抗セントロメア抗体は限局型全身性強皮症の抗体として有名.
他にも原発性胆汁性胆管炎などでも陽性となる.
抗セントロメア抗体の抗体価と予後への影響を評価した報告
(Arthritis & Rheumatology Vol. 73, No. 12, December 2021, pp 2338–2347)
・5つのCohortより, IgG ACA陽性でVery early SScを満たす, またはSScのACR/EULAR013基準を満たす患者を評価.
・Very early SScは, IgG ACA陽性で以下の1つ以上を満たし, さらにACR/EULAR2013のSSc基準を満たさない患者で定義;
Raynaud現象, Puffy fingers, NFC異常
・BaselineのIgG ACAの値と, その後のSScへの進展リスク, 臓器障害リスクを評価した.
・臓器障害はDigital ulcer, ILD, 心筋障害(不整脈や伝導障害, EFの低下, 心外膜炎など), 肺高血圧, 消化管障害を含む
・ACAの評価はFEIA(酵素免疫測定法)を用いて測定
IgG ACAのカットオフは 7 U/mL(製品より)
IgMとIgAも測定. 健常人サンプルよりカットオフはIgA ACA 37AU/mL, IgM ACAは13AU/mLとした.
アウトカム
・IgG ACA陽性例 625例のうち,
Very early SScが138例, 臓器障害(-)のSScが240例, 臓器障害(+)のSScが247例
・IgG ACAはVery early SScで274[93-662] U/mL臓器障害(-)SScで480[197-990]
臓器障害(+)SScで619[263-1077] とSSc症例や臓器障害(+)例で高くなる傾向がある
・Very early SScとSScを比較すると, 有意にACA値がSScで高値.
・さらに, Very early SScにおいて, IgG ACA値が高いと, SScへ進行するリスクも高くなる.
Very early SSc 115例のうち, 5年間のフォローにてSScへ進行する例は48例(42%)認められた.
母集団におけるACA値の分布
Very early SScにおける, ACA値とその後のSSc進行例と非進行例