加湿器肺は文字通り加湿器に起因する過敏性肺臓炎
特に超音波式の加湿器が普及してから報告も増えている.
超音波式の加湿器は, 内部に真菌が巣食うとそのまま空気中に放出するため, 過敏性肺臓炎のリスクとなる.
・デザイン性を重要視し, しばしば中が洗浄しにくいものもある.
・加湿器以外にもアロマや空気洗浄目的での製品もある.(加湿器として認識していないこともあるため注意)
・吸入することで肺臓炎を呈するもの: Humidifier lung
吸入することで炎症, 発熱を呈するもの: Humidifer feverがある
・冬季に風邪を引き, その際に久々に出した加湿器を使用
→ 発熱や咳嗽の増悪, 肺炎の併発,という感じの病歴も多い(患者や家族が[風邪が治らない]という認識となる)
超音波式加湿器を使用し, 肺臓炎となった9例, 加湿器熱を呈した2例のデータ
加湿器内の水から培養されたもの
(Respiratory Medicine 2005;99:943-947)
チャレンジ試験を行った症例の経過
・使用再開後6~8時間でピークとなる
加湿器肺 5例, 他の過敏性肺臓炎 17例(夏型12例, 鳥関連5例)を評価した報告(国内からの報告)
(Chest 1995; 107:711-17)
・加湿器は超音波式
加湿器肺は1~3月と冬季の症例がほとんど
沈降抗体の種類
・加湿器肺ではCandida albicans, Cephalosporium acremonium
夏型ではTrichosporon cutaneum
鳥関連ではPigion dropping, Pigeon serumに対する抗体が陽性
BALFの比較
・CD4,8のバランスが3者で微妙に異なる. 診断的意義があるかは微妙
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個人的な印象では,
・加湿器肺は冬場に多い過敏性肺臓炎
・風邪をひいて, 加湿器を使用し始め, 増悪+肺炎 というパターンが意外にある.
その場合患者や家族が風邪の増悪として認識し, 医療者もそのように思ってしまう.
しっかり病歴聞かないと加湿器という単語が出てこない.
・加湿器は超音波式がポイント.
いつ買ったか, 洗っているか, どこにしまっているか, ちゃんと聞く
・加湿器意外にも空気洗浄機やアロマの機械も超音波式.
加湿器と把握していないかも. 空気洗浄機が原因となるとはよもや患者も思うまい.