下肢浮腫や胸水, 腹水貯留を合併することが多い疾患であるが,
これら胸水, 腹水はどのような性状になるのか, というのはあまりデータがない
POEMS症候群における腹水所見の特徴
(Ann Hematol. 2013 Dec;92(12):1661-4.)
・中国のPLA General Hospitalより, POEMS症候群106例の解析
・上記のうち腹水を認めたのは42例(39.6%)であった.
・腹水(+)群ではよりTNFα, 補体が高値となる
腹水所見
・細胞数は<200/µLで, 好中球が50%弱.
・蛋白は4.96 g/dL, SAAGは0.67±0.19 g/dLと, 非門脈圧亢進パターン
・LDHも600台と高値となる
・ADAは40 U/L付近まで上昇
・腹水では漏出性や滲出性という評価はしないが
Light基準に当てはめると, 全例が滲出性となる.
POEMS症候群における胸水所見の特徴
(Hematol Oncol. 2015 Jun;33(2):80-4.)
・中国のPLA General Hospitalより, POEMS症候群96例の解析.
・このうち41例(42.7%)で胸水(+)
12例の胸水検査所見
・細胞数は1382/µL, 好中球はおおよそ半数
・蛋白は4.5g/dL, 胸水/血清蛋白比は0.69±0.17
・LDHは500IU/L程度と滲出性胸水となる.
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ということで, POEMS症候群における胸腹水は滲出性/非門脈亢進性となる.
基本的には血管透過性亢進の場合は滲出性.
圧差が開大して漏れる時のみ漏出性と覚えておきましょう
圧差: 静水圧, 浸透圧
例: 門脈圧上昇, 肺静脈圧上昇, 胸腔内圧の低下, 膠質浸透圧
考えれば当然なんですが, 実際データが少ないので, どうなるのか不安な人も多いのでは(自分含)