皮膚筋炎に対してしばしばIVIGが使用されるが, しっかりとしたRCTはなかった.
・IVIGを初期治療として2g/kg投与し, その後3wk毎に1g/kgを追加投与する方法で DM 9例, IMNM 6例, 非特異的Myositis/overlap myositis 4例, ARS抗体症候群1例を治療した報告では,
8/19が中等度以上の改善が認められた
このうち6例は3wk以内に改善 (Rheumatology 2021;60:1784–1792)
今回NEJMからRCTが発表 (N Engl J Med. 2022 Oct 6;387(14):1264-1278.)
ProDREAM: 活動性のDM患者95例を対象とし, IVIG(2g/kg, 4wk毎に16wk)群とPlaceboに割り付け比較
・Bohan, Peter基準による活動性DM患者で, GCや他の免疫抑制薬に不応/不耐であった患者を対象
・GCは1日最大量をPSL 20mgとし, 試験期間中はその量を維持
他に使用可能とした薬剤は2種類までの免疫抑制療法 (MTX, AZA, MMF, SASP, LEF, TAC, CsA, HCQ)とした.
・Bio, CY, JAK阻害薬は使用不可. また使用した患者は含まれていなかった.
・IVIGは2g/kg量を2, または5日間で投与した.
中央値2.4日間で投与しており, 大半が2日間での投与ということになる.
・16wk投与後は両群ともOpen-labelで継続. 28wk以後は安定した患者では1g/kgに減量して継続された.
・アウトカムはTIS(Total Improvement Score): 0-100点で評価され, 臨床的有意な改善は20点以上の改善で定義される.
以下のURLで計算される. VASとMMT, HAQ, 筋逸脱経酵素で評価.
https://www.niehs.nih.gov/research/resources/imacs/response_criteria/adult.html
母集団
アウトカム
・IVIG群では有意にTISの改善が良好.
open-labelでIVIGを開始した群もその後改善を認める. (4wk毎の投与. 1-2g/kg)
副作用としては, 中断が必要な副作用が6-18%
・血栓症の合併がOpen-labelでは多い. IVIG投与において, 6名の患者より8件の血栓症を発症した.
・これを受けて, 投与速度を0.12mL/kg/分から0.04mL/kg/分に引き下げる修正が行われ, 血栓症の発生率は1.54/100人月から0.54に減少を認めた.
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皮膚筋炎の治療としてIVIGは早期に病状を改善させる効果が期待できる.
イメージとしてはゆっくり改善してゆく経過が多く, 多少ヤキモキするのがDMであるが, IVIGの使用によりPSLの減量が捗るかもしれないとおもうと, 良いかもしれない.
ただ、血栓症リスクとなる点に注意. 投与速度に関連している可能性があり, IVIGは2日ではなく5日かけて投与するのが吉であろう