黄色ブドウ球菌菌血症(SAB)におけるPET/CTの意義を評価したProspectiveのCase-control study.
(Clinical Infectious Diseases® 2021;73(11):e3859–66)
私個人としては, SABにおいて, 感染のFocusがどこなのか, それが臨床判断とどの程度解離しているのかが気になり, 読んでみることにした.
成人のSAB症例を対象とした前向きCohort.
・SAB診断の7-14日後にFDG-PET/CTを評価した症例(2015-2019年)をIntervention groupとし,
FDG-PET/CTが行われなかったSAB症例(2015-2018年)をControl groupとした.
・PET/CT検査を施行するかどうかはは臨床医の判断により行われた.
・Control groupは, 以下の条件をMatchさせている;
1) SAB診断〜Intervention群におけるFGD-PET/CT撮影までの期間, 生存していた患者
2) MSSA, MRSAによる菌血症
3) インフォームドコンセントが得られている
4) Charlson’s comorbidityスコア(±3まで許容されるが, best matchを選択)
5) 年齢(±10歳までは許容されるが, best matchを選択)
第7病日まで生存していたSAB症例が531例.
・このうちPET/CTが施行されたのが149例(151エピソード)
Control群として150例(151エピソード)を選択し, PET/CTによる予後への影響を評価.
両群の母集団
PET/CTによる診断への影響
・感染のFocusで最も多かった部位が骨関節.
臨床上疑われたのが37例, PET/CTで否定されたのが10例, 新たに診断されたのが31例
・多くが臨床判断とPET/CTの集積に解離がある.
90日死亡に関連する因子.
・年齢や合併症, 院内感染 治療開始後3日を超えての発熱や菌血症は 有意に死亡リスクを上昇させる因子
・PET/CTの施行は死亡リスクの低下に関連
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SABにおいて, 臨床判断の感染Focusのおよそ1/3~1/2, または半分以上がPET/CTで評価すると他のFocusであった.
皮膚軟部組織, 心内膜炎は高く見積もりがち: IEは心配だし, SAは軟部組織からが多いしそれはしかたない.
一方で, 肺や骨関節, 筋, 血管(心臓以外)は低く見積がちな傾向がある.