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2016年2月18日木曜日

無症候性の頸動脈狭窄患者へのステント術 vs 内膜切除術の比較

Randomized Trial of Stent versus Surgery for Asymptomatic Carotid Stenosis. NEJM 2016
ACT I trial: 無症候性の頸動脈狭窄(70-99%)の患者群に対する内膜切除術 vs ステント術を比較したRCT.
・患者は≤79歳で70-99%の頸動脈狭窄がある患者.
 180日以内の同側のTIA, 脳梗塞, 一過性黒内障を認めない群.
・全例でアスピリン 325mg/日を使用し, ステント群では術前3日〜術後30日までクロピドグレルを併用
・ステント群では, 術中に遠位部の塞栓を予防するためにEmboshield, Emboshiedl Proなどのデバイスを併用した.

・患者は1453例, ステント群が1089例, 内膜切除群が364(3:1で割り付け)
 当初の予定では1658例を予定していたが, 症例が集まらずに1453例の導入となった.

患者群

アウトカム
30日間の塞栓症, 死亡リスクは有意差なし

・30日後〜5年間の同側Stroke-Free rateも有意差なし(97.8% vs 97.3%)
・生存率も有意差なし(87.1% vs 89.4%)
・全Strokeリスクも有意差なし(93.1% vs 94.7%)

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症候性の頸動脈狭窄患者を対象とした, ステント術と内膜切除術を比較したRCTは多くでており, その結果では, 短期的(術後30日間)のステント群におけるStrokeリスクが上昇する結果であった.

2010年のメタアナリシス
Outcome
内膜切除
ステント
OR
30d死亡, Stroke
5.4%[4.0-7.0]
7.3%[4.9-10.1]
0.67[0.47-0.95]
30d Stroke
4.2%[2.7-6.1]
5.7%[3.0-9.2]
0.65[0.43-1.00]
30d 死亡
1.4%[0.08-2.1]
1.2%[0.7-1.8]
1.14[0.56-2.31]
30d MI
2.6%[0.4-6.3]
0.9%[0.05-2.9]
2.69[1.06-6.79]
30d 顔面N麻痺
7.5%[5.8-9.4]
0.45%[0.01-1.0]
10.25[4.02-26.13]
(BMJ 2010;340:c467)

長期的にみても, この差を保ったまま, ステント群でStrokeリスクが高いという結果が, 多くのRCTから出ている: ICSS trial(Lancet 2015; 385: 529–38), CREST trial(N Engl J Med 2010;363:11-23.), EVA-3S trial(Lancet Neurol 2008;7:885-92)

今回, 短期的にも長期的にも両者でリスクは同等との結果.
術中の血栓症予防デバイスが効果的であったか、無症候性の患者を対象としたことが影響しているかは分からない.
CREST trialにおいて, 無症候性患者群のみを評価した報告では, 両者でアウトカムは同等であったというのもある(JAMA. 2013;310(15):1612-1618 ).

無症候性の頸動脈狭窄患者で, 手術治療を考慮するならばステントが第一選択で良いかもしれない.
欲をいえば, ステント vs 内膜切除 vs 内科的治療のみ で比較したらどうなったのだろうか?

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