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2016年2月26日金曜日

パーキンソン病と消化器症状, 腹痛

PDでは消化管症状も高頻度で認められる
・特に多いのが便秘であり, >50%で報告される
 身体活動の低下や抗パーキンソン病薬, 自律神経障害などが関連
・嚥下障害も30-50%で認められ, 様々な要因が関連する

43例のPD患者において, 消化管症状の頻度を評価
・平均年齢は72.2歳. 範囲は53-87歳
・PD診断〜の期間は6.3年[0.5-16]
・H&Y stage 2が56%, stage 2.5が12%, stage 3が18%, stage 4が14%
消化管症状の頻度
症状
頻度
嚥下障害
54%
悪心/嘔吐
21%
胸やけ
26%
便秘
76%
腹痛
13%
(J Clin Gastroenterol 1994;19(1):11-16)

初診時に腹痛を訴えた患者は6例(13%)
・その6例は内視鏡にて十二指腸潰瘍, 胃炎所見が認められる例, PBCを併発している例, 便秘を合併している例, 膀胱のスパスムがある例など.
・十二指腸潰瘍が治癒したあとも腹痛を訴える患者もおり, それらは最終的に腹直筋のスパスム, 収縮痛と判断された.
(J Clin Gastroenterol 1994;19(1):11-16)

PDでは腹直筋の筋収縮に伴う腹痛が出現する例がある
・国内からの2例の症例報告
 PDで腹痛を伴い, 疼痛時に腹直筋の緊張が認められる症例.
・疼痛は座位や歩行で増悪. 臥位で軽快する
・腹痛(-)群と比較すると, 腹直筋の肥大が認められていた.
・また腹直筋の肥厚や収縮は前屈姿勢を誘発していた.
2例の腹痛の性状
症状

初期から前傾姿勢や筋攣縮あり
1例のみあり
腹痛の部位
腹直筋の下部の疼痛. しばしば上腹部
疼痛の性状
強く引っ張られるような感覚
頻度
毎日
腹直筋の収縮
伴う
痛みの前に前屈姿勢となる
2/2
背部痛を伴う
0/2
臥位で腹痛は軽快
2/2
座位で腹痛は増悪
2/2
歩行で腹痛は増悪
2/2
(Journal of Clinical Neuroscience 19 (2012) 624–627)

PDでは自律神経障害による便秘やGastroparesisも生じる
Gastroparesisの詳細は別項参照(Gastroparesis)
 ① 20例の新規診断されたPDで未治療の群,
 ② 40例の進行PD(H&Y 3-4)で治療中の群
 ③ 20例の健常人Controlで胃内容物が半量となる時間を比較すると,
 ①では122分, ②では125分, ③では86分と有意に①, ②で延長. 
(J Neurol 2011;258: 421. )
・軽症PD(H&Y 1-2), 中等症(H&Y 2.5-3.0), 健常人で胃内容排泄時間(T1/2)を評価した報告では, 63分 vs 55分 vs 43分.
 PD患者では12-120分と幅があるのに対して, Controlでは29-61分であった
 L-dopaの有無では排出時間は変わらず
 排出時間と消化管症状に相関性は認められず.
(Mov Disord 2001;16:1041. )

PDにおける胃排出時間を評価した研究のまとめ
PD患者のT1/2は60-150分
・Controlでは40-110分程度.
・PDではT1/2は延長する. 軽症と中等症以上ではそこまで大きな差はない
(Parkinsonism and Related Disorders 18 (2012) 433)

PDにおけるGastroparesisでは, 経口投与した薬剤の吸収率や速度が変動するため, コントロールが困難となる可能性がある.
Delayed-on, wearing-off, on-off, no-on のリスクとなる
・胃液にはdopa-decarboxylaseがふくまれているため, L-dopaが胃内に長時間停滞すると, 分解され, dopamineとなる. dopamineは吸収されてもBBBを通過しない可能性がある.
・投薬への反応不良例や, 効果の変動, 症状の変動が強い患者ではGastroparesisの影響も鑑別に入れるべきである.
(Parkinsonism and Related Disorders 18 (2012) 433)

PD + Gastroparesisの対応
・ドンペリドン(ナウゼリン®): ドパミンD2受容体阻害薬.
 PDに対するL-dopaやドパミン作動薬が消化管症状や胃排出遅延を増悪させていることもあり, D2受容体阻害薬は有用かも.
 BBBの通過は無いため, 薬剤性錐体外路症状増悪のリスクも少ない
・モサプリド(ガスモチン®): セロトニン 5-HT4受容体阻害作用
 胃排出時間の短縮効果が期待でき, またL-dopaへの反応の変動の抑制効果がある.
(Parkinsonism and Related Disorders 18 (2012) 433)

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