(Rheumatology (Oxford). 2021 Oct 2;60(10):4844-4849.)
イタリアのAOSDコホート; GIRRCSの解析. 全例がYamaguchi基準を満たし, Mimickerが除外されている.
・診断時の12の症状について評価し, それぞれを1点としてスコアを評価し, またESR, CRP, Ferritinも評価.
12の症状: 発熱, 典型的皮疹, 胸膜炎, 肺炎, 心外膜炎, 肝腫大/LFT異常, 脾腫, リンパ節腫大, WBC>15000, 咽頭痛, 筋肉痛, 腹痛
・また, 最終的な経過より単発性, 慢性, 死亡に分類(Cush基準)
その結果, AOSDは症状や経過, 検査所見から4つのClusterに分けられた
Cluster 1:
・最もFerrtinが高値(14724±6837ng/mL)でESRが最も低い(36.67±13.87)
・慢性経過となることが多く, 致命的な症例は無し.
・肺病変は認めず, 全身性スコア>7となる例は25%のみ.
・多い症状は発熱(100%), 典型的な皮疹(92%), 関節炎(83%)
・csDMARD(75%)やbDMARD(42%)で治療される例が多い
Cluster 2:
・最もCRPが高値(28.81±4.60 mg/dL)で, Ferritinは低値(2039±1314ng/mL)
・60%が慢性経過となり, 40%は単相性の経過となる
・多い症状は発熱(100%), 関節炎(100%), 肝障害(90%)
Cluster 3:
・最も全身スコアが高く(8.88±1.79), 死亡率も高い(54.2%) 最も高齢でもある(55.75±16.16歳)
・単相性の患者はいない
・発熱(100%), 筋肉痛(96%), 咽頭痛(92%), 脾腫(88%)
全身スコア>7を満たすのは88%と多い.
MASは54%, 肺疾患は42%で認められる.
Cluster 4:
・最も多い群であり, Ferritinは1457±1298ng/mL, CRPは5.50±4.87mg/dLと低い.
平均年齢は44.08±15.02歳.
・慢性経過が55.8%. 死亡率は9.5%
・発熱(100%), 関節炎(90%)
まとめると, 発熱, 関節炎, 皮疹はどれも高頻度
Cluster 1はフェリチンが高値で , 炎症はそこまで高くはなく, 慢性経過だが致命的では無い.
全身スコア>7となる例もすくない
>> フェリチンが高値なのが目立つが, 炎症や臓器障害はあまり強く無いタイプ. 慢性経過となりやすい.
Cluster 2は肝障害が多く, CRPも高値. 慢性経過と単相性が混在
全身スコア>7となる例は半数以上あり
>> CRPが高く, 多臓器障害も多い. 単相性のこともある.
Cluster 3は咽頭痛, 他多臓器障害, MASが顕著で致命率が高い. 全例が慢性経過となる
全身スコア>7となる例が9割近く. 多臓器障害を呈する.
>> 予後が悪いタイプ. 多臓器障害の多く, MASや肺病変も多く要注意.
Cluster 4はCRP, Ferritinは低め. 慢性経過と単相性が混在.
全身スコア>7はCluster 1と同様, 少ない.
>> 多臓器障害は少なく, フェリチンやCRPもさほど派手ではない. 単相性もあり.