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2021年12月7日火曜日

帯状疱疹ワクチンによるギランバレー症候群のリスク

 (JAMA Intern Med. 2021;181(12):1623-1630. doi:10.1001/jamainternmed.2021.6227)

VZVワクチンによるGBSリスク

・65歳以上でRecombinant VZVワクチン(RZV, シングリックス)を接種した849397例と
65歳以上で生ワクチン(Zostavax, ZVL)を接種した1817099例において,
 ワクチン接種後(1-42日)におけるGBS発症リスクを評価した報告

・6ヶ月以内にGBSの診断が既にされている患者や,
 RZVを添付文章外使用した患者(3回以上投与した患者, 1回目投与から42日以内に2回目を投与した患者)は除外.


・RZVにおけるGBSリスクを評価するために,

 
ZVL投与後1-42日で発症したGBSをControlとして評価.


 また, Self-controlとして, Control periodとしてワクチン接種後 43日~183日を設定(1回目, 2回目ともに). その間に発症したGBSをControlとしてRZV投与後1-42日におけるGBS発症率を比較した.

両群の母集団


アウトカム

・GBS発症症例


RZVとZVLにおける比較

・GBSはRZVで15例(100万件で0.29例), 
ZVLで9例(100万件で0.12例)

 RZVはZVLと比較して有意にGBSリスクが高い(RR 2.34[1.01-5.41])


RZVのSelf-controlにおける評価

・Self-controlでは, RR 4.30[1.76-10.53]

 100万件のワクチン接種あたり, 6.47[2.50-10.45]例のGBSが増加


Discussionより

・VZV再活性化後のGBSリスクはRR 4.0[1.9-8.7]
 

 100万回の感染エピソードあたり12.8例[3.7-31.9]と推測される

・このデータとワクチンの効果(97%)を考慮すると,
 100万人の完全接種者あたり6.26件のGBSが発症する.

・RZVのリスクベネフィットを調査したモデルによると,
 

 60-69歳におけるRZVワクチン接種において,
 

 過剰なGBSは6.3例,
 

 予防できたVZV再活性化は61600例
  

  (このうち死亡の可能性62例, 眼合併症5500例, 帯状疱疹後神経痛が9350例) とRZVのVZV再活性化予防効果はGBSリスクを上回るベネフィットと捉えられる.