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2015年8月15日土曜日

異所性子宮内膜症 (肝臓、横隔膜、胸郭)

子宮内膜症は子宮, 卵管, 卵巣, 骨盤内に多く, 閉経前女性の10%, 閉経後女性の2.5%で認められる.
稀ながら腹膜, 大網, 消化管, 手術痕, リンパ節, 臍部, 皮膚, 肺, 胸膜, 膀胱, 腎臓, 膵臓なども報告例がある.
その中で肝臓の子宮内膜症は最も報告数が少ないタイプ.

肝臓/肝周囲 異所性子宮内膜症
肝臓内/肝臓周囲に子宮内膜症が認められる病態.
(European Journal of Medical Research (2015) 20:48)

肝臓内子宮内膜症は2015年までに22例の報告のみ。
 肝臓内に嚢胞性病変を呈する。
 月経周期に合わせて上腹部痛や悪心嘔吐など呈する例が多い。

肝臓内子宮内膜症の画像所見
(European Journal of Medical Research (2015) 20:48)(HPB Surgery Volume 2009, Article ID 407206 )

22例のまとめでは, 発症年齢は20-60歳台と幅広い。
左葉が9/22、右葉が10/22、両側性が3/22とほぼ両側均等に生じる.
子宮内膜症の既往がない症例や、嚢胞切除し初めて診断される例も多い.


肝臓周囲子宮内膜症はさらに稀であり, 2005年の時点で3例のみの報告例
肝臓周囲子宮内膜症の画像所見
病変はほぼ右側で多い.
これは後述する横隔膜異所性内膜症や胸腔内異所性内膜症のように、腹腔内の腹水還流の向きが関連している可能性がある。
一方で左右均等である肝臓内異所性内膜症は血流散布、リンパ流散布による機序が推定される。

横隔膜異所性内膜症
横隔膜に子宮内膜症組織を認める病態。
47例の症例Reviewでは、右側が66%、左側が6%、両側性が27%と右側優位で認める。
これは、腹水の還流が時計回りであることから、腹腔内播種の機序で説明される。
(Human Reproduction Vol.22, No.9 pp. 2359–2367, 2007)

胸腔内異所性内膜症
胸腔内組織に内膜症組織が浸潤する病態。
 胸痛や気胸、喀血、血胸の原因となる。
110例の症例Reviewでは(Am J Med 1996;100:164-170)
 発症年齢は35±0.6歳. 範囲は15-54歳.
 骨盤内子宮内膜症は24-29歳で多く
 胸腔内子宮内膜症は30-34歳で多い.
臨床症状は胸痛、気胸が最も多い
症状



胸痛
90%
気胸
73%
呼吸苦
31%
血胸
14%


喀血
7%


結節
6%
また、月経開始後24−48時間で症状が出現する例が90%であった。

気胸などの病変は右側で有意に多い

このStudyと同じグループが, 2001−2007年に発表された胸腔内異所性内膜症 110例を再度Review。(Medicine 2010;89: 183-188)
年齢は34±7.6歳
所見は
所見
頻度
気胸
72%
血胸
12%
喀血
14%
結節
2%
また、以前報告と同様、病変は右側有意

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骨盤外の異所性子宮内膜症の部位としては胸腔や横隔膜、腹膜が多く、肝臓は少ない。
横隔膜や胸腔は右側で有意に多い一方、肝臓内は左右同等。肝臓周囲では右で多い。

以上から、横隔膜や胸腔の異所性内膜症は腹腔内、横隔膜を介して胸腔に飛んでいる可能性があるか。
また、肝臓内は血流散布による機序か、と疑いたくなる。

じゃあなんで腹腔内散布っぽい、肝周囲内膜症の頻度は少ないのだろうか?

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