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2015年4月12日日曜日

IgG4関連胆管炎 vs 原発性硬化性胆管炎

原発性硬化性胆管炎(PSC)とIgG4関連胆管炎は病態が似ているものの、ステロイドへの反応性が大きく異なるため、鑑別が重要となる。

PSCは基本的に治療薬は乏しく、対症療法が基本。肝硬変となるリスクが高い
IgG4関連胆管炎ではステロイドが著効する。他のIgG4関連疾患との合併も多い。

PSC患者ではIgG4値を測定し、疑わしければ組織検査を行い両者を鑑別するのであるが、IgG4関連疾患におけるIgG4カットオフ(>140mg/dL)をしばしば超えるPSCもあるため、両者の鑑別が困難となることがある。

HEPATOLOGY 2014;59:1954-1963 
IgG4関連胆管炎 73例, PSC 310例, PBC 22例(コントロール群)でIgG4を評価したStudyより
 IgG4>140mg/dLとなるのはPSCの15%, IgG4胆管炎の90%
 >560mg/dLでは特異度100%となるが, 感度も42%のみとなる。

IgG4/他のサブクラス 比が両者の鑑別に有用な可能性があり,
 特にIgG4/IgG1比は両者の鑑別に有用かもしれない.

IgG4>140mg/dLの患者群において, IgG4/IgG1 >0.24は感度92%[82-97], 特異度 64%[49-78]でIgG4関連胆管炎を示唆する
ただし, IgG4>280mg/dL群ではIgG4/IgG1比は診断に寄与しない
IgG4 140−280mg/dL群では感度80%[51-95], 特異度 74%[57-86]でIgG4関連疾患を示唆.

これを踏まえてアルゴリズムを作成
 IgG4値≥560mg/dLならばIgG4関連胆管炎と診断
 IgG4<140では除外(IgG4関連胆管炎の可能性は3%)
 IgG4 140−280ではIgG4/IgG1比を評価し, 比<0.24ならば検査後確率は10%、PSCと判断
  比>0.24ならば検査後確率は55%. 組織検査を行う.
 IgG4 280−560では検査後確率 74%, 比は使用できないため、組織検査を行う.

 このアルゴリズムで感度86%、特異度 95%でPSCとIgG4関連胆管炎の判別が可能としている.

 今後の追試次第ですが、他にいろいろなIgG4関連疾患の診断のヒントに使用できればいいです。