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2019年1月11日金曜日

高齢者における入院中の運動療法の重要性

この論文は総合診療にかかわらず, 非常に重要なものと思います.
(JAMA Intern Med. 2019;179(1):28-36. )

スペインにおける単一施設RCT.
急性期病棟に入院となった超高齢者 370例を対象とし通常の管理群(必要に応じたリハビリ)運動療法群(12回の中等度の負荷運動, バランス, 歩行訓練)に割り付け.
・Baselineと退院時のFunctional capacityを評価
 (自立のBarthel Index, Short Physical Performance Battery:SPPBを評価)

・患者は75歳以上でBarthel Index ≥60(0-100で評価. 多いほど自立), 介助の有無は問わず歩き回れる患者, コミュニケーション可能な患者

・除外項目: 6日未満で退院すると予測される患者重度の認知障害(Global Deterioration Scale score 7など), ターミナル, コントロール不良の不整脈, 急性肺血栓塞栓症最近の心筋梗塞, 最近のMajor surgery, 3ヶ月以内の四肢骨折既往

運動療法群では, 1日に2, 120分程度の運動を5-7日間連日行う(土日祝日関係なし).
・運動は負荷運動, バランス運動, 歩行が含まれる.

アウトカムは
 介入前と退院時のSPPB(バランス, 歩行速度, 下肢筋力を0-12で評価: 多いほど良好)
 入院2wk前と退院時のBIを評価
 意義のある変化はSPPB1, BI5点以上の変化で定義.
二次アウトカムはMMSE, 気分障害を比較

母集団

アウトカム:

通常の管理群はSPPBは不変, BIは低下.
 運動療法群では双方とも改善を認める.
・MMSEや抑うつ症状も改善する

合併症
入院期間は有意差なし
・転倒は運動療法群で認めるものの, 有意差はない

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高齢者の急性疾患入院における積極的な運動療法の意義を評価した重要なRCT
また通常の管理で1-2週間の入院でどの程度ADLが低下してしまうかを評価した論文でもある.
運動療法はADL以外にもMMSEや感情障害の改善効果も見込める.

導入には病院自体, 看護師, リハなど様々な部署への働きかけが必要なところではあり, なかなか難しいかもしれません.