2000-2010年に造影CT, 単純CTを施行した患者群で, Propensity score-matched analysisを施行. (Radiology. 2014 Apr;271(1):65-73.)
 eGFR <30, 30−59, 60−89, ≥90に分けて, 合計12508例を比較した.
eGFRとAKIリスク
 eGFRが低いほど, CT後のAKIのリスクは上昇するが, 造影CT群, 非造影CT群でAKIの頻度は変わらない. 
同Cohortの患者群において, 造影CT群, 単純CT群で透析, 死亡リスクを比較.(Radiology 2014;273:714-725)
 どの群でもAKI, 死亡, 透析リスクは有意差なし.
 また、AKIとなった患者で造影CT群、単純CT群を比較しても、予後には有意差は認められなかった。
慢性腎不全患者で造影CT, 単純CTを施行した患者群を対象としたRetrospective study.
 CKD stage III (eGFR 30-59)群とCKD stage IV−V (eGFR <30)群それぞれにおいて, 造影CT施行群 vs 単純CT施行群をpropensity-matched analysisで比較 (Mayo Clin Proc. 2015;90(8):1046-1053 )
 CKD III群では各1220例を抽出し, 比較
CKD IV−V群では各 491例を抽出し, 比較
CKD IV−V群では各 491例を抽出し, 比較
CKD stage別のAKI合併率, 30日後に透析移行率, 死亡リスク
| アウトカム | 母集団 | 造影群 | 非造影群 | OR | 
| AKI発症率 | CKD III | 10% | 15% | 0.65[0.41-0.89] | 
|  | CKD IV−V | 21% | 20% | 1.14[0.78-1.50] | 
| 30日透析率 | CKD III | 0.4% | 0.4% | 1.00[0.24-2.24] | 
|  | CKD IV−V | 1.7% | 0.7% | 2.33[0.98-3.68] | 
| 30日死亡率 | CKD III | 8.9% | 11% | 0.77[0.50-1.04] | 
|  | CKD IV−V | 18% | 19% | 0.93[0.57-1.29] | 
CKD IV−V(eGFR <30)でも造影剤使用はAKIや透析、死亡リスクにはならない結果
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慢性腎不全患者への造影CTの判断には毎回迷う。
救急患者ですぐに造影CTをしたいけれども、Cr値の結果を待たないといけない、とか、Cr値が分からない限りは検査を受け付けてくれない、ということは多い。
ただ、これらの結果をみれば、緊急ならば造影を優先しても良さそうである。
解離や、出血を疑う場合はやはり腎機能を待たずにGO!という判断もあり。
それでも腎不全患者では造影しようが、しまいがAKIリスクは高いため、
AKIになった場合、それが造影のせいだ、この馬鹿たれが!と非難される可能性はあるのが、、、怖い。
病状説明が重要と、病院でのコンセンサスの作成が重要となりそうです。
あとは後ろ向きスタディという点。これはなかなかProspectiveではやりにくいですね。


