献本御礼
あめいろぐ ホスピタリスト
在米日本人医療従事者による情報発信サイト 「あめいろぐ」から
米国のホスピタリストをテーマとした本がでました.
執筆者は現魚沼基幹病院総合診療科の石山先生と、ハワイのクイーンズメディカルセンターの野木先生.
野木先生は宇治徳洲会病院の先輩になります. 私が就職した時にはもうハワイに旅立たれておりましたが, 宇治徳での「伝説」はよく耳にしておりました.
そんな米国のホスピタリスト経験が豊富なお二人が、米国のホスピタリストの役割, 仕事内容, 意義を紹介し, 日本との相違点や日本国内の問題点をまとめてくださっています.
また、日米関係なく, ホスピタリストとして知っておくべき病棟マネージメントをとても読みやすく, わかりやすく, エビデンスと実臨床を交えて説明しているのがこの本です.
---------以下感想-------------------
読みやすくて, 短時間で一気に読めてしまいました.
読んで一番思ったことは「働きやすそうで羨ましいなぁ、、」ということです.
それは, 米国ではホスピタリストの立場, 地位がしっかりとあり, さらにニーズも明らかであることに尽きるでしょう.
自分は ”Hospitalist”という名のつくブログを書いているものの, 実際米国のHospitalistではありませんし, 経験もしたことがありません.
総合病院の総合診療医として病棟で働きたいということでそう名乗っていますが, やはり周囲の理解は様々です.
様々。。。といいますが, 総じてネガティブです. たまにポジティブな認識を持ってもらえるという感じでしょうか.
よく言われるのは,
「専門もないくせに診療するのは問題でしょう」という類の言葉.
「将来不安じゃないの(専門なくて)」
「病院としては専門もっていないと扱いに困る」
という感じで, どうしても「専門医」ありきな考え方が主を占めるのが現状です.
一方ポジティブな意見としては
「先生らが働いてくれると自分の専門領域に集中できて助かる」
「複雑なよく分からない症例は先生らいてよかったとおもう」
という感じ.
一度でも「ホスピタリスト, 病院総合診療医」がうまくいっている施設で働いたことがある専門の先生ならば, そのありがたみや価値はわかってもらえるのでは無いかと思いますが, まだまだそんな病院は少なく, 時間がかかると思います.
ホスピタリストが市民権が得られる, そんな日が来れば良いなぁと思います.
また, 「ホスピタリストの教育はホスピタリストしかできない」という意見には諸手を挙げて賛成します.
たとえホスピタリストがある専門領域の疾患を診る場合にも, ホスピタリストの視点というものがあります. それは専門医とは一部で異なります.
言葉で表すのが難しいですが, ある疾患をその分野以外にも, 多分野を通じて診る, という感覚でしょうか. そんな感じです. その視点から見えてくるものも多いのです.
私の持論ですが, 総合診療医はサブスペシャリティを持つ必要はないと思っています.
それは, サブスペシャリティを得ることで, 失うものがあるためです. その多角的視点はその一つです. 他にもありますが, あまり言うと敵を作るのでここまでにしておきます.