チロキシンの投与タイミングを朝食1h前, 眠前(夕食後2h), 朝食中の3つで比較したStudy
それぞれを8wkずつ行い, 血中TSH値を比較. (J Clin Endocrinol Metab 94: 3905–3912, 2009)
朝食前の内服が最もTSH値が低い. >> 吸収率が良い
食中が最も悪い. 食後2hでも吸収率は劣る結果.
甲状腺機能低下症患者で, 治療にて安定している105例を対象としたDB−RCT(クロスオーバー) Arch Intern Med 2010;170:1996-2003
朝食前30分の内服群と眠前に内服群に割り付け, TSHを比較
3ヶ月で両群を入れ替えて再度比較
3ヶ月で両群を入れ替えて再度比較
このStudyでは眠前の内服の方がよりTSHの低下が良好の結果
これらの結果より、空腹時での内服が最も吸収率が良好であると考えられます。起床時か、眠前とするかはどちらでも良いですが、その選択に際していくつか考慮せねばならない問題があります。
原発性甲状腺機能低下症では基本的にTSH値でフォローするため、内服のタイミングはいつでも良いです。早朝か、眠前かはアドヒアランスが良い方を選びましょう。
続発性甲状腺機能亢進症ではフォローはFT4、FT3の値で行います。この値は投薬のタイミングに左右されてしまいます。採血はチラーヂン内服前に行う必要があり、したがって眠前投与ですと外来フォローが行いにくい欠点があります。(J Clin Endocrinol Metab. 2012 Sep;97(9):3068-78. ) これらの点も考慮して選択しましょう。
また、カルシウム製剤、スクラルファート、水酸化アルミニウム、鉄剤、コレスチラミン、制酸剤、コーヒーと内服するとチロキシンの吸収率は低下します。(Med Clin N Am 96 (2012) 203–221)
ビタミンCとの併用では吸収はUPします。(J Clin Endocrinol Metab 99: E1031–E1034, 2014)
これも覚えておきましょう。