程度減らす

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SABAやSAMAで様子を見ることも多かったカテゴリーAのCOPDでも, LAMAを開始した方が呼吸機能の維持には有効という結果.

急性増悪も予防するが, NNTは435と実感できない程度.

症状も軽い場合, 患者の吸入に対するアドヒアランスの問題もありそう.
長期的な自覚症状の変化や肺機能予後も知りたいところだけども, その結果がでるのはまだまだ時間がかかるだろう.

さてどうすべきか.