PSCは基本的に治療薬は乏しく、対症療法が基本。肝硬変となるリスクが高い
IgG4関連胆管炎ではステロイドが著効する。他のIgG4関連疾患との合併も多い。
PSC患者ではIgG4値を測定し、疑わしければ組織検査を行い両者を鑑別するのであるが、IgG4関連疾患におけるIgG4カットオフ(>140mg/dL)をしばしば超えるPSCもあるため、両者の鑑別が困難となることがある。
HEPATOLOGY 2014;59:1954-1963
IgG4関連胆管炎 73例, PSC 310例, PBC 22例(コントロール群)でIgG4を評価したStudyより
IgG4>140mg/dLとなるのはPSCの15%, IgG4胆管炎の90%
>560mg/dLでは特異度100%となるが, 感度も42%のみとなる。
IgG4/他のサブクラス 比が両者の鑑別に有用な可能性があり,
特にIgG4/IgG1比は両者の鑑別に有用かもしれない.
IgG4>140mg/dLの患者群において, IgG4/IgG1 >0.24は感度92%[82-97], 特異度 64%[49-78]でIgG4関連胆管炎を示唆する
ただし, IgG4>280mg/dL群ではIgG4/IgG1比は診断に寄与しない
IgG4 140−280mg/dL群では感度80%[51-95], 特異度 74%[57-86]でIgG4関連疾患を示唆.
IgG4 140−280mg/dL群では感度80%[51-95], 特異度 74%[57-86]でIgG4関連疾患を示唆.
これを踏まえてアルゴリズムを作成
IgG4値≥560mg/dLならばIgG4関連胆管炎と診断
IgG4<140では除外(IgG4関連胆管炎の可能性は3%)
IgG4 140−280ではIgG4/IgG1比を評価し, 比<0.24ならば検査後確率は10%、PSCと判断
比>0.24ならば検査後確率は55%. 組織検査を行う.
IgG4 280−560では検査後確率 74%, 比は使用できないため、組織検査を行う.
このアルゴリズムで感度86%、特異度 95%でPSCとIgG4関連胆管炎の判別が可能としている.
今後の追試次第ですが、他にいろいろなIgG4関連疾患の診断のヒントに使用できればいいです。